the big caterpillar in the mushroom grove 6
「な、なんだ一体!急にあの巨大青虫、笑い出したぞ!」
「落ち着いて、弾正さん!多分前に話した化けウサギと同じパターンだと思う。」
そう、もしこの青虫が化けウサギと同じように強化されていたとしたら…。
青虫は起き上がると、脚の一本一本に鎖を持ち、振るい始めた。
化けウサギと比べれば、青虫は機動力がない。
だがその操る鎖の数は、化けウサギと比べ物にならない。
無数の黒い鎖が、一本一本がまるでヘビのように襲い掛かってくる。
「はああああああああああ!!」
「うおおおおおおおおおお!!」
鞘華と弾正さんは、無茶苦茶に衝撃波を、弾丸を飛ばし続ける。
だがそれでも、すべての鎖を受けることはできず、何本もの鎖が俺たちのもとへと迫ってくる。
「せいやああああああああ!!」
それらは全て、俺が叩き壊していく。
だが、黒い鎖は破壊しても破壊しても無限に再生し、際限なく襲い掛かってくる。
「ど、どうするよこれ!きりがないぞ!」
戸惑う弾正さん。
「ごめん、ごめん…。私が外したせいで…。」
すでに心が折れかけている鞘華。
これはもう時間がない。
あれを使うしかないか…。
俺は手を止めることなく二人に声を掛ける。
「鞘華、弾正さん。手を止めずに聞いてくれ。二人とも、時間があれば大きいの一発、撃てるよな?」
「えっ、うん。」
「そ、そうだな。」
「俺が時間を稼ぐ。その後二人で強力なのを頼む。」
「お、おい、兄ちゃん。本当にこれだけの鎖、一人で捌けるのか。」
「ああ、少しの間だけならな。」
すると、ハンマーになっているリョウが言葉を発した。
『ちょ、ちょっと待って、龍太。君、もしかして…。』
「ああ、あれをやる。」
『ダメだよ!あれをやったら君は…。』
「分かるだろ、そんなこと言ってられる余裕はないって。」
『うん…。』
「とにかく頼むぞ、二人とも。もちろんリョウも。」
そして、俺は前に出るとハンマーを構えて、ハンマー投げの要領で回り始める。
次第に速度は増していき、凄まじい風圧が俺にも、鞘華たちにも掛かる。
だがまだだ。
まだ足りない。
もっと速く、速く、速く。
回れ回れ回れ。
回って全てを吹き飛ばせ。
風と回転が溶け合い、勢いを増して、一つになる。
そして生み出されたのは。
「す、すげえ…。」
「すごい…。」
巨大な竜巻だった。
俺を中心に生み出された竜巻は、黒い鎖とぶつかったそばからそれを全て分解し、壊していく。
これはおそらく、鞘華や弾正さんの衝撃波や弾丸以上の威力だろう。
だがこれは、実は見た目ほど凄くない。
致命的な弱点が二つもあるのだ。
まず一つは、常に俺を中心に発生しているから、ほとんど動かないこと。
これでは威力以前に、相手に当たらない。
そしてもう一つ。
これのせいで、俺はこの技を使いたくなかったんだ…。
現に、今も俺には限界が迫っている。
あと少し、あと少しだけでいいからもってくれよ、俺の体…。




