the invitation of her nightmare 1
「…脳波が安定したのはたったの4人、…いや、5人か。」
薄暗い部屋でモニターを見ながら、男は呟く。
「まあいい。これで次の段階に進める。ここからが本番だ。」
そう言うと、男はモニターの前から離れて、部屋の反対側へ移動する。
そこには四方をガラスで囲まれた病室があり、中央のベッドには一人の少女が横たわっている。
黒髪のその美しい少女は腕に点滴の針を刺され、頭には複雑な機器が取り付けられ、眠り続ける。
「アリス、もうすぐだよ。もうすぐ目を覚まさせてあげる。」
男の呼びかけにも、少女は応えない。
男はモニターの前に戻り、手元のパネルを操作する。
やがてモニターに映されたのは、彼に選ばれた五人の映像。
それと『接続を開始しますか?』の文字。
男は微笑んで、キーに指を伸ばす。
「さあ、頼んだよ。」
変化は突然だった。
何の前触れもなく地面が揺れる。
「っおい、なんだこれ!これが外からの刺激か?」
『うーん?なんか違うなー?』
何が起こるかわからないなかで、俺はハンマーに変化したリョウを握りしめ、慎重に辺りを見渡す。
徐々に揺れが収まっていく中で、ただ灰色の大地が広がっているだけの俺の無意識の世界が波打ち始める。
波はだんだん集まっていき、やがて俺の前で収束して一つになり、何かを形成し始める。
巨大な波であったものは、四角く盛り上がり、黒く染まり、最終的に大きな扉を形作った。
「…この扉を開くと目が覚めるとか、そういうことか?」
『確かにここから出る扉ではあるっぽいけど、なんか変だよー。慌てて開かないほうがいいよー。』
「でもこのままってわけにはいかないだろ?」
『そだねー。それじゃ近づいて調べてみよっか。念のため、僕を離さないでねー。』
近づくと、黒い扉の巨大さが良く分かる。
幅も高さも何メートルもあり、俺の身長よりはるかに高い。
表面には川を下る小舟が彫られている。
「しかしでかいなー。これどうやったら開くんだ?」
そう言いながら俺が扉を触ると。
「『あ。』」
扉は自然にこちら側に開いた。
『…龍太。』
「いや、違っ、俺が開けたわけじゃ…。」
二人で言い争っている時だった。
開いた扉の隙間から黒い影が伸びてきた、そう思った瞬間に扉が一気に開いて大量の黒い影が飛び出してきて、俺の無意識の世界を塗りつぶしていく。
「っリョウ!」
『龍太!』
俺たちはなすすべもなく、影に呑み込まれた。




