the mad monster and white bullets 2
森には背の高い木がたくさん生えている。
いや、これは正しくない。
背の高い草がたくさん生えている。
そう、草だ。普段道端にひっそりと生えているような草が、ここでは木のような幹を、背の高さを持っている。
俺たちが縮んでいるというのが良く分かる場所だ。
「ここ面白い。」
『そだねー。小さなものが大きく見えるから新鮮だねー。』
「この花も綺麗。現実ではあんなに小さな花なのに。」
鞘華とリョウはのんきに大きな花を観察している。
「花なんか見てないでさっさと行こうぜ。アリスに追いつけない。」
『えー、ちょっとくらいいいじゃん。まったく、君には余裕が足りないねー。』
「同感。余裕は大切。荒木はダメだ。」
『そうそう、急がば回れって言うし。』
二人を急かしたら何故か責められた。
「つーかなんでリョウは鞘華の味方なんだよ。一応俺の人格の一つの筈じゃねーか。」
『僕は君が忘れた記憶や感情以外のものからもできているからねー。君とは感受性とか性格とかが違うのさー。』
記憶が同じでも、なんでもかんでも一緒ってわけじゃないのか。
「まあそれは置いといて、本当に急いだ方がいいと思うんだが。俺たち以外にもこの世界に入ったやつがいるとしたら、出来るだけ早く合流した方がいいだろ。何かあってからじゃ遅いんだし。」
例えば、もしたった一人の状態であの化けウサギのような奴と出くわしたら…。
『…そうだね。確かに急いだ方がいいか。』
「ああ、少し早目に行こう。」
二人とも俺が何を考えているのか分かってくれたらしい。
止まりがちだった足が再び動き出した。
だが急ぐには、少々遅かった。
不意に聞こえた木々の倒れるような轟音、獣の唸り声。
そして遠くに見える、白い閃光。
「なっ、おい、あれ!」
『…どうやら心配していたことが起こっちゃったみたいだね。』
「走ろう。」
不安は現実のものとなる。
俺たちが合流する前に、戦闘は始まってしまった。
戦闘の起こっている場所に近づくほど、聞こえる音と光は強くなっていく。
その大きさから、戦闘の激しさが伺える。
「グワアアアアアアァァァァァァ…。」
遠くからでも、その咆哮は空気を、大地を震わせる。
「っ…!これは相手は相当ヤバいんじゃねーか!?」
「かなりの大きさだと思う!」
『そろそろかなり近くまで来るよ!』
俺たちは走りながら武器を構え、植物が全て倒れ空き地になっている場所に飛び出した。
そして目にしたのは。
巨大な犬が、男性を前足で跳ね飛ばす光景だった。




