black chain, black lock, and silver sword 4
戦いが始まって数分。
俺は早くも余裕を無くしていた。
鳥や獣を傷つけないようにする配慮はとうに捨てて、俺は一斉に襲い掛かってくる黒い鎖に縛られた鳥や獣たちにハンマーを振るっていく。
時々上手くハンマーが当たって南京錠を破壊したやつは、黒い鎖も消えてさっきのネズミみたいに気を失って大人しくなる。
だがそれ以外のやつは、吹き飛ばされても叩き付けられても、起き上がって何事もなかったかのように襲い掛かってくるのだ。
黒い鎖だけ破壊できたことは多々あったが、南京錠を破壊しないとダメなようで、すぐにまた元通りになる。
「っこれはやべえっ。おいリョウ、なんかいい方法ないか?!」
『そんな都合のいいもんないよー。今は我慢の時だよ、ほら、少しずつ数は減らせてるんだから。ファイトファイト!』
「くっそ!」
一瞬でも隙を見せたら終わりだ。
逃げようにも囲まれている。
俺は際限なくハンマーを振り回すことしか出来なかった。
十数分後、俺は鳥や獣たちの数を半分にまで減らすことが出来ていた。
体力にはまだまだ余裕があった。
ただし精神力は、一瞬でも気を抜けばどうなるか分からないこの状況の中、がりがりと削られていた。
そんな中で、半分減らせたと安心したのが不味かったのだろう。
「なあっ!」
一頭の獣にハンマーを躱された。
すぐさま柄でガードしたおかげで、攻撃の直撃は避けられたものの、俺は大きく弾き飛ばされる。
『龍太!』
リョウの悲鳴のような声を聞き、慌てて姿勢を立て直して前を向いた時には、巨大な鳥のくちばしが目の前に迫っていた。
あ、終わった。
俺は思わず反射的に目をつむる。
ごめん、リョウ。
ドス、パリン。
そんな音を聞いて俺は目を開ける。
目の前には制服を着た、長い髪を一纏めにしてポニーテールにしている少女。
白銀に輝く刀を正眼に構えている。
視線の先には鎖と南京錠を飛び散らせながら吹き飛んでいく大きな鳥。
少女はこちらをちらりと見て言った。
「大丈夫?助太刀しに来た。」
これが俺と剣道少女、鬼頭鞘華との出会いだった。




