brutality of the two monsters 7
だが、俺のハンマーがグリフォンの脳天にぶち当たる直前。
「クエッ!!」
「なっ!!」
視界を奪われているはずのグリフォンが、両脚のかぎ爪でハンマーを受け止める。
くそっ!こいつ、気配まで察知できるのかよ!
空中で攻撃を受け止められた俺は、後はグリフォンに弾き飛ばされるのを待つしかない。
そう、俺一人ならば。
「クエッ!!」
唐突に、グリフォンが身をよじってその場から飛び退く。
俺は弾き飛ばされることなく、そのまま地面へと着地した。
「…躱された。」
刀を構えながら、鞘華が呟く。
そう、俺がグリフォンへ正面から打ち掛かって行ったと同時に、鞘華はグリフォンの背後へと回り込み、隙を伺っていた。
「気をつけろ、鞘華。あいつ、視界に入っていなくても気配を察知できる。」
「そうみたいね。」
くそっ!どこまでも厄介な奴だ…。
「グルルルルル…。」
グリフォンは前脚で器用に目をこすり、目に入ったごみを取り除く。
そして改めて、俺たちへ向かって威嚇する。
「俺たちだけで錠前を破壊するのは無理だ。時間稼ぎに専念する。」
「了解。」
俺たちは、再び武器を構えなおす。
弾正さんたちの様子も確認したいが、そのための暇さえ作れそうにない。
「リョウ、弾正さんたちはどうなってる?」
『ちょっと待ってねー。…。今、ウミガメもどきの弾幕に対して鎧坂の鎧がゴーレムに変形して、盾になって少しずつ近づいてるとこー。』
向こうもどうやらまだまだ時間がかかるらしい。
頼むから早く来てくれ。
「ぜえ…、ぜえ…。」
「はあ…、はあ…。」
「クエエ…。」
どれだけ時間が経っただろうか?
俺がグリフォンと正面から打ち合い、鞘華が隙を見て衝撃波で攻撃し、攪乱する。
グリフォンは両前脚のかぎ爪と尻尾、それに翼まで利用して俺たちに攻撃する。
何回も俺たちの攻撃はグリフォンに命中し、何回も俺たちはグリフォンの攻撃で吹っ飛ばされた。
俺たちは、グリフォンの高い攻撃力と守備力、そして素早い身のこなしと察知能力を前に決定打を与えられない。
一方のグリフォンも、俺たちのチームワークに翻弄されて上手く攻撃を当てられないでいた。
長い戦闘の結果、俺たちとグリフォンは、互いにボロボロになっていた。
しかし、この膠着状態に変化が訪れる。
「またせたな、兄ちゃんたち!」
ついに、弾正さんたちが俺たちに加勢に来てくれた。
いつの間にか、ウミガメもどきの泣き声は聞こえなくなっている。
「ウミガメもどきはなんとか取り押さえました!ただ、黒い錠前は持っていなかったので、今鎧坂さんが抑え込んでいます。」
詩織が言う。
ちらりと横目で確認すると、鎧坂の鎧が今度は千手観音像になって、ウミガメもどきの口を拘束しているのが見えた。
「じゃあ、もう詩織の文字魔法はなんの制限もなく使えるわけだ。」
「はい!」
よし、ならあとはグリフォンの錠前を二つ破壊するだけだ。
「グルルル…。」
旗色の悪さを感じ取ったのか、グリフォンは二、三歩後退る。
そして、思いも掛けない行動に出た。
「クエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」
一吠えすると、グリフォンは自分の尻尾を口元へと持っていき、自ら尻尾の錠前をかみ砕く!
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
暴虐が、始まろうとしていた。




