empty armor in front of the crazy house 1
俺たちは、青虫の指し示した方向へと歩いて行く。
「…なんか黒い鎖があってもなくても面倒な虫だったな。」
「兄ちゃんなんか完全に気圧されてたしなー。」
「…虫にビビる荒木。」
『かっこ悪―い。』
「うっせ。」
またしても鞘華とリョウが組んで俺のメンタルを潰しに来る。
お前らは俺を廃人にでもしたいのか。
「それにしても兄ちゃん、青虫の言うことは正しかったみたいだな。」
そう、俺たちは正しく進んでいるらしく、順調に歩いて行っている。
さっきみたいに同じところをぐるぐる回ることなどなく、無事にキノコの森を抜けていた。
「この分だと次に出てくるのはチビの見た家かな?」
『そうだねー。上から見た感じ、そう遠くにあるわけでもなかったから、多分もうすぐ着くと思うよー。』
そんなことを言っているうちに、俺たちは開けた場所に出た。
少し遠くに、こじんまりとしているが立派な屋敷が建っている。
「ん、リョウ君の言う通りあった。」
俺たちは屋敷に近づく。
が、手前で足を止めた。
「なんじゃこりゃあ…。」
そこではかなり混沌とした光景が繰り広げられていた。
一言で言ってしまえば、カエルと魚が全身鎧と殴り合っているのだ。
カエルと魚は、中世ヨーロッパの貴族に仕える召使い、と言った装いで、バッハが被っていたようなカツラを着けている。
その時点でおかしい。
しかも、その服から出ている手足は人間のものなのだ。
訳がわからない。
さらに目を引くのは謎の全身鎧の人物だ。
中世の騎士鎧というより、マンガやアニメに出てくるロボットスーツに近い造形のそれは、鞘華の刀や、弾正さんの銃のように白く輝いていた。
その装甲は見た目に負けず固いようで、カエルと魚の攻撃を受けてもびくともしていない。
だが動きは速くなく、攻撃を躱されて、二匹の首に掛けられた錠前を破壊できずにいる。
状況は、見事に膠着していた。
「…何だ、あれ?」
「…さあ?」
まあ、鞘華に聞いたところで分かるわけないが。
『とりあえず、鎧の人を早く手伝ってあげようよー。』
「チビの言う通りだ。下手したらあいつら、放っておいたらずっと殴り合うぞ。」
「それもそうだな…。」
「ここは任せて。私と弾正がやれば一瞬。」
それもそうだな。
「じゃ、任せた。」
「あいよ。任せな、兄ちゃん。姉ちゃんも頼むぜ。」




