Extra story / Sora Yoroizaka 1
その時ボクは塾の自習室にいた。
ポケットの中のスマホが、バイブレーションでメールの着信を知らせる。
息抜きついでに、ボクはスマホを取り出してメールを開く。
件名は『Please help Alice.』
おかしいな、こういうメールは拒否されるように設定してあるのに…。
その時、スマホの画面が激しい光の点滅を始める。
それを目にした俺は急に意識を失い、机の上に突っ伏した。
気付いたら、ボクは鏡でできた迷路のような場所に立っていた。
一体ここはどこだ?
どうしてこんなところにボクはいる?
何も理解できず、突っ立っていると、鏡の中のボクの像が勝手に動き出し、語り掛けてきた。
『ボクが君の像?笑わせないでよ。君の像は君の背後にある鏡に映ってるよ。』
ボクは後ろを振り返り、息を呑んだ。
背後の鏡に映るボクの姿はあまりにも歪み、表面があちこち剥がれ落ちている。
そこから覗くボクの中身は、空っぽだった。
「う、嘘だ…。」
ボクは思わず鏡から後退る。
気が付くと、ボクの体はあちこちヒビが入り、剥がれ落ちている。
中身はやはり空っぽだった。
『嘘じゃないよ。それが君の本当の姿。君は中身のない、ただの張りぼてさ。
いや、少し違うか。今の君は張りぼてですらない。見てみなよ、こうしている間にもどんどん表面が剥がれ落ちて行ってる。』
「えっ!?」
慌ててボクは自分の手を、足を見る。
本当に今、この瞬間もボクの姿は崩れていた。
自分がどんどん消えて無くなっていく。そのことにボクはぞっとした。
「ど、どうしたらいいんだよ!このままじゃボクは消えてしまうよ!」
ボクは鏡の中の、自分の姿をした何かに問いかける。
『君が消える?大丈夫だよ。表面が剥がれ落ちてるだけだから。』
冷たい声でそいつは答えた。
「で、でもボクの中身がないじゃないか!ボクの中身はどこに行ったんだよ!」
『君の中身?ああ、中身ね。
…そんなもの、初めからなかったよ。』
…え?
「ど、どういうこと?」
『そんなこと、君が一番知っている筈だよ。分からないなら、ボクが思い出さしてあげる。』
そういうと、そいつは鏡か手を伸ばし、鏡面を潜り抜けて、ボクの頭に触れる。
すると、頭の中に様々な記憶が、感情が溢れ出てきた…。




