第十一話 "久しぶりの登校"
設定的にメタると此処は2020年である。おい、二年上乗せしてんじゃねぇよと言いたい輩もいるだろう。しかし、此れは物語である以上、規則には縛られないのだ。という事で東京オリピックも無事に終わり、各スポーツで好成績を残した日本。素晴らしい!
ちなみにこの世界の大半のスポーツは女性ばかりである事は言うまでもない。男性の出場者が余りにも少ないが女子スポーツよりももちろん人気がある。男子バレーなど。
「ねぇ、将来何になるー」
「スポーツ選手になれば、〇〇選手とお近づきになれかなぁ?」
などと言う邪は気持ちを持って将来の道を決める者までもいる始末だ。まぁ、そろそろと余談はいいとして、職員室についての説明をしようと思う。
「_____失礼します。」
姉であるヴァレリとその舎弟が職員室のドアを開く。自分はそれについて行く様にあとを追う。
「瀬名さん、新堂さん、おはようございます。...........弟さんはご病気ときいていたのですが、此れはどういう事ですか?」
自分の存在に気づいたのかメガネをくいっとさせ此方を凝視する女教師。年齢は20代後半から30中盤くらいだろうか。
「おはようございます。今日から登校させて頂く瀬名ジョンと申します。」
メガネの女教師は瀬名の挨拶により硬直する。
「これが女の生態よ、ジョン。気をつけないさい。」
「弟様は私が守ります。安心して下さい。」
その言葉を聞き姉はまたしてもマコトへと対しメンチを切る。
「ふぅ、そろそろ我慢が出来そうがないわね。」
「乗り越えてみせる。弟様と結ばれる為に。」
反対にキラキラとした瞳でヴァレリを見返すマコト。
「ふぅ.....ふぅ......」
すると硬直していたはずの教師が目を意識を取り戻したのか静かに立ち上がる。そして瀬名の前へと近寄り手を握った。
「中川三葉、年は29歳、スリーサイズ 90 - 58 - 90 cm、身長は172cmと高身長で恐れられがちですか、決して怖がらず、私に何でも相談してください。そうですね....二年生担任の山崎先生と担当を変えてもらいましょう。やはり、男性の方は見知った女性とともに在る方が安心ができるでしょうし。」
「えっと」
鼻息が荒い教師に若干困惑する瀬名を見兼ねたのか助け船を出すヴァレリ。
「中川先生、落ち着いてください。私たちが話があるのは山崎先生の方なので。」
「その必要はないわ。今から、私が”ジョンさん”の担当になるのだから。」
いきなりの下の名前呼びに顔が若干引きつるヴァレリ。
「いえ、結構です。ジョン、山崎先生の所まで行くわよ。」
「あ、ああ。」
トロンとした視線で此方を見る中川に寒気を感じるが即座に視線をズラし、ヴァレリへとついて行く。
「女って怖いですね。弟様、もし怖くなったら私に抱きついてくれて構いませんよ?」
この舎弟の女は何を言っているのだろうか。
「うわ、男子生徒が職員室にいるわよ!」
「う、教師になれてよかったぁ!」
山崎教員のデスクまで歩いているのだが、教師陣の熱い視線が凄い。
「えっろすぎぃ!」
「教師特権使って...ふふ、個人的指導をしても良いかしら?良いわよね!」
言い訳ねぇーだろ。ていうか教師の癖に堂々とセクハラ宣言するな。
「____山崎先生」
「おはよう、ヴァレリ。今日は珍しく登校をしているようだな。」
フランクな話し方をする山崎先生。
「えぇ、今日は弟の初登校日ですので。」
「弟?.........彼が君の弟くんかね。」
随分と落ち着いた雰囲気の女性だ。何よりもクールで美人な事に驚きを隠せない。
「ふむ、君の兄弟だけあって整った顔立だ。」
ジロジロと観察するように自分を見てくる山崎教論。
「名前を教えてくれないかな?」
「瀬名ジョンです。」
どうやらまともな人の様だ。
「良い名前だ。君を我が校に歓迎するよ。其れで、君の所属するクラスは何処になるのかね?」
異様に距離が近い気がするのは気のせいだろうか。
「ふむ、照れているのかね。随分と初々しくて好ましいな。」
うわ、めっちゃ良い匂いする。
「ちっ」
自分の表情に気づいたのか真ん中に無理矢理と入るようにヴァレリが身体を挟みこむ。
「近過ぎますよ、山崎先生。」
「おっと私とした事が、」
ワザとらしく謝罪をする山崎。
「はぁ、だからあまり合わせたくはなかったのに.....ジョンは二年生なので、先生のクラスという事になります。」
「そうか。其れは良かった。教え甲斐があるというものだ。」じゅるり
若干舌なめずりが聞こえて来た気がするが、見なかった事にしよう。
「ふふ........其れでは後ほど教室で会おう、瀬名ジョンくん。」
この人、クールを装っているが変態性が地味に溢れているな。
「あ〜はい.....」
この先、ちょっと不安になって来たな。姉から離れらればいいと考えていたが........もしかして、登場人物全てが一癖も二癖もあるようなイカれた人物なのではないのだろうか?