black chain, black lock, and silver sword 5
「あ、ああ、ありがとう。助かった。」
いきなり現れた少女に驚いて返事が遅れてしまう。
「もし大丈夫なら立ち上がって欲しい。流石にこの数は一人で相手にしたくない。」
さっきまでこの倍を相手に一人で戦ってました。
「手加減出来そうにない。」
あ、そういう意味ね。
幸い俺にダメージはない。
俺はハンマーを持って立ち上がる。
「大丈夫だ、まだ戦える。」
「ん。背中は任せた。」
そう言うと、少女は満足そうな表情でこちらに背を向けた。
俺も背後を向く。
巨大な動物たちは突然の少女の乱入に動じることなく俺たちを囲み直していた。
俺と少女は背を向けあったまま、互いに武器を構えた。
「俺は荒木龍太だ。」
「私は鬼頭鞘華。苗字は嫌いだから、名前で呼んでほしい。」
「分かった、鞘華。よろしく。動物達には出来るだけ攻撃するなよ。」
「分かってる。あなたこそ気を付けて。」
「ああ。」
そうして俺たちは動物たちの方へ突っ込んでいった。
結論から言ってしまうと、俺たちは無事に動物たちを撃退できた。
ほとんどの動物を黒い鎖から解放し、残りのわずかな鳥と獣たちはどこかへ逃げていった。
最初俺一人で何分もかけていたのが嘘のように、俺たちはほんの二、三分でそれを済ませた。
いや、それは正確じゃない。
実際には彼女、鬼頭鞘華一人でやったようなものだろう。
彼女の持つ白銀の美しい刀はただの刀ではなかった。
彼女が刀を一振りすれば、巨大な銀色に輝く衝撃波が生み出され、動物たちを吹き飛ばす。
それだけじゃない。彼女の刀自体の太刀筋も正確無比と言ってもいいもので、一振りで確実に南京錠だけを切り刻んでいた。
彼女が剣道を嗜んでいることが伺える。
因みにそれ以前に掛け声で彼女が剣道少女であることは良く分かった。
あんな細い体のどこからあんな声が出ていたのか…。
それはさておき。
彼女は自分に向かってきた動物たちを素早く無力化。
手こずる俺のサポートまでして見せたのだ。
武器の性能差か、あるいは俺自身のスペックの低さが原因か…。
いずれにしても、若干自分が情けなくなってくる。




