the big caterpillar in the mushroom grove 4
いつの間にか近くのキノコの笠の上にいたその巨大な青虫は、太く黒い鎖を身に纏っていて、それを胸元の大きな錠前一つでまとめている。
無数に生えている脚の一つには、たくさんの管の生えた奇妙な形の壺を持っていて、それにも錠前が一つ、付いている。
「ちっ!」
「リョウ君、今助ける!」
リョウが青虫へと引き寄せられる前に助け出さんと、鞘華と弾正さんはすぐさま武器を構えて、それぞれ無数の衝撃波と弾丸を青虫に浴びせる。
だが。
「ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…。」
「なに!」
「そんな…。」
青虫は、その全てを壺から伸びた管を操り、叩き落としていく。
そのまま、リョウは青虫のもとに引き寄せられ、無数の脚に捕えられてしまった。
『助けてえええー!気持ち悪いよおおおー!』
リョウは必死にもがくが、糸も解けそうにないし、無数の脚も放しそうにない。
「ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…。
タベルタベルタベルタベルタベルタベルタベルタベルタベル…。」
「嫌あああー!」
「リョウ君!」
「チビ!」
青虫はそのままリョウに齧りつこうと、鋏のような鋭い顎をぐぱっと開く。
「リョウ、ハンマーになれ!」
『そっか!分かった!』
俺が叫ぶと、リョウは黒いハンマーになる。
「ケヒッ!」
ハンマーになったリョウの重さに耐えられず、青虫はリョウを手放す。
無数の脚を逃れ、絡みついていた糸を引きちぎり、リョウは地面に落ちて土煙を上げる。
俺は駆け寄り、小さなクレーターの中からリョウを拾い上げる。
まだ少しくっついている糸を拾い上げながら、俺はリョウに語り掛ける。
「大丈夫か、リョウ?」
『ギリギリ大丈夫だよー。いやー、もうダメかと思ったよー。』
声に元気はないが、ハンマーとなるのに支障はないようだ。
良かった。これで俺も戦える。
「に、兄ちゃん…。」
すると、背後から声を掛けられた。
「なんだ、弾正さん?」
「そ、そのハンマーそんなに重かったんだな…。」
「その重さであの身のこなし。荒木、少し見直した。」
「あ、ありがとう?」
どうやら、いつの間にか俺の立場が再評価されていたらしい。
本当はそんなに重くないんだが、まあ黙っておこう。
「ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!」
おっと危ねえ。青虫のこと意識から外れてた。
俺たちは武器を構えなおす。
「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!」
青虫は体を丸めて尻をこちらに向けると、巨大な糸の塊をこちらに撃ちだして来た。




