the mad monster and white bullets 1
歩き続けること十数分、やっとさっきから見えていた森のはずれにまでたどり着いた俺たちは、異様な光景を目にしていた。
森の前に、二階建ての家が建っていた。
玄関や壁は綺麗で清潔だ。
なのに二階の窓や一階にくっついている温室はボロボロに壊されている。
だがもっと妙なのは、その家を中心にたくさんの動物たちが転がっていることだ。
皆ボロボロで、黒い鎖は纏っていない。
俺は倒れている小動物達(皆俺よりデカいが)のうちの一匹、何故か煤まみれでみんなより離れた位置でひっくり返っているトカゲに声を掛ける。
「おい、大丈夫か?」
トカゲは二、三度ピクリと動いた後目を開き、俺の手を取って起き上がって二本足で、そう、トカゲなのに二本足で立ち上がった。
「ありがと、旦那、助かったよ。」
トカゲはキーキー声で言った。
「あ、ああ。一体何があったんだ?お前らはあの黒い鎖に囚われてはいないのか?」
「それが旦那、聞いてくれよ!
ぼくたちも最初はあの忌々しい鎖に囚われていてね。その間のことはよく覚えてないし、上手く話せないんだけど…これだけははっきり言えるよ。ぼくたちはご主人様の家に閉じこもっている誰かを襲おうとしていたんだ。それで梯子を掛けたり荷車いっぱいの小石を投げ込んだりしたんだけどね…中々上手く行かなくて…なんか中から高速でいっぱい飛んできて、鎖と錠をどんどん破壊していくんだよ。それ自体はありがたいんだけど、当たったそばからみんな気を失って吹き飛んでいくんだ。だからみんなこんな風に転がっているんだ。でもぼくはみんなとは違って、煙突から家に侵入させようとされてね…ほんとなんでぼくいっつも煙突に潜ってんだろ…もう少しで家の中だ、ていうところで下から何かを突っ込まれて…あとはいつも通りぼくは打ち上げ花火みたいに飛んでいってここに倒れていたのさ。その時にぼくに付いていた南京錠も壊れたのが不幸中の幸いだったけどね。ほんとなんでいっつもこんな目にあうんだろう?」
「お、おう…。」
このいつも煙突に潜っているらしいトカゲは、話すと止まらなくなる性質らしい。
「それで、そこの家に籠っていたらしい誰かはどこに行ったの?」
「さあ、ぼくは途中からここで気を失っていたから分からないや。旦那たちは向こうから来たのかい?会ってないんなら森へと入ったんじゃないかな?あそこは隠れるには丁度いいし。」
ヤモリが話し終わるころには、他の動物たちも次々と目を覚まして起き上がり始めていた。
「おーい、ビル!こっち手伝ってくれ!」
「あ、呼ばれたから行かなくちゃ。じゃあね、旦那。道中気を付けてね。」
そう言い残して、ビルと呼ばれたトカゲは二本足で仲間の元へと駆け寄って行った。
「鎖と錠を破壊する高速の何か、ね。ここに立てこもっていたのは俺たちと同じような奴かもな。」
『たぶんそうじゃないかなー。あの家の一部を壊したのもその人かもねー。』
「いずれにしても先に進んで、その人と合流すれば全部分かるはず。森へ早く行こう。」
俺たちは真相を確かめるべく、薄暗い森へと入って行った。
「あ、森に化け物が出るから気をつけろって言うの忘れてた。まあいいか。」
おしゃべりなトカゲが肝心なことを話していなかったことに気付かずに。




