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閑話休題2

 早くも11月、今年の残りもあとわずか。

 こちらの更新はまたしても止まり……賞の締め切りとおっくに終わっているし(汗)

 だめだ、何か書いてかねば。

 そんなこの頃。


 最近変わった考え方。

 こういう投稿サイトでは、上手いとか下手とか関係なく、常に一定量を書き続けるというのは改めてすごいなと。

 私自身は上手くなるまで練習してから~な感じですが、これはやっぱりいつかダメになるタイプ。

 せっかく改定作業などが楽な場所、熱意のままずらーと書いて、それから書き直していく方が(あるいは次に進むのが)、特に始めてからの作品数が少ない内は有効なんでしょう。

 あまり良くないかもしれませんが、私自身の場合はプロット決めてから書くよりも、とりあえず書いて、見直してからプロット考えた方が、例えば「出来が同じレベルでもより早い」気がしてきました。

 この場合はやはり、ある程度キャラ把握が必要なので、掴み切れてるキャラを出すか、極めて少数のキャラクタを扱う場面になりそうではありますが。


 それはともかく、こちらではどれくらいがいいのか。

 一日五百文字はできそう……でも少ない気もするし、八百文字は大体、新聞朝刊に掲載されてる小説の一日分と考えれば、1000文字±200字をコンスタントに書いて、できれば最後に惹きの一文で止めれば良し、なのだろうか。(しかし新聞連載もあとで冊子になった時のために加筆などするような感じですし)

 もっとも、一番の問題は何を書くかかもしれません。

 何もなくても、「決まった時間に何か書く」という習慣づけをすることは、結果として上達につながる。というのは絵画も小説も、その他も同じやもしれません。

 最初は面白くなさそうでも、いずれは上手くなってゆくはず。


 そんな流れで、以前の閑話休題で応募した作品をここで掲載します。

 半ば予想通り、かすりもしませんでしたが(分かった時は悔しくてみじめな気分でしたが)。

 自分なりにアレコレがダメだったとか、思うところはありますが、講評を見るだに、題の意図に添えてあまりなかったとも感じています。


「ライトノベルワンシーンコンテスト(公募ガイド)」原稿用紙五枚以内、

題「街角で出遭った少女は、実は魔女だった」締め切り6月30日、発表9月9日(10月号)

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ウィッチエンカウント

叶エイジャ


 懐かしい香りがした。

 土と草木と花――森の匂いだ。レンが視線を上げると、雑誌の向こうに微笑があった。月光の似合う笑顔だ。昼のカフェテラスにはそぐわない。

 鍔広の帽子を被った少女は、しかしすぐ真顔になった。

「助けて。変な男に追われているの」

転がした鈴のような声に、レンは胸が高鳴った。同時になぜとも思う。

 街の治安は、店員の教育と同じくらい良い。だが大通りに面したこの付近でも、犯罪の発生率はゼロではない。このテラスは見通しがいいだけだ。近くに警官の詰め所も見える。

 自分に声をかけた理由が――

「お願い。恋人のふりをして」

 二度目の声が耳をくすぐった。それは好きな声だった。蠱惑的な声だった。それが脳を揺らし、レンは気持ちが変わった。少女の声と香りは心地良かった。滅多にない機会だ。紳士として助けてあげたい。

 条件付けは、そんな感情への抵抗だ。下心でもある。

「じゃあ、帽子外さないと。目立つから」

 了承に、少女は微笑んで席に着くと、帽子を外した。夜めいた紫黒の髪がこぼれ落ちる。レンの予想通り、少女の面貌が露わになった。切れ長の瞳に見つめられ、レンは落ち着こうと眼鏡を正す。店員が置いた紅茶に、少女は口を付けた。レンの頼んだものだが、気にもならない。

「見かけない顔だけど、観光?」

「ええ。貴方はこの街に長いの?」

 レンの答えを聞きながら、少女は視線を横に向ける。緊張した表情。不安なのか。レンはテーブルに置かれた帽子へと手を伸ばした。

「ずいぶん古い物だね」

「触るな」

 先のとがった、クラシックな帽子に触れようとした手が止まった。少女の言葉の鋭さに、意志に反してまったく進もうとしない。

「その眼鏡、失くすと貴方は困るでしょう?」

 レンの背が冷たくなる。無言で首肯した。これがなければ少女の顔が判別できない。それは困る。

「私の帽子はもっと、ずっと大事。だから触らないで」

 言葉のもつ強制力に、レンの息が乱れる。少女は再び通りを見、立ち上がった。

「ありがとう。もう大丈夫みたい。助かったわ」

「ああ、力になれて良かった。ミス――」

「グレイス。レフィ・グレイスよ。紅茶ありがとう」

 少女は笑みを湛えて名乗ると、通りへと進む。帽子の細身が人ごみに消えた頃、レンは少女の名を口に乗せ、呟いた。

「どうせ偽名だろ」

 言葉は虚空に放たれた。聞く者の無いはずのそれに、眼鏡から電子の声が応じた。

『イエス。該当する名前なし。現在写真を照合中。眼鏡のカメラには気付かなかった模様』

「バレたかと肝が冷えた」

 レンの目に、少女には見せなかった鋭い光が宿っている。

『完了。該当者なし。但し帽子は、北の一門が継承の証とするものに酷似』

「魔女の最大派閥か。催眠呪術が専門だな」

『イエス。嗅覚、聴覚、視覚情報を利用し対象の意識を操作、強烈な暗示をかけます』

 レンが頷く。声をかけられた時には術中にはまり、無条件で信じていた。当然の疑問すらかき消された。北の一門で帽子の継承は滅多にない。若いのに相当な手練だ。

 だが、同意のない相手への意識操作は重罪だ。発覚すれば魔女裁判になる。

「相手が悪かった。術を掛けたのが天敵だったんだからな」

『魔女と抗魔官が偶然遭遇する確率を考えれば、驚くべき出来事です』

 抗魔官――魔術に耐性を持つ、魔女狩り専門の捜査官。罪を犯した魔女への切り札だが、その絶対数は魔女以上に少ない。そしてレンのような抗魔官をサポートするのが、高度な人工知能を備えた乗騎だ。

「これも天の導きだな。エド、今どこだ?」

『約五キロ南。急げば一分以内に到着します』

「分かった、交通法遵守で頼む。俺はこれから彼女を追う。防犯カメラにハッキングしてくれ。魔女は何かの動きを見ていた。視線の先にあったモノ。それがカギだ」

 レンはカップを慎重に持ち、魔女とは反対の場所に口を付け、紅茶の残りを飲み干した。

『意地汚い』眼鏡が無機質な声に震えたる

「うるさい、俺の金で買った紅茶だ」

『再度術にかかり、徳を積む事を推奨します』

「……俺の様子どうだった?」

『鳥肌が立ちました』

 レンは顔をしかめた。ゴーストライダー――AI付き単車のセリフではない。

「とにかく追跡する。検体を回収するから記録の準備を頼む」

『ご注意ください。貴方は女性が絡むと一言多く、品位が疑われやすい』

「御忠告どうも――あ、下げなくていい。女の子の指紋と唾液がついてるから」

 店員にそう言うパートナーに、AI『エド』は黙したままDNA鑑定の準備を始めた。


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以上です。

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