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13:悪役令嬢は話を聞かない人が嫌いです

 寝坊しましたー!! ほんとにすみません。

「あ、ああああのっ!」


真っ赤な顔でリートが話しかけてきた。


何故話しかけたし! ヒロインに関わりたくないんだよっ! この二人と一緒に森の散策始めようとしてるんだよっ!


「あら、確かリート・ルルウェルさんですわね。今回初めて立案された平民の普通教育についての協力者と聞きましたわ」


あー、そういえばそんな設定だったね。レスはよく知ってるなぁ。


「それで、いったいどういったご用件でしょうか? 見ての通り、私たちはこれから森の散策に向かうのですが」


リリィちょっと言い方きついぞ?


「そのっ! シェフィーリアさん! 助けてくださってありがとう! すごく助かったよ!」


わざわざこっちを向いてお礼なんてしなくて良いのに。桃色の髪がふわふわ揺れてる。小動物みたいで人気が出るんだよね、確か。


「いえ、気にしないでくださいな。それとその言い方は先生に対して失礼ですよ。まるで悪者みたいですから気を付けた方がよろしいかと」


やんわりと注意を促す。これくらいなら大丈夫でしょうね。……多分。


「えへへ、そうだよね~。次からは気を付けるよっ!」


「では私たちはこれで」


「あ、待って待って!」


まだ何かあるのかよ。私たちも早く行かなきゃ先生に怒られるんだよ。


「あのね、一緒に行っても良いかなぁ……?」


ごめんあそばせお断り。


「申し訳ないのですが――」


「どうして!? 私が平民だから!? でもこの学院は平民も王族も関係なく平等なんだよ!?」


うざっ! 今ので皆がこっちを見たよ。先生すらもこっちを見てるよっ! これで更に私の評価が下がったら君の性だからね?


「話を聞いてくださいませ」


「それは私だって貴族の礼儀とか分からないから、皆に迷惑をかけちゃってるけどそれでも頑張ろうって努力してるんだよ!」


「リートさん、シェフィーが話を――」


「えっとリリィさんだっけ? ごめんね、ちょっと静かにしててもらえるかな? 私は今シェフィーリアさんと話してるんだ」


これを話と呼んで良いのかな? 一方的に君がくっちゃべってるだけでしょ? てかリリィさんって……。リリアンヌだよ本名。


「シェフィーリアさん聞いてる? 私の言ってること間違ってないよね?」


そこで全員の視線が私に向く。此処で対応を間違えれば更に悪役令嬢となるんだろうね。でも、手加減はしないよ?


私は少し息を吸い込んで話し始めた。


「リートさん。貴女の話は聞いていますわ」


「なら――」


「そうですね。言い方は兎も角、貴女の口にした平民も王族も関係なく平等とは正しいでしょう」


「そうだよ! だから――」


「ですが」


少し強く押せば相手は怯む。昔に学んだことだ。事実、リートも口を閉じた。


「貴女が頑張ろうとしていることはまだお会いして一時間も経たない私に分かることではありませんし、リリィのことを愛称で呼べるほど親しくなったことも知りません」


「シェフィーリアさん……。何が言いたいの?」


「私の言いたいこと、ですか。それは二つだけですね」


わざと言葉を区切る。怯えている演技をするリートの瞳を、私は此処で初めて見た。周りにいる全員の視線が突き刺さる中、声高に告げる。


「人が話しているときに話し始めて自分の意見を押し付けるのは平民、貴族どうこうではなく人として直すべき点であるように思われますよ。そして先程のお誘いの返事について改めて伝えさせて頂きます。私は元々この二人と約束をしており、今お会いしたばかりの貴女と森を散策するとなると貴女だけが話に着いてこなくなってしまうだろうと思いました。他にも理由はありますが、今伝えた二つの理由から平民、貴族関係なくお誘いをお断りさせて頂きたく思います」


ここまで言ってまだ何か言うことはあるかな?


「でもっ!」


「双方、そこまでにしろ。授業の時間が無くなる。リート・ルルウェルは別の者と行動しろ。そしてシェフィーリア・オルセー。君は残れ。森へ行かなくて良い。話がある」


止めてくれたのは先生。だけど嫌な予感がするのは気のせい? だってこれ、実質的には廊下に立ってろとおんなじことでしょ? 私、悪くないのに。


「分かりました。邪魔にならぬよう、端で待っています」


「え、あ……。じゃあリリィさんとそっちの人は私と一緒に行かない?」


あわあわしながらもリリィとレスに声をかける。難なく振られてしまったようだけれど。


「申し訳ないのですがお断りさせて頂きます。あと、私の名はリリィではなくリリアンヌですので悪しからず」


「ではお先に失礼しますね。リリィ行きましょうか」


結局一人で行くみたいだね。それにしてももう少し落ち着きがあっても良いと思うんだけど。


そんなこんなで全員が森の中へと消えていった。いつ帰ってくるんだろうね。


「さて、シェフィーリア・オルセー。君だけ残した理由は分かるか?」


そして向けられる鋭い眼光。苦手だなぁこれ。生活指導の先生みたいな目だ。


「恐らくですが先程の測定の時に何かがあったのでは、と思います」


先生は小さく首肯。


「シェフィーリア・オルセー。君は全属性持ちだ」


「はい?」


目の前を冷たい風が通りすぎて行った。


 そのうちヒロイン視点も書く予定。

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