the everlasting tea party 9
「弾正さん、鎧坂さん。二人の言っていることは本当ですよ。」
詩織が言う。
「帽子屋さんは今時間さんと喧嘩していて、時間がずっと進まないんです。そのせいで、時刻がずっと六時、お茶の時間のままなんです。」
なんじゃ、そりゃあ。
「ほう、あんた、よく知ってるね。」
何故か懐中時計をお茶に浸しながら、帽子屋は言う。
「ワインを飲むかい?」
三月ウサギが勧める、が、ワインなんてどこにも見当たらない。
「この場にワインなんかありません。つまり、このお茶会には招待してもらえないということですね。」
詩織が言う。
「そりゃあそうさ!あんたらには、追うべき人がいるだろ!」
なんか、なぞかけみたいな会話だな。
「帽子屋、三月ウサギ。アリスはどこに行ったの?」
鞘華が尋ねる。
「ヤマネに聞こう!起きろ、ヤマネ!」
三月ウサギが熱い紅茶をヤマネの鼻先に注ぐ。
ヤマネはイヤイヤと顔を振って、目を開ける。
「分かってる、うん、分かってるよ。君たちの言う通りだ。」
いや、何もわかってねーよ。
「ヤマネ、アリスはどこだ!」
帽子屋が耳元で叫ぶと、ヤマネは顔をしかめながら、ある方向を指さした。
「だってさ!ほら、さっさと行った行った!」
そう言って、三月ウサギはしっしと俺たちを追い払うしぐさをする。
「か、可愛くないウサギですね…。」
思わず鎧坂が呟く。
「いいんですよ。なんせこの人たちは気が狂ってるんですから。」
そう言えばそんな設定だったな。
「じゃ、ありがとうございました。あんまりヤマネさんをイジメないであげてくださいね。」
そう言って、詩織はヤマネの示した方向へと歩き始めた。
「おい嬢ちゃん。もう出発していいのか?疲れてるんじゃないのか?」
弾正さんが気を使う。
「大丈夫です。ヤマネさんをモフモフしたらリフレッシュしたので。」
「そ、そうか…。」
それだけで疲れが取れるとか、なんて便利な体なんだ…。
弾正さんも若干引いている。
「それじゃあ、行きましょー。早くアリスを助けて、ボクたちはさっさと目を覚まさなければいけませんし。」
「でしゃばんな中坊。でもまあ、確かにその通りだな。」
詩織のあとに、弾正さんと鎧坂も付いて行く。
「俺たちも行こうか。」
「そうね。」
『りょうかーい。』
俺、鞘華、リョウも三人の後を追った。
あとには、眠りこけるヤマネをテーブルの上に広げて、テーブルクロス代わりにしようとする三月ウサギと帽子屋が残った。
最後まで、ヤマネの扱いひどすぎだろ…。




