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the fierce battle in the croquet court 5









ねえ、もっとお話し聞かせて。


少女を寝かしつけるために、自分は絵本を三つも読んで聞かせた。


だが、少女は眠りにつく気配はまだない。


ダメよ、もう夜遅いから寝なさい。


お願い、あと一つ、あと一つでいいの。


しょうがないわね。あと一つだけよ。


自分は最初に読んだ本を、再び手にとる。


それじゃ、もう一度『不思議の国のアリス』を読んであげる。


これ読んだら、もう寝るのよ。


やった、早く読んで読んで。


とてもワクワクした様子で、黒髪の少女は目を輝かせる。


本当に、『不思議の国のアリス』が好きな子ね。


自分は、その絵本を読み始めた。





半分ほど読んだところで、ふと少女に目をやると、いつの間にか少女は小さな寝息を立てて眠っていた。


やっぱり、まだまだ子供ね。


自分は少女に布団を掛けなおし、少女の額にキスを落とした…。









意識がもとに戻る。


立ち上がって周りを見渡すと、みんなも次々と意識を取り戻して起き上がり始めていた。


「みんな、大丈夫か?」


念のために、俺は呼びかける。


「…ん、大丈夫。」


「ああ、問題ねえ。」


「大丈夫です。」


「私は少し疲れましたー。」


詩織以外はみんな立ち上がったが、詩織はその場に再び座り込んだ。


無理もない。『守護』五人分に、『拘束』と、『封印』なんて新しい文字魔法を使ったのだから。


「詩織、お疲れ。少し休んで。」


鞘華が詩織を気遣う。


「そうだな、今回の一番の功労者はある意味嬢ちゃんだしな。」


弾正さんも言う。


「本当にそうですよねー。あれだけ苦戦したチェシャーネコを、あっさり無力化できて、倒せましたし。詩織ちゃんじゃなくて詩織様と呼ばなくちゃ。」


鎧坂がおどける。


「やめてください、もー。」


詩織は苦笑いする。


さて、チェシャーネコはどうなっているかな?


俺は、今だに鎧坂の鎧、空虚のゴーレム形態に押しつぶされているチェシャーネコに近寄った。


あれだけ大暴れしていたチェシャーネコはピクリとも動かず、地面に倒れ伏している。


尻尾も鎖も垂れ下がったままだ。


…鎖?


『…っ!!龍太、離れて!!』


そうだ、錠前はさっき詩織が破壊したはずなのに、どうして鎖が消えていない?!


俺がそのことに気付いたのと、リョウが叫び声をあげたのと。


そして鎧坂のゴーレムが、跳ね飛ばされたのはほぼ同時だった。


『「「「「「なっ!!」」」」」』


嘘だろ!!鎧坂のゴーレムを、簡単に!!


チェシャーネコはゆっくりと身を起こして、四肢を脚につけて、踏ん張る。


それだけで、チェシャーネコの全身が膨れ上がり、詩織の文字魔法の白い鎖が飛び散った。


「そんなっ!!」


詩織は思わず叫ぶ。


詩織の文字魔法まで…。


そしてチェシャーネコは、空に向かって吠えた。


「ギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!!!」


戦いは、全く終わっていなかった。








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