resistants and teaching of the duchess 2
「これは…、どういう状況なんだ…?」
頭痛と腹痛から回復した俺が目にしたのは、たくさんの人たち。
まず目につくのは、さっきのおばさん。
やたらデカい顔はお世辞にも整っているとは言えず、顎は無駄に尖っている。
着ている服の色は、けばけばしい。
そして、あの三人の庭師たちと同じように、トランプの四隅から手足を生やした、大勢の人たち。
三分の一は、やたらと威張った、全身に宝石を付けた中世の文官風の人。
カードのマークは、ダイヤ。
三分の一は、楽しそうに跳ね回っている、高級そうな服を着た子供たち。
カードのマークは、ハート。
残りは、さっきまで鞘華と弾正さんが戦っていた、兵士たち。
カードのマークは、クローバー。
これで俺たちは、スペード、クローバー、ダイヤ、ハートの四つの記号全てを見たことになる。
だが、問題はそこじゃない。
戦闘を済ませたクローバーの兵士たちは分かるが、ダイヤの文官たち、ハートの子供たち、顔のデカいおばさん、誰もあの黒い鎖を身に着けている様子はない。
俺たちは戦っていないにも関わらず、だ。
「なあ、俺が気を失っている間になにがあったんだ?どうしてこの人たちは黒い鎖に縛られていない?つーかこの人たちはなんなんだ?」
俺は混乱したまま矢継早に質問を投げかける。
『龍太ー、落ち着いて。ちゃんと答えるから。』
「あ、ああ…。すまん、パニくってた。」
俺は混乱する思考を落ち着かせる。
「じゃあ、私から説明しますね。」
この中で、一番不思議の国のアリスのことを知っている詩織が前に出る。
「私たちがチェシャーネコと戦って気を失った後、この人たちが私たちのことを見つけて、ここまで運んでくれたんです。」
それで、起きたらクロッケー場じゃなくて知らない場所にいたのか。
「みなさんストーリーを進めながらも、公爵夫人を中心にして、今までなんとかあの黒い鎖に対抗してきたそうですよ。」
「公爵夫人?」
「あ、まだ紹介していませんでしたね。」
そう言うと、詩織はあの顔のデカいおばさんに向かって顔を向ける。
「この人が公爵夫人です。」
顔のデカいおばさん、もとい、公爵夫人は俺に向かってニコリと笑いかける。
失礼ながら、正直その笑顔を見ると背筋がぞっとする。
「は、初めまして…、荒木です。」
「初めまして。無事に起きてくれたようで嬉しいわ。」
あんたに起こされたんだけどな。
でも、俺たちのこと運んでくれたし、案外いい人なのかも。
「その教訓はー『海で寝ると、早く起きないと沖に流される』。」
あ、ダメだ。この人も変な人だ。




