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七日間ゲーム  作者: ねこねこね
2/2

No.1

文化が発展した今、この世で欠かせないものは、そう、「インターネット」。

たくさんの情報量の他、通販、そしてインターネットを通してのゲーム。

サイト数は無数にありその中のどれかをネットプレイヤー達は探り、クリックする。

これは現代のネットプレイヤーが近々体験するかもしれないお噺――……。


***


女子高生ヒキニートネトゲ廃人の18歳、桐堂結衣。

朝起きてトイレに行き、リビングに降りて食パン片手に自室に戻って即パソコンを立ち上げる。

そんなのいつものことだが、ヒキニートならではの生活。

パソコンの目の前に向かって夜まで約10時間フル稼働し、夜ご飯は自室で食べ、風呂入って寝る。

嗚呼、なんて幸せなのだろう――ヒキニート最高。

この歳ならバイトもしないとなのだが人と関わりたくない。

それに女子だからこそ外に出るのに化粧やらヘアセットやらお洒落やらをしなければならない。

自分もお洒落をすることは好きだが、引き籠もり始めて部屋にいる楽さというものを知ったからには

もう今までのような馬鹿みたいなおめかしなどしなくていい。

――それに、弱い自分を世間に見せずに済む。

リアルでひ弱な乙女でも、ネットなら強者にもなれるし、なりすましもできる。なんだってできる。

そんなネットの世界に私は既に虜になっていた。


「結衣?お母さんちょっと出掛けてくるから、ガスとか注意してね」

「はいはい。てか使わないから」

「はぁ……。そうね、使ったことなんてないわね。じゃあ行ってくるから」


ドア越しだけの会話。毎回こうだが。

家族が家にいようがいなくなろうが自室から出ない位以上存在認識など無い。

よって――どうでもいい。


今日も私はカタカタとキーボードを打ち込み、掲示板でいつもの絡み友とチャットをした後、

何か面白いサイトは無いかと検索し検索結果をコロコロとスクロールする。

前は面白い動画にハマっていたが、もう見飽きてしまった。

オンラインゲームも大体遊びつくしたし、女の子向けの可愛らしいサイトでアイテムをひたすら交換、

などという課金ゲーも興味ない。

かといってすることないし友達と遊ぼうか、とか、服を買いに行こうか、という考えなど微塵もない。

そんなわけでただひたすら検索してはマウスを動かしスクロールやらクリックやらを繰り返す。


「はぁ……。つまんな……ん??」


パソコン画面から目を離そうとした時。



〝謎のサイト〟


たくさんの検索結果の中の一つにこの文字があった。

そのシンプルでいかにもなサイト名は実に不思議で。

よくサイト名の下にあるサイトの詳細すらも無く下はただの空白で『謎のサイト』しか書いていない。

”面白そうなサイト”を探している暇人にとっては多いに好奇心を擽られるものだった。

でも怪しすぎて、クリックした瞬間ウイルスにかかるかもしれないし、何らの請求がくるかも――

なんて考えも脳裏に膨らむが、その時はパソコンを放置するか電源を落とせばいい話。

躊躇いなくその文字上にカーソルを合わせて、「カチリ」とクリックした。


その瞬間。



 『七日間ゲームへようこそ!!あなたは一番目の検索者です』


「……なんだろう、これ?」


白いページに突如現れた、赤くて大きな文字。

その時に後悔してしまった。

――余計なサイトに首を突っ込んだかな。

これはアレだろう。ひょっとすると炎上した掲示板に首突っ込んでみたら此方に飛び火が来たのと

同じくらいの面倒臭さと変な汗が出て心臓バクバクするパターンのアレだろう。

すぐに「戻る」をクリックしようとして――


 『これから一週間、七日間ゲームというイベントが行われます。そして、これを見た方は

  強制的にサークルに入会させられ参加しなければなりません。もちろん逃げることは不可能です。

  ゲームに参加してもらうのは七名。貴方はその一番目で、七名の一人です。

  一週間――七日間以外に数々のミッションをクリアしてください!』


ぱっ、と出てきた敬語の文字はこれまた赤い文字。

暗い部屋の中目は明るいパソコン画面に釘付けで、顔が画面の光で白く輝いている。

私はぽかんと口を開けたまま何回もその四文を繰り返し繰り返し読んだ。

強制参加のゲーム?オンラインゲームか何かだろうか?

だがそんなシステムは初めて耳にした。

……というかこれ作った人は誰なのだろうか。イベントの主催者は……?


するとまた突然四文の下に新たな文字が表示された。


 『参加者 現在七名中三名』


これは私と同じ被害(?)にあった者たちが巻き込まれたという形の参加者達だろうか。

私と同じ物好きもいるのだな。……サイトを間違えたのかもしれないが。


そしてまた、しつこいがその参加者の数の下に文字が表示される。


今度は――なんだ?

『パスワードを登録してください』……?

その文の下を見ると、入力してくださいの下に入力できるスペースが設けられていた。

なんだか少し興味が湧いてきて、そこにカーソルを合わせると私はキーボードに手を触れた。

首を突っ込んでしまってはいけないことかもしれないのだが、湧き上がる好奇心は止められない。

それにどうせネットだ。いずれどうにかなる。

そんな曖昧な考えで事をまとめ、私はキーボードを打ち込んだ。


〝yuiyui1229〟


1229は12月29日――私の誕生日。

yuiyuiは「ゆいゆい」と読み、私の友達から呼ばれるニックネーム。

登録してどうにかなるかはまだ何も分からないため、簡易なパスワードにしてみる…まではしたが。

すると今度はパスワードを打ち込んですぐに下に文字が出てきた。


『ID:number1』


ナンバー1と書かれたその文字は左にIDと書いてあった。

さっきの『一番目の検索者』が私ということも含めた意味なのだろうか。

実に興味深いこのサイト。安全なサイトという可能性は十分に……いや、めちゃめちゃ低い。

どういう造りなのかは分からないが、面白そう……という気持ちが込み上げる。


『ログインしてください』


いきなりばん、と出てきた文字に多少驚きながらも先ほどのパスワードと今のIDを思いだし、

多分これだろうと思いながらIDとパスワード入力スペースにカーソルをあわせ、

また打ち込み始める。


「number1、、、yuiyui1229っと……。」


打ち終わって、横の『Login!!』を息を吸い込みクリックする。




『改めて七日間ゲームへようこそ!!~あなたを楽しいゲームへ招待します~』



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