愛する人はただ一人
よろしくお願い致します!
どうしてこんなことになったんだろう・・・
「詩織!利之さんが!」
朝、あなたは笑顔で、私を抱き締めてくれたのに・・・
「先生!心肺停止状態です!」
目の前にいるあなたは血だらけで・・・
「残念ですが・・・」
私を置いて、逝ってしまった・・・
泣いて、泣いて、あなたのいない世界に価値などなくて・・・
私は死を選んだ。
ふと気がつくと、真っ白な空間にいた。
確かに私は、海に飛び込み死んだはず。
なのに服は濡れてない・・・
「ホントに死んでしまう人がいるなんて・・・」
誰もいないはずだったのに、突然後ろから話掛けられた。
「・・・あなた、誰?」
目の前には知らない女の人がいる。
「私は女神。あなたよりも前にここに来た人との約束だから、あなたを転生させる為にここに呼んだの。」
「転生?約束?私はそんなこと望んでない。」
愛する人がいない世界なんて・・・
「あなたの意志は関係ないの。約束は、果たさなければならない。だから、あなたには異世界で生まれ変わってもらうわ。ただ、そのままってなるとすぐ死んじゃいそうだから1つだけ願いを聞いてあげる。」
「神様って随分勝手なのね。私から大切な人を奪っておいて、私には生きろと言うし。・・・なら、力をちょうだい。男達にも負けないような力を。私は、あの人だけを想って生きていくわ。誰も愛さないし、力で屈服させられるのも嫌。」
異世界に行くなら、力が全てよね。
絶対に強くなってみせる。
あの人に誇れる自分でいるために。
「・・・分かったわ。あなたの人生に幸多からんことを。」
女神の言葉を最後に、意識が薄れていった・・・