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the big caterpillar in the mushroom grove 7

「もういいぞ、荒木!」


鞘華がそう声をかけたのは、俺が限界を迎えたのとほぼ同時だった。


すぐさま竜巻を消し去り、俺は無様に地面に転がる。


鞘華の刀は、これ以上ないほど白い輝きを発していた。


「銀雪よ、私たちを打ちのめそうとする鎖を切り開け。」


彼女は刀を振るう。そこから生み出された衝撃波は、今までで一番巨大で、美しかった。


衝撃波は、俺たちに襲い掛かろうとする黒い鎖の波をどんどん切り開いていく。


だが圧倒的物量の前に、衝撃波はだんだんか細く、小さくなっていき、とうとう最後には散ってしまった。


「うう…。」


鞘華が悔しそうに呻く。


だが鞘華の攻撃は無駄ではなかった。


鎖の波には、巨大な楔を切れ目が出来ていた。


「よっしゃ、良くやった姉ちゃん。あとは任せろ。」


そう言って、弾正さんが切れ目に向けて銃口を向ける。


その先には、巨大な光の玉が浮かんでいる。


「撃ち砕け、ホワイトホーク。」


引き金が引かれ、巨大な光の玉が切れ目に撃ちこまれた。


光の玉は、みるみる黒い鎖を削り取り、青虫のもとへと近づいて行く。


だがその速度はどんどん落ちていく。


光速から音速へ。


音速から秒速へ。


青虫に到達する寸前、遂に光の玉は止まり、逆に俺たちに向かってはじき返される。


「なに!!!」


慌てて弾正さんは弾を撃つが、勢いを止まる様子はない。


このままじゃ、俺たちはあと一歩のところで逆にやられる。


…ふざけんな。


ここまで来て、やられてたまるか。


動け、俺の体。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


「な、荒木!」


「兄ちゃん!」


俺は限界なんて無視して、光の玉の前に飛び出す。


そして思い切りハンマーを叩き付ける。


「いっけええええええええええええええええええええええええ!!!」


光の玉はコンマ数秒ハンマーと拮抗すると、再び青虫へと飛んでいく。


「ぶっ壊れろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


そして残り僅かな鎖を破壊しきって、遂に青虫のもとへと到達した。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


そのまま光の玉は、青虫に直撃し、包みこんでいった…。









椅子に座って書き物をしていると、突然視界が遮られる。


瞼に感じるのは幼い少女の手のひらの熱。


少女は尋ねる。だーれだ、と。


自分は微笑んで、答える。


私のかわいいアリス、と。









記憶が流れ込んできたということは、無事に青虫の胸元の錠前も破壊できたということだろう。


若干焦げているが、青虫も無事だ。


だが俺は、ほっとすることなど出来ない。


「うぐっ!」


限界を超えた俺の体は、とうとうその時を迎えようとしていた。


「荒木、大丈夫?!」


「兄ちゃん?!」


やめてくれ。二人とも、今の俺に近づかないでくれ。


込み上げてくる熱いものを、俺はとうとう…。


「オロロロロロロロロロロロロ…。」


「きゃー!!!」


『あーあ、とうとうやっちゃった…。』


俺の竜巻のもう一つの致命的な弱点。


それは、俺があれをやるとすぐに酔うことだった。









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