the big caterpillar in the mushroom grove 2
「冗談は置いといて。その銃はどのくらい遠くまで狙える?」
あ、冗談だったんだ。
半分洒落になってなかったがな…。
「そうだなあ…。」
弾正さんはきょろきょろ辺りを見渡し、次いで上を見上げて、上空を一匹の鳥が飛んでいるのを見る。
「お、あの鳩も黒い鎖に縛られてる。この距離なら、あいつの錠を撃ち抜けるな。」
嘘だろ!俺にはあれが鳩かどうかも分からねーのに。
『ほんとに見えるのー?』
「ああ。昔から目は良かったからなー。アフリカの狩猟民族並だって言われてたよー。」
それは見え過ぎだろ。どんだけ目がいいんだよ。
弾正さんは白い銃を構えると、戸惑うことなく引き金を引く。
銃身から白い光が飛び出して一直線に進み、一瞬ではるか上空の鳩に直撃した。
鳩は叫び声をあげてじたじたしながら、地上へと落ちていく。
「ヘビは嫌いだあああぁぁぁぁぁぁ…。」
…ヘビ?
「まあいいか…。それにしてもすげーな、弾正さん。この距離で鳩を撃ち落とすなんて。」
「いや、別に鳩を狙ったわけじゃねえ、撃ったのは鳩を縛っていた黒い鎖と錠だ。何故か落ちていったけど、鳩は無事だよ。」
『なら良かったよー。出来るだけ黒い鎖と錠だけを破壊していきたいところだったしねー。』
「それは分かってるから安心してくれ、チビ。」
『だから…。ああー、もう、いいよチビで。』
とうとうリョウはチビ呼ばわりを受け入れたようだ。
俺もリョウのこと、チビって呼ぼうかな?
『龍太と鞘華がチビって呼んだら絶交だからねー。』
「絶対に呼ばない。」
「分かった、呼ばねーよ。」
絶交は困る。
俺はリョウがいないと戦えないしな。
鞘華が即答したのは、うん、まあ、言わずもがなだ。
「さて、そろそろ行こうぜ。もう十分休んだし、先を急ごう。」
『うん、いいよー。』
「私はいつでもいける。」
「やれやれ、オレはもう少し休みたいんだがな…。」
「そうは言っても弾正さん、早くアリスをどうにかしないと目を覚まさしてもらえねーぞ。現実で、俺たちがどれくらい寝ているのかも分からねーんだし。」
「それもそうだな。ま、焦らず行こうや。」
各々立ち上がり、先へと進む。
アリスを助けて、現実へと帰るために。
「ケヒヒ、ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…。」
そんな俺たちを見つめる、蠢く影の存在に気付くことなく。




