the everlasting tea party 6
そう、俺たちは時間を稼いでいただけだ。
詩織が新たな文字魔法を発動する時間を。
「文字魔法、拘束!対象、帽子屋さん、ヤマネさん、三月ウサギさん!」
効果は直ちに現れた。
「「「ヒヒッ?!」」」
俺のハンマーを躱していた帽子屋を。
バターナイフで鞘華と鍔迫り合いしていたヤマネを。
鎧坂の鎧と殴り合いを繰り広げていた三月ウサギを。
詩織の魔法は白い鎖となり、縛り上げる。
帽子屋たちはもがいて、逃れようとするが。
「そうはさせません!トランスフォーム、千手観音像!」
千手観音となった鎧が、無数の手で帽子屋たちをさらに抑え込む。
「「「イッ、イヒヒ!!」」」
帽子屋たちは時間を止めるが、詩織の文字魔法は解けず、鎧の無数の手も離れる様子はない。
時間は再び進み始める。
「捕まえました!」
「良くやった嬢ちゃんに中坊!あとは錠前見つけ出して、破壊しちまいな!」
よし、これで俺たちの勝ちだ。錠前さえ破壊すれば、帽子屋たちを縛る鎖は消滅する。
鎧坂は鎧を操り、帽子屋たちの体を確認していく。
「…、…あ、あれ…?」
…?
「どうした、鎧坂?」
「あ、ありません…。」
…え?
「錠前が、どこにもありません!!」
「なっ!?」
そんな馬鹿な!?
「…そんなはずがない、鎧坂、もう一度確認して。」
鞘華がそう促して、鞘華自身もその眼で確認していく。
だが。
「や、やっぱりありません…。」
「ない…。」
どうなってんだよ、一体。
「リョウ、何か分かるか?!」
『あの鎖、今までのと同じ感じがするよ!どこかに錠前があるはずだよ!』
「でも現にないぞ!どうするんだよ!」
『そんなのわかんないよお!』
くそっ、どうなってやがる!
「みんな!早くしないと拘束が解かれます!」
鞘華は試しに帽子屋たちの鎖を斬ってみるが、やはり今までと同様再生される。
「ちっ…。やっぱりダメ…。」
「詩織、なんかないか!まだ出てきてないキャラクターがいるとか!」
「えっ!そんな!この場面ではもういないはずです!三月ウサギにヤマネ、帽子屋、あと…。」
詩織は頭を抱えて必死に考える。
「…っ!そうか!いや、でも…。えい!ここは思い切ってやってみます!」
鞘華は、白い大きな万年筆で地面に文字を書き始める。
書き上げたのは、新たな拘束の文字。
「文字魔法、拘束!対象、時間さん!」
その瞬間。
…ぐうおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
空間が揺れ、歪み、空中に黒い鎖と錠前が現れる。
「弾正さん、あれ!」
「おう、任せな兄ちゃん!」
それを見て素早く弾正さんが狙い、撃つ。
弾正さんの弾丸は正確に空中の錠前を撃ちぬく。
それと同時に、空中と、帽子屋たちに巻かれていた鎖が飛び散り、消え去る。
そして俺たちは、覚えのある頭痛と、記憶の奔流に意識を蝕まれていった…。




