the fierce battle in the croquet court 6
チェシャーネコが吠えると、その身体から夥しい数の黒い鎖が出てくる。
目は血走って真っ赤に染まり、全身の毛が逆立ち、血管が浮き出て波打っている。
裂けそうなくらい開かれ、不気味に嗤うその口からは、長い舌が垂れ下がったままになっている。
「ど、どうしてこんなことになってるんだよ!錠前は全部破壊したはずだろ!」
弾正さんが混乱して怒鳴る。
「あ、あれ!舌、舌を見てください!」
鎧坂の言う通りチェシャーネコの舌を見ると、そこには大きな黒い錠前が、数本の黒い鎖をまとめていた。
「くそっ、まだあったのかよ!どうすんだよ、兄ちゃん!」
どうするって…。
…破壊するしかねえだろ!
「詩織、『封印』の文字魔法はまだ効いてるか?」
「はい、まだどうにか!」
そうか、良かった。ゴーレムを跳ね飛ばすようなパワーがあって、なおかつ転移までされたらたまったもんじゃない。
「みんな、詩織の文字魔法が効いてる間にあの錠前、破壊するぞ!」
「えっ、そんなー。荒木先輩、逃げましょうよー。あんなの勝てませんよ!」
「馬鹿か中坊!それこそあんなのから、全員無事に逃げられるはずねーだろーが!」
鎧坂が弱音を吐き、弾正さんが活を入れる。
「…大丈夫。私たちならきっと出来る。」
「そうですね。きっと大丈夫です。」
鞘華と詩織は、瞳に闘志をみなぎらせて武器を構える。
「うう…、分かりましたよ。戻ってこいっ、空虚!トランスフォーム、ロボットスーツ!」
「それでいい。来い、ホワイトホーク!」
鎧坂も端から諦めきっていた態度を変え、鎧を呼び寄せる。
弾正さんも銃を構える。
『龍太…。しつこいようだけど、あんまり無茶はしないでね…。』
「…悪い、リョウ。」
無茶するなって言う方が、よっぽど無茶だ。
「詩織は『拘束』の文字魔法が効かない以上、俺たちの『守護』とチェシャーネコの『封印』を途切れさせないよう専念してくれ!」
「はい!」
「鞘華は大きな一撃を溜めて、タイミングを見計らってお見舞いしてやれ!」
「了解。」
「弾正さんは後方から弾幕の展開。隙があれば大きいのを一発頼む!」
「あいよ。」
「鎧坂!お前はゴーレムでみんなを守れ!」
「は、はい!」
『それじゃあ、龍太はどうするのさ!』
俺か?俺は…。
「…俺は前に出る。前に出て時間を稼ぐ。」
「っ…!!荒木、それは無茶。いくら詩織の『守護』があるとは言え、一人で前に出るのは危険。」
「そ、そうですよ荒木さん!何も、そんな無茶しなくても…。」
鞘華と詩織は俺を止める。
「…無茶しねーと勝てねえ相手ってことか…。」
弾正さんは分かってくれた。
「あ、荒木先輩…。」
鎧坂は、俺を止めるべきかどうか、迷っているようだ。
「時間がない。リョウ、みんな、行くぞ。」
『…しょうがないねー。絶対に怪我しないでね。』
「分かった。荒木、一人で突っ走るな。」
「頑張れよ、兄ちゃん。」
「気を付けてください、荒木先輩。」
「出来るだけサポートします。」
「ああ、分かってる。」
みんな、ありがとう。




