black chain, black lock, and silver sword 2
あれから俺はすべての扉の鎖を破壊して回ったが、やはり全てのドアにはもともと鍵がかかっていた。
とんだ無駄骨だった。
悪いことはそれだけじゃない。
黒い鎖は破壊したはずなのに、少し目を離せばいつの間にか元に戻っていた。
二重の意味で無駄骨だった。
「どうすんだよこれ。まじで先に進めねーぞ。」
『うーん、不思議の国のアリスを読んだことがあればどう進めばいいか分かるんだけどね…。』
「読んだことないもんは仕方ねえよ。もういっそドアぶっ壊すか。」
『だからそれはダメだってー。ほら、もう一度広間全体をちゃんと見て回ろう。鍵とか落ちてるかもしれないじゃん。』
「それもそうだな。ま、流石に鍵は落ちてないだろうけど、何か見つかるかもしれないし。」
俺たちは再び広間を注意深く見て回った。
鍵はあった。
ランプの光が届かない広間の隅にある、ガラスでできた三脚のテーブルの上に置いてあった。
テーブルの下には何故か小さな水たまりが広がっている。
「…まさか鍵がマジであるとは…。」
『…僕も本当にあるとは思ってなかったよ…。』
鍵を取ろうと手を伸ばした時だった。
『っ龍太!』
リョウの警告と、暗がりから何かが飛び出してきたのはほとんど同時だった。
咄嗟にハンマーを盾代わりに構えた瞬間、ハンマーを持つ手に衝撃が走り、俺は後ろに吹き飛ばされた。
刹那の間に俺が目に出来たのは。
「…ウサギ?」
小さなウサギのような影だけだった。
目を凝らそうとしたとき、どういうわけか俺は勢いよく深い水の中に突っ込んだ。
水はしょっぱかった。
俺は慌てて水を掻き、水面に顔を出す。
「ゲホッゲホッ、リョウ、ドラゴンに戻れ。」
『うん。』
リョウがドラゴンに戻って宙に浮かぶことで空いた両手を使って、俺は泳ぎ始める。
見渡せば、ついさっきまでいたはずの広間は影も形も見えない。
遠くに陸地らしきものが見えるだけだ。
一体何が起こって広間から海に瞬間移動することになったのか。
状況に付いて行けず俺は混乱したが、まずは陸に上がらなければと思い、俺は泳ぎ続けた。




