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5:悪役令嬢だとバレました

 すみません、ちょっと遅れちゃいましたー!!

 やってしまった……。なるべくこの人たちに関わらないと決めたのに。ゲームのシナリオ通りになんて生きたくないのに。


「シェフィーリア嬢、だよな……?」


 呟かれたその言葉は確かめる為じゃなくてただ繰り返しているだけ。私がシェフィーリアだなんてもうばれている。


「わたし、は……ちが、」


 レオンが私を軽蔑の眼差しで見るなんて受け入れられない。レオンから逃げるように思わず俯いた。


 どうしよう。どうすれば良い?


「――シェフィーリア嬢!」


 嗚呼、駄目だ。キモチワルイ。吐き気がする。


 そのまま視界がぼやけて体が斜めに倒れていく。そして私は意識を失った。


 ◇◇◇◇◇◇


 目が覚めたとき私はまたベッドの上にいた。いやそれが普通なんだろうけどもね。だって立て続けにこんなことになるなんて。取り敢えずここはどこだろう。いつまでも知らない場所にいるのはなんだか気が引ける。

 そう思って起き上がればすぐ側から声がした。


「気分はどう? もう大丈夫かしら」


 現れたのは亜麻色の髪を持つ女性。保険医のクリスティーナ・メルビウス先生だ。まさかこんなにも早くお目にかかることになるとは……。


「はい、ありがとうございます。クリスティーナ先生がいるということはここは保健室ですね」


「ええそうよ。シェフィーリアさんは肉体的に限界を迎えたようでね、体が悲鳴を上げてしまったの」


 なるほどこれが微笑みかっ! というお手本のような笑い方を向けてきてくれる先生がそんなことを言う。


 成る程ね、あんな動きをシェフィーリアの体はしたことがなかったのか。だから悲鳴が上がったと。でもそれだと困ったなぁ。そんなに体が弱かったら何も出来ないよ。


「それにしても良かったじゃない。役得よ? お姫様だっこで連れてこられるなんて見たことないわ」


「お姫様だっこ……!?」


 え、お姫様だっこってあれ? 背中と膝のしたに手を入れて抱えて持ち歩くあれ!? なんでその言葉がここにあるかは置いておくけどもなんで!? 誰がっ!?


「それは、そのいったいどなたが……?」


 もしやと思ったけれどそれはないと否定した。


「レオンハルト・リスレッドくんよ」


 違うと思ったら本人だった! お付きの人かなって現実逃避しちゃったよ。というか怒ってないのかな? 謝りに行った方が良いのかな?

いや、行かなきゃ駄目だよねっ! でも絶対変な噂が立っちゃうよぉー!!


「さて、謝りに行くことには後で考えてもらうとして。怪我はどうする? 魔法で治す? それとも自然治癒に任せる?」


 なんか考えていることがバレている気がしますよ私。にっこり笑顔の先生がちょっと怖くなりましたよ。それにしても治療か。普通は自然治癒だよね。でも怪我したところが見えていたら令嬢としては駄目かな?


「見えているところは魔法を使って、見えていないところは自然治癒に任せます」


「……分かったわ。包帯を持ってくるわね」


 あれ? ちょっと驚いたような気がしたのは気のせいだったかな?


 そのあとクリスティーナ先生は手際よく包帯を巻き直してくれ、足についた傷痕も残らないように治療してくれた。更に新しい制服までくれた。私はといえば先生にお世話になりっぱなしで始めてみた魔法に内心では狂喜乱舞していた。


「では先生。失礼します」


「ええ、何かあったらまた来てね」


 保健室から出た私。そのまま進もうと思ったのだけど。


「……これからどうすれば良いの?」


 どうやら再びの難題が降りかかってきた模様。地図とかはあるわけないよね。


 取り敢えず歩いてみよう。何をすれば良いのかも分からずに取り敢えず足を動かした。


 そして十分後。


 私は当たり前のように迷子になった。


「…………人がいない」


 どうすれば良いんだこれはっ! お腹も空いてきたしっ!


 多分ここは庭園なんだと思う。広さが怖いけど。待って私死んじゃう? どうしようほんとに。さっきからどうしようしか言ってない気がする。


 見渡す限り緑。時々白とか赤、あと茶色。そして私は思った。


「よし、ベンチで横になろう!」


 そうと決まればレッツゴーだ! 勇み足でベンチに向かい腰を掛ける。なんか座り心地が良いかも。お腹の虫は五月蝿いけど。


 だんだんと眠くなってきて、目を閉じてうとうとしていたら何か声が聞こえた気がした。


「シェフィーリアッ!」


 私の名前が呼ばれているのか。でも、起きるのがちょっと面倒くさいな。このまま眠ってしまおうか。


「眠るな! 起きろ馬鹿がっ!」


 あ、この声今日も聞いた。兄の声だね。でも起きたくない。だってまた色々言われるし。


「シェフィーリア! 頼むから起きてくれ!」


 なんか、いつもと違う気がする。なら、少しだけ起きてあげるか。


「シェフィーリア!?」


 おはようございます、兄。こんなところで何しているんですか? そう皮肉を言ってやりたかったんだけど、何故か兄は血だらけだった。


「それ、どうしたんですか?」


 だからこんなすっとんきょうな質問ができてしまった。


 兄がなんだか甘い感じです。さあ次はどうなるか!? 明日をお楽しみにー!

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