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第28話 陽架琉が書く家族について

「くらにし ひかる。ぼくの家族」 



『 ぼくには家族がたくさんいる。三才までいっしょの家族と三才からいっしょにいる家族。


 ぼくは、お父さんとお母さんとお兄ちゃんとお姉ちゃんと三才までいっしょにいた。

 でも、今はお空からぼくたちにがんばれるパワーを送ってくれている。


 ぼくは、お父さんたちの顔や声があまりわからない。写真や動画を見ても、いっしょにいたときと同じかわからない。


 三才からいっしょの家族は、じいちゃんとばあちゃんとせーくんとたけしくんとせーくんの家族とたけしくんの家族。

 いつも、ぼくのことをおもってくれてるをちゃんとわかってるよ。


 ときどき、こわいけど。みんなはやさしくてね。ぼくも、みんなのことが大好きだよ』


 これは、陽架琉が小学生の一年生の時に支援級の担任と一緒に書いた家族をテーマにした作文だ。

 

 陽架琉が、一年生では習わない漢字を書きたいと担任言ってマネッコをしながら時間をかけて書いた。


 陽架琉の事情を知っている教師たちは、授業で家族をテーマに書く作文を例年以上に慎重に考えた。


 魂蔵(ごんぞう)に担任が、電話で相談をした。


「陽架琉が、書きたいって思ってるなら書いてほしいです」


 魂蔵は、すぐにそう言った。


「分かりました。陽架琉くんの意思を尊重して、彼が思う家族についての作文を書きますね」


 そうして、完成した作文を陽架琉は学校から持って帰った。


「じいちゃん、みて〜 」


 陽架琉は、ニコニコと笑顔で作文を入れたクリアファイルをじいちゃんに渡した。


「陽架琉、これはなんなだ? 」


 魂蔵は、首を傾げて聞いた。ファイルから見えるプリントには、『お家の人に渡すもの』と書かれているから内容まで分からなかった。


「家族の作文〜 」


 魂蔵は、一瞬息を呑んだ。


「じいちゃん? 」


「あとで、ばあちゃんとゆっくり見るよ」


「うん! 」


 魂蔵は、陽架琉からの作文を見たのかという問いを何度かかわして夜を迎えた。

 陽架琉が寝たのを確認をして、ちよこと二人で作文を読んだ。


 二人は、こんな時間に作文を読むんじゃなかったと後悔をした。


 それは、陽架琉が書いた作文が想像以上に良くて感動をしてなかなか寝れないと思ったからだった。


 翌朝、魂蔵とちよこは陽架琉と朝ごはんを食べながら話した。


「陽架琉、作文を見たよ」 


 陽架琉は、寝ぼけてる顔からキラキラした顔に変わった。


「とても良かったよ」


「えへへ! 」


「ワシも、陽架琉のことが大好きだよ」


「ばあちゃんも、陽架琉のことが大好きだよ」


「ぼくも! 」


 陽架琉は、すごく嬉しくてその日はハイテンションだった。


 せがれとたけしが、いつも倉西家に来る時間を陽架琉は楽しみにしていた。


「せーくん、たけしくん見て〜 」


 陽架琉は、二人を玄関の中で待っていた。そして、玄関の中に入って来た瞬間にそう言った。


「「えっ? 」」


 その後、せがれとたけしが作文を読んで喜んだのはまた別の話だ。

読んでいただき、ありがとうございます。


陽架琉は、たけしに憧れてるので漢字を書きたいと何度も担任に伝えました。

 そして、担任は覚悟を決めて陽架琉と話しながら作文を書きました。

 陽架琉は、担任が薄く書いた字を写したくないと言って困らせました。

 悪戦苦闘をしながら、陽架琉は自分の字で家族をテーマにした作文を書き上げました。

 同じテーマを書いたみんなよりもかなり時間がかかってしまったけれど。

 陽架琉は、頑張って書いた作文を家族が喜んでくれたのが何より嬉しかったのです。

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