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復活の魔女  作者: 杉山薫
リサ17才編
13/41

1話

 私の両親が離婚して私は母に引き取らた。が、その後母は別の男をつくって私を父のもとに送ったが、父は父で再婚していて、私は施設送りになった。

 なんだかわからないけど、魔力検査っていうのがあった。微力ながら魔力があったことに政府関係者は喜んだ。


「よかったね。魔力がなかったら大変なことになってたよ」


そう言われた。


ホント、よかった。


 そして、私は魔法学校に入学した。入学初日、初登校。

なんでもそうだけど、初めてっていいもんだ。


私の席は窓際の一番後ろ。主人公席だ!

ラッキー!


そんなこと考えてニヤニヤしてたら、前の席の女の子に話かけられた。


「なにニヤニヤしてんだよ。あたしはなな。冬月奈々。あんたは?」


「私は三田村さゆり。ななちゃん、いい名前だね」


「あんたバカ。いい名前なわけないだろ」


なんだろ、なんか怒ってる。


 魔法学校っていっても普通の授業もあるんだよって。授業が始まったんだけど全然わかんない。すぐに落ちこぼれてしまった。前の席のななちゃんも私と同じくらいできない。でも、ななちゃんはいつも笑ってた。すごい。

もっとすごいのはななちゃんの授業態度。

先生の目の届かない席っていうのもあるけど、隠れて漫画読んでるか、隠れてお菓子食べてるか、隠れて寝てるかだ。ななちゃんにとって教科書は先生の目からなにかを隠すもんなんだ。もっとちゃんとやってれば、私と違っていい成績とれるのに。


絶対、大物だよ。


 夏休みも終わって二学期早々、魔力検査があった。やっぱり魔力は微力だね。その次は魔法実習。なかなか難しい。でも、ちょっとだけ魔法が発動した。


なんか気持ちいい。


ん、ななちゃん。どうしたんだろ。


先生が心配して、ななちゃんと一緒に魔法の発動の練習してる。

魔力は私と同じくらいだったのに。

その日、ななちゃんは先生に呼び出された。次の日、ななちゃんの様子がおかしい。


なんだろ。元気がないというよりもやる気がないような。


先生もなにか言いたそうだけど、ななちゃんをそのままにしている。


なんだろ。

なんだか悲しい。


魔法学校1年生の秋には魔法合宿合宿あるの。

2泊3日で魔法勉強づけ。

実習はいいんだけどね。

座学がね。


1日目

午前 座学

ななちゃんは隠れてお菓子食べてる。どっから持ってきてるんだろ。

ひとしきりお菓子を食べると隠れて寝る。ホントにいつも通り。

午後 実習

ななちゃんはやっぱり魔法が発動しない。悲しいけどいつも通り。


ご飯食べてお風呂入って、就寝。私とななちゃん以外はおしゃべりしてる。ななちゃんはイビキかいてる。

ホントに大物すぎる。


2日目

午前 座学

ななちゃんは隠れてお菓子食べてる。ホントどこから持ってきているんだろ。あ、今日は寝ないで隠れて漫画読んでた。いつも通りだ。

午後 実習

事件はここで起きた。


みんなが忘れることのできない大事件!


 事件は2日目の午後に訪れた。昼過ぎから雲行きがあやしくなってた。3時休憩の時に先生がその後の教材を取りに行った隙にみんなで裏山に探険を企てた。


昨夜遅くまで喋っていたのはこの件なのね。


私とななちゃんは渋々みんなについて行った。

途中で風雨が強くなって、崖沿いの洞窟で雨宿りをすることになった。

みんながその洞窟に入ろうとする瞬間、頭上から大岩が落ちてきて、多くの子が怪我をしてしまった。特に酷かったのがクラスで一番できるミコちゃんだった。右腕が完全に潰れてしまっていた。まだ、みんな一年生のため治癒魔法が使えない中、その洞窟に一時の雨宿りをして救助を来るのを待った。

みんながシクシク泣く中、ななちゃんのイビキだけが洞窟に響き渡る。

雨風はいっこうに弱まらないし、救助もいっこうに来そうにない。

私の隣で寝っ転がっている瀕死のミコちゃん。


「ごめんね。私のせいでこんなことに巻き込んで、私もうダメだ。自分の身体くらい自分でわかるもん」


ミコちゃんはシクシク泣いていた。

私はななちゃんのイビキが止まっていたことに気づいていなかった。

突然ななちゃんが叫ぶ。


「ピーピーないてんじゃねえ! 眠れねえだろ」


ん!

もしかして、寝言?


目が座っているというより、目があいていない。


すごい。やっぱり、ななちゃんは大物だよ。寝てるのに、立ち上がって大声で寝言を言うなんて。


そんなことを思っていたら、ななちゃんは手を上げて、手のひらを天に向ける。


寝ぼけてる。


私がそう思った瞬間、ななちゃんの突き上げた手のひらから白い光が溢れ出していった。

そして、その光はみんなを包んでいく。


あたたかい。


みんなの傷が癒えていく。

ミコちゃんの右腕も元通りになっていく。

その光は洞窟の出口を目指して動きはじめ、気がついたら合宿所の玄関にみんながいた。

みんなはななちゃんのところに来て

口々にありがとうと言っていた。


「うるせえな。寝れねえだろ!」


ななちゃんの怒声が合宿所の玄関に響いていた。


 あの日以来、ななちゃんはクラスのアイドルだ。でも、本人はあの時のことを覚えていないため、逆にみんなと距離をとっていた。

ある日、ななちゃんにあの日のことを聞かれて、正直に話したんだけど笑ってこう言われた。


「そんなすげえ魔法が使えるんならなんであたしの魔法は発動しないんだ。おめえら寝ぼけてんじゃねえぞ。まったく人をバカにして」


「違うよ。ななちゃん。ホントにすごい魔法使っていたんだよ」


そして、普段の日常に戻っていった。

ミコちゃんがスカウト退学する日、ミコちゃんはななちゃんにこう言ったの。


「ルナちゃんはクラスで一番魔法の素質があるのに、なんで魔法が使えないんだろう」


ホントそう思う。


あ、ルナちゃんはななちゃんのバトルネーム。魔法少女にはそれぞれペンネームみたいな名前があるんだ。私はリサ。ミコちゃんはサリー。


2年生になってすぐに3人がスカウト退学。スカウト退学っていうのは魔法が優秀な魔法少女が引き抜かれて魔法学校をやめていくことなの。

この3人はミコちゃんの取巻きで成績も優秀、つまりスカウト退学は妥当なんだけどね。

3人がスカウト退学になった翌日、ホームルームで先生から衝撃の事実が公表されたの。

3人の退学がスカウトではなく、補導による退学であることを。

成績がダントツでトップのミコちゃんを妬んで3人で共謀してミコちゃんを貶めようとしたらしい。

合宿所の裏山にミコちゃんを誘い出して大怪我をさせようというもの。

突然風雨が強くなったり、突然大岩が落ちてきたりしたのは全部3人の魔法。でも4人だけだと怪しまれるので、みんなを誘ったらしい。


最強魔法少女のななちゃんがいるんだから平気だもん。へへへ。


そう思って、ななちゃんを見るとイビキかいて寝てた。


ななちゃん、授業中寝るときはイビキかかないほうがいいよ。


 2年生のとき、ななちゃんと先生の間で一騒動あった。

それは魔法実習のときみんなで飛行魔法の練習をしてたんだ。

すると、ななちゃんが突然叫んだ。


「できた。できた。飛行魔法!」


みんなビックリしてたら先生が一言。


「それは飛行魔法じゃなくて走り幅跳びなんだけどね」


ななちゃんらしいや。


それでも、ななちゃんは引き下がらない。


「絶対飛んでるもん」


そんなことを30分くらいしてたら最後は先生が根負けしてしまった。


ななちゃん。逆にすごいよ。

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