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12:悪役令嬢はヒロインを助けた?

 またもや短いです。

 色々と案内をしてもらって最終的に着いたのが此処。そう、私が眠っていたあの庭園だった。


 しかも此処、授業中しか解放されないとか。基本、高等部の生徒でも無断での立ち入りは厳禁なんだとか。


 ……嘘でしょ?


 私昨日六、七時間くらい此処で眠ってたよ? バレたらどうなっちゃうんだろう。考えたくもないや。


「あ、先生がいらっしゃいましたよ」


 リリィの視線の先に映るのはどこか見覚えのある人だった。私と同じ漆黒の髪は恐らく天然パーマだろう。身長は兄と同じくらいかな。鼻唄を歌ってこっちに向かってきてる。


 その人は私を見ると私の方へと進路を変えてきた。


「シェフィーリア、昨日は何かあったのかい? 授業に出ていなかったようだけれど」


「いえ、特に何もありません」


 どこかふわふわしたような笑みを浮かべると私に連絡事項を伝えてきた。


「そうか、君みたいに真剣に授業を受ける人がいるとこっちも授業がやり易いよ。それとあとで教科書を配付するから授業が終わったら付いてきてくれ」


「分かりました。わざわざありがとうございます」


 そう言って先生は集まった生徒全員を見ることが出来る場所へと移動した。これから授業が始まるのだ。


「それでは今日は昨日話していた測定をしてから森を散策してもらう」


 測定? 魔力の数値を測るやつか。確か入学式イベントの次だったような? あれ、じゃあ私入学式イベント飛ばした?


 ……まあいっか。分からないことを考えるより先生の話を聞こう。


「測定はこの球に手をかざして貰うだけだ。これを森の散策前と散策後に行ってもらう。数値は此方の方で確認するので興味があるものは後程確認に来い」


 ……先生の口調が変わっている気がする。いったいどうした。授業をすると性格が変わるとか?


「森の散策は一人で行こうが何人で行こうが構わないが測定が終わってからだ。順番は特に決まっていないから誰からでもいい。誰からやる?」


 無言。先生の眼光から目をそらすように下を向くものが多い。男子生徒まで下を向いている。


「じゃあ、私が!」


「では私が」


 私と同時に声をあげたのは、桃色の髪の女の子だった。この子は――。


「あ、ごめんね! 先いいよっ!」


「いえ、貴女が先に手を上げたんですもの。お先にどうぞ」


 ――リート・ルルウェル。


「わ、ほんとっ!? じゃあ先に失礼するね!」


 肩までのショートカットを揺らし、先生の前まで駆けていく。その姿には正に天真爛漫という言葉が似合う。


 このゲームのヒロインだ。


「よし、終わりだ」


「先生! 私どうでした?」


 あ、それまずくないか?


「リート・ルルウェル。私は後程確認といったはずだが、聞こえていなかったのか?」


「え、と……」


 やっぱり怒られた。あーあ。とっとと謝れば良いのに。というかここってゲームでは悪役令嬢に貶される部分だよね。私が止めなきゃいけないの? これを? 面倒くさいけどやらなきゃダメだよね。


「先生。彼女はまだ学院に来たばかりなのでしょうし少し多目に見るのはいかがでしょうか? 今怒っていては他の生徒の時間が無くなってしまいますし」


 鋭い眼光が私を貫く。さっきとは別物だな。もちろん逸らさないけど。


「そうだな。シェフィーリアの言うことも一理ある」


 先に目を逸らしたのは先生の方。リートはキョトンとしてる。まさか助けてもらえるなんて思わなかったんだろうな。


「リート・ルルウェルは放課後に私の研究室まで来い。そしてシェフィーリア・オルセー。次は君の番だ」


 私の番か。さてどうなるんだろうか。球にどこか変わったところは見られないんだけど。


「……終わりだ」


 先生、間があったのは何故でしょう。そう考えながら森の入口まで進む。そこにはリートがまだ残っていた。リートとは離れた場所で二人を待つ。何か言いたげなリートが見えたけど無視。目をつぶって無視。ヒロインに関わるのは何だか危ない気がするんだ。


「シェフィー! 終わりましたわ!」


「シェフィー、私も終わりましたわ! リリィ置いていくなんて酷いですわ!」


 二人が駆け寄ってきた。うん、相変わらず可愛いな。


「では、行きましょうか」


 二人にそう声をかけて森に入ろうとしたそのとき、


「あ、ああああのっ!」


 リートが話しかけてきた。

 ヒロインがきましたね。そしてもうストックが無いです。辛い。


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