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9:悪役令嬢の心は掴まれた

 寮に戻って散々怒られました。天気が良くて眠ってしまったと話すと、寮母さんは「駄目ですよ」と呆れたように笑っていた。


 そこまで強く怒られなくて良かったと思う。そして何故か寮母さんとお喋りをしながら私の部屋まで帰った。何故だ。大阪のおばちゃんの乗りじゃあ無いはずなのに。どっちかと言うとアルプスの少女ハ○ジのブリ○ッテさんみたいかな。


 と、まあ冗談はここまでにして。部屋に着きました。そう、部屋! それはつまり、やっと気を抜けるってことですよっ!


 そう思って扉を開けました。かなり広い部屋だな。しかも角部屋っていうのがまた良いね。風呂場はないけど洗面所は付いてる。さすが、贅沢尽くしの内装だな。一通り見て満足したのでそろそろ寝ましょうかね。ネグリジェを取り出して着替えようと思います。うわ、こんなの初めて着るよ! ちょっとテンション上がってきた! さあ、レッツお着替え!



 ぐきゅうるるるるるるる!!



 ……めっちゃ響いた。恥ずかし。そういえば朝食べてそれっきりだったなぁ。ご飯、ご飯かぁ。食べたいけど、イベント起こらないかな……。


 気づいたら私は部屋の外に出ていた。食欲って怖いな。結局部屋には戻らなかったけども。


 そのままさ迷い歩くこと数分。食堂に着いた。誰もいないね。食べるものが無い。


 きゅうるる……!!


 こころなしかお腹の音も寂しげだ。何もないし取り敢えず部屋に戻ろうかな。


「何でも良いから、食べたかったな……」


 そう呟きつつ再び部屋の前まで戻れば、驚くべき光景が見えた。私の部屋の前に女子生徒が二人いるのだ。あれ? シェフィーリアって嫌われてるんじゃないの?


「い、行きますわよ」


「ええ、きっと大丈夫よ」


「す、少しお時間よろしいでしょうか?」


 扉を叩きながら聞いてくる彼女に、やはり私は返事をするべきだよね。


「ええ、勿論ですよ」


「「ふぇっ!」」


「取り敢えず、中へお上がりになってください」


「「ひゃい!」」


 もしかして怖がられちゃったのかな?


 部屋の中にはちょうど三脚の椅子があった。全員が席につき、改めて彼女たちを見る。


 一人は紅い髪のつり目気味の女の子。もう一人はその子よりもちょっと低い翠色の髪の子。二人とも鮮やかな髪の色をしている。そういえばこの世界では、使える魔法によって髪の色が違ってくるんだよね。紅い髪の子は火系統で翠色の髪の子は風系統かな?


「あの……」


「嗚呼、ごめんなさい。二人とも色が鮮やかなのでつい、見入ってしまいましたわ。ところで今宵はどういったご用件でして?」


 尋ねると背筋が延びた。緊張しているのかな?


「私の名前はリリアンヌ・シェラトン、シェラトン男爵家の三女に当たりますわ」


「私はミラーレス・ルーテル、ルーテル子爵家の次女に当たります。この度は助けていただいたお礼に参りました」


 なるほど。紅い髪の子がリリアンヌちゃんで翠色の髪の子がミラーレスちゃんね。よし、頑張って覚えよう。私はすぐに人の名前を覚えられないからな。これはもうしょうがないと思うんだ! じゃなくて、この子達今何て言った?


「お礼、ですか?」


 コクリと頷く二人の女の子を前に私はフリーズした。お礼、助けたお礼。そういえば朝の女の子たちも二人組だったな。もしかしてその子達?


「もしかして、朝のごろつきの件ですの?」


「そ、そうですわ! レオンハルト様がそちらに向かったと思うんですけれど……」


「シェフィーリア様はお怪我はありませんでした?」


 わ、この子達とっても良い子だ! わざわざ心配してくれるなんて。幸せ者だな、私。


「ありがとうございます。私は無事でしたわ。レオンハルト様に助けていただきましたの」


「ほ、本当ですか?」


「ええ」


 本人が聞いたら嘘だとか言うかもしれないけど、助けてもらったと言えば助けてもらったからね。一番危ないところだったし。


「わざわざお時間を取らせてしまって申し訳ありませんでした!」


「では私たちはこれで……」


 くきゅうるる?


 思わず手を下腹部へと動かす。これは反射みたいなものだ。っていうか人のいる前で鳴らないでよっ!


 二人は顔を見合わせてアイコンタクトを取っている。羞恥心メーターが振り切れそうです。そんな俯いている私に二人は何処までも優しかった。


「あの、お腹が空いてるんですか?」


「もしよろしければ私達の作ったクッキーでよろしければ――」


「戴きますわ!」


 これも条件反射でした。


 そして差し出してもらったクッキーを口に含む。さくり、と割れてほろほろと砕けるクッキーはチョコレートのほろ苦い味がした。


「ふふ……。幸せぇ……」


 嗚呼、これなら何個でも食べれそう。こんなに美味しいものを差し出してぐれた二人は天使……! って、あれ?


「も、申し訳ありませんわ! とても美味しくってつい……!」


 そうだった! まだ二人ともいたんだった! なにやってるの私ぃぃぃ!!!


「ふ、ふふふ……!」


「ご、ごめんなさ、ふふっ!」


 え、あれ? 何で二人とも笑っているの?


「こんなに美味しそうに食べてくれる方なんて初めてで」


「ええ、とっても嬉しいですわ」


 よく分からないけど笑ってるのでよしとしましょう。


 そのあと、軽くお喋りをしてお見送りしました。明日も話せるかな? ちょっと楽しみです。

 ここに出てきたブリ○ッテさんはピータ○のおかあさんだそうですよ?


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