the crazy cook in smoke 4
鎧はその無数の手で、料理人に殴りかかる。
そのスピードは、さっきと違って素早い。
「ゲへへ!?」
料理人も両手のフライパンと食器の弾幕で応戦するが、無数の拳から繰り出される連撃が徐々に料理人を追い詰める。
そして遂に、料理人の両手に握られたフライパンが叩き落とされる。
「いっけえええ!空虚!」
鎧坂の叫びに応えて、鎧は一気にその無数の手を繰り出す。
為す術なく料理人はその手に囚われ、四肢を拘束される
そして残りの手は、料理人の頭のコック帽の錠前に伸ばされ…。
届く寸前に飛来した白い弾丸に打ち砕かれた。
『「「「あっ。」」」』
料理人が力を抜き、かっくりと倒れ、それを鎧がそっと地面へと下す。
俺たちは唖然として、弾正さんの方を見る。
弾正さんは構えていた銃を下して、こちらを振り向き…。
「…フッ。」
鎧坂を見て思い切り嗤った。
「え、ええー!?」
おいしいところを持っていかれた悲しみと驚きで、鎧坂は奇声を上げる。
例の頭痛に襲われながら、俺は思った。
鬼畜過ぎるよ、弾正さん…。
自分は少女にねだられて、クッキーを作り始めた。
腰に縋り付いて、まだかまだかとソワソワしている少女の様子を見て、思わずクスリと笑う。
待ちきれない少女を見かねて、自分は少女に手伝うように言う。
少女のために用意した空色のエプロンと三角巾を着け、少女は自分と一緒に生地をこね、型を抜き、オーブンに入れる。
出来上がるまでオーブンの前から離れようとしない少女のために、自分は椅子を持ってくる。
そうして二人で、だんだん焼きあがっていくクッキーの匂いを楽しんだ。
二人で焼いたクッキーは、とても温かかった…。
「いて、いてて、いててててててててててててててててて。」
全てが終わったあと、鎧坂は再び弾正さんにアイアンクローを決められていた。
哀れ鎧坂は、床から10cmほど浮いている。
だが俺には何もできない。弾正さんがおっかな過ぎて、何も言えない。
「…弾正。そろそろ鎧坂が死ぬ。」
「む、そうか。」
鞘華が声を掛けて、やっと弾正さんは鎧坂を解放した。
「いてて…。何ですかいきなり!」
鎧坂が抗議の声を上げる。
「おい中坊…、てめえ、なんであんなこと出来るって黙ってた…。」
「ひっ…。」
そう、俺たちはあの鎧があんな風に変形できるとは一切聞いてないなかった。
「い、いやー。ほら、必殺技はここぞというときに使いたいじゃないですか。先輩方がピンチになって、ここで俺の隠れた力を見せてやるー的な…、あ、やめてください。もうアイアンクローはやめてー!!」
南無…。




