旅立ちの準備
前回の最後までが、現状メモ書きしている設定(変更あり)。
肝心の異世界の情勢、そこに住む人々について何も構築できてないが、ひとまず出発の起点になる元の世界について掘り進めてみる。
異世界に比べ描写量は圧倒的に少ないが、主人公の動機と悩みの宝庫であるため、あるいは伏線の余地も含めて広げておく。物語において異世界は「主人公(を含めた他の人)を変えてくれる場所」の形式が多い(たとえば本の世界に行くネバーエンディングストーリー、嵐に巻き込まれて小人の世界に行くガリバー旅行記(2010年の映画)、アーサーとミニモイの不思議な国、クレヨンしんちゃんからのスピンオフ作品「BALLAD 名もなき恋のうた」、突如17歳に若返るセブンティーン アゲインなど)。最後の例は少し違うが、異世界転生に近い感覚だろう(ちょっと無理かも)。どれも冒頭の三十分前後で主人公の悩みなり直面している危機が描かれる。通常の状況では抜けだせない悩みと危機だ。ほんのちょっとの心構えで変わる、それでいてできない人にはとてつもない障壁である場合もある。挙げた例ではほぼ巻き込まれる系だが、巻き込まれるにしろ自分の意志で行くにしろ、こうした悩みや危機が見る人の共感を呼ぶ動機になる。だからなるべく早い段階で、読者を引き込むこうした内容を書くのが重要である。
例えばVRMMO系のゲームみたいな世界に突如自分がいる、という話にするくらいなら、先にゲームをしている場面なり書いた方がより高級な挑戦になるのではないだろうか。もちろん、悩みや危機を書いた上で。
偶然、いきなり異世界にいました。巻き込まれましたでは、言葉は悪いが手抜きという印象を脱しきれないだろう。たまにそういう話があるのも面白いが、それは巻き込まれた謎で物語を進めていく部類だろう。なにより読者の納得は得られない。読みながら「なぜこの世界に来たの?」と理由を探すからだ。理由がまったくの偶然であれ、状況設定における「主人公が自らの危機・困難を脱するために来た」というのは、物語全体としての立派なパスポートの役割を持っている。
ハリー・ポッターでだって、魔法の世界に旅立つ前にハリーの現状があるではないか。「ここから別の場所に」という気持ちを見る物と共有することで、別の世界に旅立つ大きなスタートダッシュが切れるのだ。
(もちろん最初からハイファンタジーの世界であるなら、別のアプローチがあるだろうが、ここで考えるのはやめる)
理由なしで異世界に行くのなら、最初から異世界生まれの主人公でハイファンタジーの良い話を作ればいい。主人公の抱える問題がないからキャラクターとしての立体感が生まれず、その後の状況設定の差異だけしか勝負する場がなくなってしまうのだ。
実際、書くのは難しいだろう。物語の根幹に関わっているとも言えるし、そこでつまづいてしまえば話なんてずっと書けない。無理やり書いても今後の縛りになる上、ヘタに書けば世間一般で使い古されたものになりかねない。だから状況が動いた時点から始めるのがとても簡単だし、話も進めやすい。
でも、それでよしんば人気が出たとしても、いつまでそのやり方が通じるか。
テンプレート、といったそしりを受けるだけではないのか。
こういった言葉を退けるには、状況開始後(異世界に来た後)の差異で勝負するのではなく、それ以前、状況開始前でどれだけ苦労したかに依るだろう。
そこで初めて、王道あるいは正道の作品、あるいはその劣化版になってしまったという評価になると、私は思う。
(追記として、人は状況が動いたシーンが好きだから、そこから始まっている方が見られやすいだろうと思う。そう言う人の目を止めるには魅力的な……抽象的だが、そういう人が目を止めてみるような始まり方が重要だろう。読みやすい文章というのも必要だし、なにより飽きが来ないよう短い文量で纏める必要もある。ドラマ(個人的にはおもに日本)などではリアルのいじめ、あるいは災難といった苦境を見ることがあるが、あまりいい方法でないと感じる。現実社会で嫌な目に遭ってる(読者自身が)のに、なんで虚構の世界で同じような光景を見なければいけないのか。こういう部分はリアルではなくリアリティーを感じさせる程度にとどめて、さらりと流すべきである。よく「良いものを書きたければ酷い目に遭わせろ」というアドバイスがあるが、リアルを強調するのはそれを履き違えただけだと感じる。物語は酷い言い方をすれば虚構である。そこに確固たる世界を作り上げ、リアリティーを感じさせるのが書き手の技術だと思う。より多くの人は話を読んで楽しみたい、いい気分になりたい。おそらくこれが基準だろう)
……設定書くの忘れてた。




