the quick piglet and a warning 3
「ありがとな、あの子を助けてくれて。」
カエルは頬をポリポリ掻きながら、俺に言った。
…照れるカエルとか、誰得だよ。
ぶっちゃけ、気持ち悪かった。
「あ、ああ。気にすんな。つーか、なんで俺に言うんだよ。」
直接助けたのは鎧坂だし。
「だってあの人忙しそうだし。」
鎧坂はまだ弾正さんに追いかけられていた。
「それにあんたは、一人ぼっちで暇そうだったから。」
カエルにまでボッチ扱いされた!
俺は思わずがっくりした。
…ええい、ままよ。
話しかけられたついでに、いろいろ聞いておこう。
「なあ、あんた。アリスがどこにいるか知ってるか?」
「…ああ、あの娘のことか。知らん。わしはここでずっと番をしてるだけだしな。」
「じゃあ、この無意識の世界で何が起こってるかは分かるだろ?」
「それも知らん。」
こ、このカエル、役にたたねー。
…そういえば、前に青虫が何か言ってたな。
「なら、猫については何か知っているか?青虫に猫に気を付けるよう言われたんだが。」
「猫か…、ふむ…。」
カエルは考え込む。
「…チェシャーネコのことか?」
なんだか聞いたことがある名前が出てきた。
「それって確か不思議の国のアリスに出てくる猫だった気が…。」
「そう、あいつもこの物語の登場人物だ。この屋敷に時々やってくる猫だ。」
「あんた、そいつについて何か知ってるか?」
「さあ、わしはチェシャーネコと話したことがないからな。一つ言えるとしたら、あいつは消える。」
「…消える?」
それってどういうことだ?
だがカエルは、口を閉ざしてしまい、それ以上教えてくれなかった。
…青虫の言っていた猫というのは、そのチェシャーネコとかいうやつのことだろうか?
「荒木先輩ー、いつまでカエルと話してるんですかー。置いていきますよー。」
慌てて振り返ると、俺以外のやつらはいつの間にか出発しようとしていた。
鎧坂は生き残ったようだ。
弾正さんは取りあえずどつくのに満足したらしい。
鞘華はその腕にしっかりと子豚を抱えている。連れていくつもりなのか?!
『龍太ー、置いてくよー。』
「ちょっと!待ってくれよ!」
俺は急いでリョウたちを追いかけた。
「…あの娘のこと、頼んだぞ…。」
カエルの呟きは、薄暗い森の中の木々の間へと消えていった。




