second visit and depressing garden 2
俺たちは薄暗い広間の中を進んでいく。
最初に来たときは、端から端まで歩くのに三十秒もかからなかったが、体が縮んだ状態だと十何分はかかっているだろう。
「でも詩織、最初に来た時に全部のドアを調べたんだが、全部に鍵がかかってた。それに今の俺たちの身長じゃ、ノブまで届かねえぞ。どうするんだ?」
「たぶんアリスが通った後ですから、開くべきドアの鍵は開いてますよ。それに、身長のことなら心配ありません。むしろ私たちの大きさはこれくらいじゃないと、今から入るドアはくぐれませんよ。」
「…そんな小さなドア、あったか?」
俺たちは、やっと広間の端へと到達する。そこには、黒いカーテンが引かれていた。
「はい、ありますよ。ここに。」
詩織がカーテンを思い切り引いて開くと、俺たちがちょうど入れるくらいの大きさの、黒い鎖の巻かれた金色のドアが現れる。
「なっ!?そんなところに!?」
「…やっぱり気付いてなかったんですね、荒木さん。」
「やはり荒木は残念。」
なんで鞘華はいつも俺の心の傷を抉りにくるんだ…。
『うう…、僕も気が付かなかった…。』
「リョウ君は残念じゃない。」
やっぱり今回もアホだったのは俺一人か。
「ドンマイ、兄ちゃん。」
「ドンマイです、荒木先輩!」
やめてくれ、弾正さんに鎧坂。余計に心が潰れる。
俺が二人に慰められている間に、鞘華はさっさと巻かれている黒い鎖を切断する。
俺が試したときと違って、鎖は簡単に崩れ落ち、再生することはなかった。
「ん、開いた。」
鞘華はドアノブを捻って、ドアを開く。
その先には、細い通路が続いていた。
「それじゃあ、行きましょうか、ハートの女王の庭園へ。」
そう言って、詩織は先へと進む。
「ん、行こう。」
「さてさて、今度は何が出ることやら。おっさんもう疲れたわ。」
「ボクもう戦いたくありませんよ。」
「中坊、お前は鎧を戦わせてるだけだろ。」
「弾正先輩こそ、銃をぶっ放してるだけじゃないですかー。」
「んだとこら。」
「ヒッ!」
「こら、喧嘩しない。」
「うっ、すまん姉ちゃん。」
「すみません、鞘華先輩。」
鞘華、弾正さん、鎧坂も後に続く。
『龍太ー、いつまでへこたれてるのさー。もう行くよー。』
「分かってるよ!おいみんな、ちょっと待てって!」
俺もいい加減に起き上がり、先に行きかけていたリョウを捕まえて肩に乗せて、みんなの後を追った。
俺が最後に細い通路へと入った後、金色のドアはひとりでに閉まる。
誰も居ない広間に、金属のこすれる、甲高い音だけが響き渡った…。




