20:悪役令嬢と早めの朝御飯
昨日夜ご飯を食べずに寝たせいかお腹が異常に減っていたので昨日より早くご飯を食べに来ましたシェフィーです。はしっこのすみっこの席に座ってご飯を食べます。今日も今日とてパンケーキ。
……誰に説明してるのかなこれ。
「いただきまーー」
「シェフィー!」
レスとリリィ。朝から目の保養だよね。
入り口から一番遠いこの席まで届く声で私の名前を呼んだ。近づいてくるにつれて涙目なのは気のせいだと心のなかで言い聞かせよう。
「おはようございます。レス、リリィ」
「おはようございます、シェフィー! いえ、おはようございますどころではありませんわ!?」
「おはようございます! 昨日はいったい何があったんですの!?」
勢いよく詰め寄ってこないでっ!? 服に蜂蜜が付いちゃうよっ!?あ、今日は蜂蜜があったのでパンケーキに蜂蜜をかけてみました。あまりにもぐいぐい来るので「とりあえず朝食を食べながらお話ししませんか?」と逃げてみた。……一分で帰ってきたけれど。
「……で、レオン様に運んでいただきましたわ」
昨日の話をした。森の中に入った後のことからだけどね。属性の話は、また今度にしよっかなぁ。これ以上刺激与えたら大変そうだし。
ほらほら、二人揃って口開けたままじゃはしたないよー?
「え、と……確認致しますが」
「はい」
「グリュージェント・ウェイル様、ウェイル伯爵家の次男様にお会いしたと」
「そうですね」
にっこりにこにこ。
「その後なぜか空中に転移してたと」
「はい。あれは驚きましたね」
にっこにっこにー。
あ、これは効果音じゃないか。
「「どうなっているんです!?」」
「どう、と言われましても……」
そんなに驚くことかなー? それにしてもグリュージェントを突き飛ばして放って帰ったけど大丈夫だったのかな。大丈夫だと信じたいな。
さて、ここで素朴な疑問を聞いてみよう。
「そういえば、ウェイル伯爵家の次男様はなぜあの場所にいらっしゃったのでしょう?」
「え?」
ウェイル伯爵家の次男坊、深緑の問題児と名高いグリュージェント・ウェイル。いやだいたい察してるし、知ってるし。でも実際は違った恥ずかしいじゃんっ!?
二人は顔を見合わせて言おうかどうか迷っているようだ。言っちゃえばいいのに。
「あくまで噂ですけれど……。彼には色々な噂があるのよ」
「あくまで噂なのよ?」
え、そんなに噂って強調するものなの?
「実はお兄様を害そうとしたことがあるとか……」
「実は彼こそがウェイル伯爵家の第一子だったりとか……」
うえええ。なんか、リアルってすごいね……。噂の内容なんてゲームには出てこないからなぁ。
「あとふらりと町に降りては、その、女性とそういうことをしているとか……」
はい。はい、完全に根も葉もない噂話ですね。うわすごいわ。尾ひれ大量に付いてるじゃん。それはともかくレス可愛い。
「はじめの二つは兎も角、最後の一つは無いと思いますが……」
「なぜそう思うの?」
そりゃ、どうしてってなるよね。
「紳士だったからですわ。いわゆる女遊びをしていたのなら私を襲ってもおかしくないと思うのだけど、それがなかったのよね」
嘘ですごめんなさい。押し倒されました。なんかエロかったです。エロかったんです。
内心話してること見られたら色々不味いなぁ私。「こんなのが令嬢なの!?」って思われてしまう。家の評価下げたらまたあの兄弟に怒られるんでしょ? 面倒くさいことこの上ない。
「そうなのですか……。まぁあくまで噂ですしね」
「ですね。噂ばかり聞いて本質を見誤ったら大変ですしね」
「あら、良いこと言うじゃありませんの。リリィ」
あー朝から幸せしかない。何この癒し空間。癒されるわ……。
「それにしてもシェフィー」
「はい?」
何かしたかな私…………?
「シェフィーって箱入りではないんですのね」
「へ?」
「あ、それ私も思いました! どこか取っつきにくいかなぁって思ったら以外ととっつきやすいし!」
「抜けてるから見守っててあげたいし!」
へ!? いや私は大丈夫……!
しばらくこのガールズトークは終わりを知りませんでした……。




