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the everlasting tea party 7









四月の上旬。


日本に来てから初めて、桜を見た。


図鑑でその花を見たときは、随分色の薄い花だと思った。


正直、実物の花も味気ないものだと思い込んでいた。


だが、少女にせがまれて見に行き、目にした桜は、図鑑でみたものとはまるで違っていた。


美しかった。


雲一つない青空に、風に吹かれて薄紅色の花びらが舞い踊る。


決して派手ではないはずなのに、桜の花は輝いて見えた。


ふと、裾を黒髪の少女に引かれる。


キレイだね。すごく、すごくキレイ。


少女ははしゃいでそう言う。


そうね。とても綺麗ね。


私が答えると、少女は嬉しそうに笑う。


ねえ、遊んできてもいい?


いいわよ。転ばないように気を付けてね。


少女は駆け出し、花びらの中でくるくると回る。


桜の花びらを髪につけ、はしゃぎ回るその様子は、とても愛おしかった。










「いたた…。なるほど、これが錠前を破壊したときに起こる現象ですか。言うならばアリスの記憶のカケラってところですかね。」


頭を押さえながら、詩織は言う。


『そうだねー、それがぴったりの表現かもね。』


リョウも同意する。


「それで詩織、さっきは何が起こったんだ?」


いきなり空気が震えたと思ったら、空中に黒い鎖と錠前が現れたが…。


「はい。あの時荒木さんに言われて、私は何か見落としていることがないか考えました。物語の中で、アリスが三月ウサギの家に来る場面のアリス以外の登場人物は三人。三月ウサギとヤマネ、それに帽子屋です。」


なんだ、別に他に誰かいたわけじゃないのか。


「でも、直接は出てきてないけれども、帽子屋の会話の中に出てきていて、なおかつさっきの戦闘に関わっていた登場人物が一人、いたんです。正確に言えば、登場人物ですらないんですが。」


「それって…。」


「はい、『時間』です。この物語の中の時間には、人格があるんです。」


なるほどな。


「帽子屋たちが時間を操っていたわけじゃなくて、時間が帽子屋たちを操っていたわけだ。」


「その通りです。それで確信は持てませんでしたが、私は『時間』に拘束の文字魔法を使ってみたんです。対象さえはっきりすれば、掛けることができますから。そしたらああなったってわけです。」


そういうことか。


それにしても、時間にさえ使える詩織の文字魔法って本当にすげえな…。


あれ、詩織の魔法さえあれば、俺たちいらなくね?


「なあ嬢ちゃん、嬢ちゃんの魔法で錠前を破壊することはできないのか?」


弾正さんが尋ねる。


「はい、試してみたんですけど、対象を正しく把握できないのか、文字魔法をかけることさえ出来ませんでした。なんなんですかね、あの鎖と錠前。」


そうか、出来ないのか…。


『龍太ー、今ほっとしたでしょー。』


「う、うるせえ!」








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