second visit and depressing garden 1
「なあ、詩織。ヤマネはこっちの方を指さしてたが、このまま真っ直ぐ行けばいいのか?」
「まあ見ていてください。もうすぐ見つかるはずです。」
何が?
「ほら、ありました!あれです!」
詩織の指し示す方には、幹にドアの付いた木があった。
「嬢ちゃん。このドアの先には何があるんだ?」
「それは開いてみれば分かります。特に荒木さんには。」
え、俺?
「なんで俺が分かるんだ?」
「まあまあ。まずは開いてみてください。」
「あ、ああ…?」
言われるがままに俺はドアに近づき、ドアノブをひねると、ドアは鈍い音を立ててゆっくりと開いた。
すると隙間から、黒い霧が漏れ出してきた。
「うおっ!」
俺は思わず顔を腕で庇う。
霧は、あっという間に辺り一面を覆った。視界が黒一色に染まる。
「詩織ちゃん!どうなってるんですか?!何も見えませんよ!」
鎧坂の混乱した声が聞こえる。
「大丈夫ですから、その場を動かないで下さい!」
詩織が大きな声で言う。
「リョウ、この霧大丈夫か!」
『うん、単なる黒い霧だよー。別に吸ってもいいから安心してねー。』
そうか、なら良かった…。
しばらくして、次第に霧が晴れていく。
そして現れたのは、巨大なドアがいくつも並んでいる、薄暗い広間だった。
…あれ…?
「なんか、見覚えがあるような…?」
『龍太ー!ここ、最初に来た広間だよー!』
「あっ!本当だ!」
広間全体は記憶にあるよりはるかに大きくなっているが、そこは確かにあの広間だった。
「アリスはここに、二回も来るんです。だからもし荒木さんがここから動かなければ、アリスに会えたはずなんですよ。」
「えっ。」
じゃあ、俺はアリスに会うのに凄い遠回りをしてたってことか?!
「なんて残念な荒木。」
「ぐおお…。」
鞘華が俺の心を抉り、俺は倒れ伏す。
『鞘華ー、これはしょうがないんだよ。たぶんあのウサギに、ここから無理やりフェードアウトさせられたんだから。』
珍しく、リョウが俺のことを庇う。
『そうじゃないと、僕まで残念みたいじゃない。』
「ん、リョウ君は残念じゃない。」
やっぱり庇う気ゼロかよ!
ところで…。
「なあ詩織、この広間、最初に来た時よりずいぶん大きくなっているように見えるんだが…。」
「それは、この広間が大きくなってるんじゃなくて、私たちが小さくなってるんです。」
「そうなのか?」
「はい。物語では、アリスは何かを食べることで大きくなったり小さくなったりして、いろんなところに行くんです。でも私たちは、どうやら勝手に大きさが変わっているみたいですね。」
「じゃあ、今まで出てきた巨大な動物たちは…。」
「そうです。動物たちが大きかったわけじゃなくて、私たちが動物並に小さくなっただけなんです。」
そうだったのか…。




