second visit and depressing garden 3
細い通路を抜けた先には、大きな庭園があった。
あちこちに飾られている彫像は素晴らしく、広い花壇もきれいに整えられている。
だが、彫像にはあちこちに黒い鎖がまるで蔦のように絡みつき、花壇の花は全て漆黒に染まっていた。
水が吹き上がっているはずの噴水も、鎖が巻かれ、水が止まっている。
辺り一面薄い灰色の霧に満たされていて、その庭園は薄暗く、陰鬱な雰囲気を醸し出していた。
「なんだか気味が悪い庭園ですね。ボクもう帰りたくなってきましたよ。」
鎧坂がもう弱音を吐いている。
気持ちは分からんでもないが、ちょっと早すぎるだろ。
しばらく進むと、俺たちよりも背の高い薔薇の木(薔薇は本当は低木のはず…)の並木道が見えてきた。
そのたくさんの大きな薔薇も、花びらは黒色なのだが…。
「なあ、この薔薇の色、なんかおかしくないか?」
弾正さんが言う。
そうなのだ。他の種類の黒い花と違って、その薔薇の黒は妙にテカっていた。
薔薇の花の一つに鞘華が近づき、そっと花びらをめくる。
「…白いところがある。」
俺たちもそれぞれ薔薇の花を手に取る。
「本当だ。」
「白いところがありますね。」
「ムラがあるな。」
確かに、花の内側や花びらの裏に、所々白い部分があった。
「その黒い薔薇は、白い薔薇をペンキで塗ってるんです。」
詩織がそのわけを教えてくれる。
「庭師が間違えて白い薔薇を植えてしまったんです。それで女王様に見つかる前に誤魔化そうと、庭師たちがペンキを塗って誤魔化そうとするんです。」
そう言えば、そんな描写があったような気も…。
「ただ、物語ではペンキの色は赤のはずなんですが…。」
そう言って、詩織は不思議そうな顔をしている。
『物語と違うところがあるのは、それだけこの無意識の世界全体が、歪みに囚われてるってことじゃないかなー?手遅れになる前に、早くアリスを解放しよう。』
リョウが推測して答える。
「そうだな。さっさと行こうぜ。」
俺たちは再び歩みを再開させた。
しばらく進んで薔薇の並木道を抜けると、大きな植木鉢が一つ置いてあった。
「ちょっと止まってください。」
不意に詩織が俺たちを静止させる。
そして大きな白い万年筆を取り出すと、地面に文字を三つ、書き始める。
「文字魔法、拘束!対象、スペードの2,5,7さん!」
三つの『拘束』という文字は、白い光の粒となり、植木鉢の方へ飛んでいく。
そして。
「「「グエッ!!」」」
くぐもった声と共に、植木鉢がガタガタ揺れたと思うと、中から何かが転がり出てきた。




