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the fierce battle in the croquet court 2

灰色の霧の満ちたその場所は、地面がやたらとぼこぼこしていて、とても球技が行われるところとは思えない。


そんなクロッケー場には、人影ひとつ見当たらなかった。


「誰もいないな。」


「荒木、静かに。油断しないで。」


「わりい。」


俺たちは霧の中を、武器を構えてひと塊になって、ゆっくりと進んでいく。


不意に、鞘華が振り向く。


「詩織、後ろ!」


鞘華の叫びのすぐ後に、何かが壁に弾かれるような鈍い音が響く。


「!!やあ!」


すかさず詩織が白い万年筆を背後へと振るうが、詩織の背後にいた何者かは、そのペン先が当たる前にその場から消え去る。


『今度は前だよ!』


ハンマーとなっているリョウからの声を聞いて、俺たちは前を向く。


そこには長い尻尾と、身体から伸びる鎖を揺らめかせながら立つ影があった。


「やっぱり来たな、チェシャーネコ。」


「シャアアアアアアアアア!」


チェシャーネコは口が裂けそうなくらいニタニタ笑いながら、俺たちに対して威嚇する。


そして上を見上げると、大きな声で吠えた。


「ナアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」


すると霧の向こうから、規則正しい足音とともに無数の影が現れる。


「なっ!!なんか来ますよ!」


「それくらい見れば分かるわ!気を抜くなよ中坊!」


足音が近づいて来て、どんどん大きくなるにつれ、影の姿がぼんやりと浮かんでくる。


それは先ほどの庭師と同じように、胴体がトランプで、四隅から短い手足の生えた人たちだった。


先ほどと違うのは、そのトランプの人たちが明らかに兵隊らしき武装をしていること。


兜を被り、手には先端にクローバー形の重しの付いた棍棒を持っている。


胴体となっている、黒地に白いクローバーが描かれているカードには、黒い鎖が小さな黒い錠前で取り付けられている。


何十人ものトランプの兵隊たちは、俺たちをぐるりと取り囲み、棍棒を構える。


その囲みの外で、チェシャーネコがニタリと笑う。


数の上では圧倒的不利。


だが、それがどうした。


「最悪の事態を想定していましたが、これは思ったより少ないですね。」


「こ、これならいけそうです!」


詩織が万年筆を構え、鎧坂が鎧を召喚する。


「なんだ、少ねえな。」


「ん、瞬殺。」


弾正さんは肩に銃を担ぎ、鞘華が刀を正眼に構える。


「鞘華、弾正さんはトランプの兵隊たちの相手をしてくれ。チェシャーネコは俺と鎧坂、それに詩織で相手する。」


「あいよ。」


「了解。任せて。すぐ終わらせて、そっちを手伝う。」


二人は本当に頼りになるな。


「詩織は文字魔法でチェシャーネコを拘束してくれ。その間、俺と鎧坂で詩織を守るぞ。」


「わ、分かりました!」


「はい、頑張ります!」


鎧坂も詩織も、やるときはやってくれる奴らだ。


安心して一緒に戦える。


「よし、行くぞ!」


鞘華と弾正さんはトランプの兵隊たちの方へ、俺と鎧坂、詩織はチェシャーネコの方へと飛び出した。








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