second visit and depressing garden 4
そいつらは、胴体が大きなトランプの奇妙な人だった。
カードの四隅から短い手足が生えている。
胴体のカードは裏が真っ黒で、表に黒地に白で数字とスペードのマークが描かれている。
体には細い黒の鎖と、小さな黒い錠前。
その上から、詩織の魔法の白い鎖が絡みついて、三人を縛りつけている。
三人はじたじた暴れてもがくが、白い鎖はほどける様子はない。
「うおっ!びっくりした!」
弾正さんがホワイトホークを取り出し、素早く三つの錠前を破壊する。
トランプの三人はビクリと動いた後、意識を失った。
黒い鎖は飛び散ってなくなり、次いで白い鎖もゆっくりと消えていった。
…あっという間の戦闘だった。
「この人たちがさっき言っていた、間違えて白い薔薇を植えた庭師です。物語の中では、女王に花を塗っていたのがバレて、処刑されそうになるんですが、アリスが植木鉢の中に隠して助けたんです。」
それはなんとも哀れな経歴で…。
「もしかしてと思いましたら、やっぱり隠れていましたね。」
詩織は足元に転がっている庭師をつつく。
すると、カードにスペードの2の描かれたその庭師が目を覚ました。
ぼんやりしながら辺りを見渡し、はっとする。
「大変だ!植木鉢から出ちまった!おい!2、5!俺たち、植木鉢から出ちまってる!」
すると他の庭師も飛び起きる。
「大変だ!兵隊に見つかっちまう!」
「首をはねられちまう!」
三人はわらわらと元の植木鉢へと戻り、互いに押し合いながら中に入って隠れようとする。
「もしもし、庭師さんたち。安心してください。兵隊さんたちはもう行ってしまいましたよ。」
詩織がそう声を掛けると、三人の動きはぴたりと止まる。
「ほ、本当ですかい、お嬢さん?」
2の庭師が尋ねる。
「はい、もう大丈夫ですよ。」
詩織が言うと、三人はほっとした。
「全く、驚かすなよ、7!お前はいつもうっかりしてるんだから。」
「5、それを言うならお前だってさっき植木鉢にまた隠れようとしてたじゃないか。」
「5に7、今はそれよりこれからどうするか考えないか?」
言い争いを始めた5と7の庭師を、2の庭師が止める。
「それもそうだな。2、どうすればいいんだ?」
「とりあえず、証拠隠滅しよう。今度こそ薔薇をすっかり塗ってしまうんだ。」
「それはいい!そうと決めればさっさとやろう!」
三人は、さっきの薔薇の並木道へとばたばたと走り出す。
「あの!クロッケー場はどこでしょうか?」
詩織が慌てて尋ねる。
「クロッケー場?それならあっちですよ!」
庭師たちは薔薇の並木とは反対方向を指さして、そのまま走り去っていった。




