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私の文学観1

文学ってなんだ。


最近悩み事が多い。その悩み事の一つに、自分の書いている文章って結局何なんだ、というものがある。


気にしてる場合か、書けよ。という内面の声もあるし、書いた後で見返せばわかるだろうとも、思ったりもする。


だけど、一度自分が無意識で思ってるものに光を当ててみるのも、何か発見があるやもしれない。

今まで足掻いてきたものを総合して、自分がどんな風に言葉と向き合えばいいか考えたい。


文学:思想や感情を、言語で表現した芸術作品。文芸。

芸術:特定の材料・様式などによって美を追求・表現しようとする人間の活動。およびその所産。

以上、デジタル大辞泉より。


文学の定義というか、説明というのは難しいのかもしれない。

辞書的意味はなんとなくわかるのだが、ではこの文章が文学的であるかどうか、という基準は、どうすればいいのか。


文章が、芸術的であることは、いいことだろう。

谷崎潤一郎の言を借りれば、芸術とは、実用的なものだ。

そして言語の芸術性は、ストーリーそのものとは関係なく、たった一文の、ただの言葉の羅列に宿ると思われる。


そこには無駄がなくて、必要十分な機能があって、そして書かれた言語を使う文化に属するものだからこそ分かる、美しくて醜悪な何かがあるのだと、私は考えている。


あるいは、小説の物語なら物語の厚みを、思想なら確かな精神の流れを感じさせる、枝葉末端としての小さくて重要な力を秘めている。


おそらくこれが私の、現在思うところの芸術的な文の雑感である。

そして文の芸術度は、経済性は関係のない要素になる。


良い文章でできた話だからといって、その内容を人が理解したり、気に入ったりするかというのは、読み手側の反応であり、その反応は年齢や時代によって変化する。あるいは他に絡む要素だってあるかもしれない。


とは言っても、販売されて人の目に触れなければ、無いというのと同義でも、ある。

価値がわかる人が存在しないのは芸術と言えるのだろうか。理屈的には、内容を理解する少数以上の読者が存在しないといけないのかもしれない。


さておき、「俺は芸術的な文を書くため頑張る!」というのも、なんかちょっと、違う気がする。

あくまで、作者が書いた内容の細かな機微を、より正確に伝えるための過程で、文が洗練され、芸術性(文学性)を持つようになる、というのが筋だろう。


ここで、私個人の主観で、文学性=芸術性として考えてみる。

ある作品に対して、「これは文学である」というとき、それは各々個々人の文学に対しての見方で言って良いと、思う。


そうした時には、やはり他者が納得できる項目をあげられれば、もっと良い。


しかし文学性は、一文単位で宿るものなので、たとえば文学性の高い文章が多く、かつ内容が良い、面白い、という話があったとしても、面白い話だから、当然その一文一文の文学性が高いよね、とは限らないことになる。


であるので、納得できる項目であるからといって、それが他者の「文学である」基準を満たすかは、読者としての個々人の感覚次第だよね、ということになる。


となると、大まかに人が思う「文学である」度は、いわゆる「芸術的な文」がどの程度分布しているかにかかり、その量や密度の大きいものほどより「文学である」と見なされるのではないか。


ここで、ジャンル別的な問題はあるようにも感じる。Aというジャンル内で十分に芸術的な一文があるとして、これを全く違うBというジャンルが好きな読者がいたとき、その一文を芸術的であると判断できるのかという問題だ。

同じ言語の文で、そんなことが起こりうるのかという疑問もあるが、Aのジャンル的に必要十分な機能を果たす役割が、Bのそれとは違う場合、具体的に言えば書くときの技法が違ってくる場合、AとBの対象読者になんらかの開きがある場合など、起こり得るのではないか。

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