16:悪役令嬢と昼寝スポット
五ヶ月の放置ごめんなさい! また今日から投稿していきます!
それと一話改稿しました!
木々の間から溢れる暖かさ。それにつられる者は私だけでなくて――。
「……何があった?」
落ち着いて考えよう。探索に行けと言われたから森のなかに入った。そして風景を見ながら歩き続けたら迷子になった。しばらくして開かれたところに出たから木の根元に寝転んだ。そしたら周りにたくさんいる。
なにが?
……動物が。
何故っ!?
ま、まさかカミサマがくれたスキルというのは……!?
ゲシッ。
「ひどいっ! て、え?」
私を蹴ったのは動物じゃなかった。動物かと思ったけど動物じゃなかった。
私を見下ろす眠そうな目。不快感丸出しだ。ふわふわの短髪はさぞかし触り心地が良いんだろうな……。そして何より、可愛い。可愛いのだすごく。すらりとしたズボンも似合っている。肌は白いんだろうか。気になって気になって仕方がない。え、ズボン? ……おとこ、のこ?
「……ねぇ」
女の子顔負けの可愛い男の子は私が奇声をあげる前に話しかけてきた。ナイスタイミングだよ君っ!
「は、はい……?」
「ここ、俺の昼寝スポットなんだけど」
「…………はい?」
ちょい待って? 昼寝スポット? ここが? 森の中だよ? え、立ち入り禁止は……?
「立ち入り禁止な場所で昼寝スポットも何も無いと思うのですが……」
「うるさい。あんた昨日も俺の昼寝スポット取ってただろ。授業サボってる癖によく言えるよな」
カッチーン。
「別にサボりたくてサボった訳じゃ無いんだけど? 貴方だってサボってるでしょ。確かにあの場所は昼寝スポットに最適だったけど! でも先に寝てたのは私だから!」
なんだよもう! 私だって授業には出ようと思ってたんだよ!? なのに場所とかわからんし! 良い昼寝スポットがあったから! つい! 寝ちゃったんですよっ!
「……」
あ、口開けてポカーンとしてる。指突っ込みたくなるよね……。
「っ、だよあんた……!」
ヤバい怒らせた……? 今更だけど敬語使ってないよね? この人誰!? 見たことある気はするけど誰!? 絶対知ってる人なのにぃぃ!!
「では私はこれでーー」
「駄目に決まってんだろ?」
逃げようとした私を逃がさないのは勿論この男。髪をかきあげて笑う姿がエロいんだけど……。え、襲われたりしないよね?
何時の間に見える空。それと眠そうな顔。
「あんた、名前は?」
「……何処の誰とも知れない人に名乗る名はありません」
せめてもの抵抗を試みるけど……。
「へぇ……。随分気が強いことで」
唇舐めてるんだけど……。舐め方エロいんだけど……! なんなのこれ! 乙ゲーかよ! 乙ゲーでしたね! 近いんだよなんなのこの世界はー!! 貞操観念とか無いの!? ねぇ!?
「グリュージェント・ウェイル。ウェイル家の次男」
「グリュージェント・ウェイル……!?」
「そ。流石に名前は知ってんだろ?」
どうしよう、どうしよう……。
知らないとか言えないっ!
思い出せ私! 動き出せ灰色の脳細胞っ! この男は誰だっっ!
赤く眠そうな瞳。緑のふわふわな髪。女の子顔負けの可愛い顔。いくつかボタンが外された制服。自由奔放な性格。
私の上にのし掛かってるこの男を、私は知っている。
ーーどうせ俺が努力したってどうもならないんだっ。
「……深緑の問題児。天才肌の兄と比較されてきた努力家の弟」
そう言うと、目の前の彼は驚いたように目を見開く。どうして、忘れていれたのか。ゲームの中で最も苦しくて、辛くて、悲しい人生を送る彼を、忘れていれたのか。
私はそっと彼の首に手を回す。首もとに顔を埋めさせて、ふわふわの髪をゆっくり撫でて、流れる涙に気づかないふりをした。
「……大丈夫。私は、貴方の努力を知っている。貴方の辛さも悲しみも知っている。一人で背負えないというのなら、私も半分背負ってあげる。ゆっくり休めば良い。逃げたいなら逃げれば良い。私は貴方の味方だから」
光が暖かい。良い香りがする。そして、何処かで鐘が鳴った気がする……。
「……鐘の音?」
次の瞬間に私は彼を突き飛ばしていた。
「うぁ!?」
「ごっめんなさい! 行かないとっ!」
「え、ちょ!?」
立ち上がって来た方向へ向かって走る。木の根につまづいて転びかける。
「昨日遅刻してるんだ……! これ以上自由な生活してたらまずい……!!」
体勢を立て直して走る。そして着いた場所は、木漏れ日の差す、お社の前だった。
「ここ、どこ……?」
なんか書こうとすると意味不明になっていく……。
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