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第24話 恋愛事情と感情

時は、陽架琉が保育所に通っている頃のことだ。

今回は、想像以上に長いです。

物語と一緒に、割り振ってる数字に注目をしてください。

「せがれ、たけし」


 じっちゃんが、いつものように遊びに来た俺たちを呼んだ。

 陽架琉(ひかる)は、保育所に行って家にいなかった。保育所を再開してトラブルがあったが、保育士や周りのサポートで通えるようになった。


「ん? 」


「はい。じっちゃん、どうしましたか? 」


 じっちゃんは少し言いにくそうにしていたが、深呼吸をしてから話しだした。


「二人とも、パートナーはいるのか? 」 


「「ハァ? 」」


 思いもしない言葉に、俺たちは驚きを隠せなかった。


「どうして、そんなことを聞くんですか? 」


「いや、よくよく考えると二人とも恋愛する年頃だからよ。いつも陽架琉といるから、どんなのかと思ってな」


 じいちゃんなりに、俺たちのことを気にしてくれてたようだった。

 大学生である俺たちは、学業やバイト以外に恋愛を年頃だ。

 そりゃあ、じっちゃんが心配するのもわかる。だって、普通の学生が恋愛にあてる時をいつも陽架琉といるからだ。


「気にしてくださり、ありがとうございます。僕は、恋愛にはそれほど興味がなくて。心配しなくても大丈夫ですよ」


「そっか。まぁ、たけしは小説家もしてるから忙しいか」


 たけしは、大学に入学してから雑誌に応募した小説がすごい賞をとった。

 それから、学業と平行して短編を書いている。大学を卒業した大学院に行きたいとおもっている。


「俺も、今は恋愛よりも陽架琉とじっちゃんたちと学業と家業で充分だ」


「そうか。二人とも、ワシたちよりも優先することがあれば、悔いが残らないようにそっちを選べばいいからな」


「分かった」


「分かりました」


 俺たちは、陽架琉が帰宅してからめいっぱい遊んで晩御飯を食べて帰った。


2


 たけしは自分の家に帰らずに、俺の家に泊まった。原稿から目を逸らしたいというのが理由だ。


「そういえば、竜輝(りゅうき)のことなんだけど」


「竜輝くんがどうしましたか? 」


「じっちゃんが、恋愛について話してたから思い出してな」


「あのことですか? 」


「あぁ」


 二人は、あることを思い出した。


3


 竜輝たちの火葬が済み、じっちゃんの家はどんよりした空気が漂っていた。

 信じたくない現実と向きわないといけないのに、心がとてつもなくつらくて悲しくてたまらなかったから。


 俺やたけしが、じっちゃんたちの話し相手や陽架琉と遊ぶために行っていた時のことだ。


 ピンポーンと、玄関のチャイムがなった。ばあちゃんが、「はーい」と言って玄関に行った。


「ご、ごめんください」


「はーい。鍵、開けますね」


 その頃は、たちの悪い報道機関がいたので玄関の戸の鍵があいてると分かると無断で上がり込もうとすることもあった。

 そのため、防犯の対策と陽架琉の脱走防止として鍵をかけていた。


 ばあちゃんが玄関の戸を開けると、一人の制服を着て鞄を持った女子高校生が立っていた。


 その制服は、竜輝と同じ学校だった。


「あら、どうしたの? 」


 ばあちゃんは、優しく話しかけた。


「すみません。私、その……」


「ゆっくりで、いいわよ」

 

 その言葉を聞いて、女子高校生は深呼吸をした。


「私は、竜輝くんと同じ学校でクラスメイトです」


「はい。竜輝のクラスメイトなのね。お名前を教えてもらえるかしら」


波多野(はたの)うみかです」


「うみかちゃんって、呼んでもいい? 」


「はい」


「うみかちゃん、まず玄関から上がって中で話してもいいかな? 」


 波多野うみかは、下を向いていた。


「あっ、居間には来客がいたわ。あっちに狭いけど、お部屋があるからそこで、少し話しをしようかな」


 波多野うみかは、小さく頷いた。ばあちゃんは、彼女に少し待ってもらって、飲み物とお菓子をとって一緒に空き部屋に行った。


「うみかちゃん、今日はどうして来てくれたのかな」


「私、本当は行くかどうか迷ってたんです」


 ばあちゃんは、うみかの言葉に相づちをうった。


「私、竜輝くんに前に助けてもらったことがあって。それから、その一人の男の子として気になるようになったんです」


「あら、そうなのね。竜輝がどんなことでうみかちゃんを助けたのか教えてもらえるかな。竜輝は、なかなかそういことは自分から言ってくれないの」


「私、その内気でおっちょこちょいなんです。それで、クラスに馴染めなくて空気を悪くなってしまうことがあって。その時に、私を庇ってくれたり、言いたいことを代わりに言ってくれたんです。あと、落とし物を拾って渡してくれました。竜輝くんのおかげでクラスに馴染めるようになりました」


 ばあちゃんは頷いぎながら、うみかの話しを聞いていた。


「竜輝は、当たり前のことをしたって言うと思うわ」


「お礼を言うと、そう言われました」


 うみかは、当時のことを思い出した。


「私、あの()のニュースを見て。すごく怖くて、悲しくて。今でも優しい竜輝くんが、いなくなったのが今でも信じられなくて」


 うみかは、ポロポロと涙を流した。


「学校に行っても、記者の人が話しかけてきて怖くて。行けなくて……」


 うみかは、竜輝がいなくなったのが信じられなくて、学校にいるかもしれないと思って登校をした。

 でも、竜輝はいなし、記者が竜輝や事件のことを聞いてきて怖くなった。

 そして、竜輝を教室や学校中を探してもいないという現実を知って登校が出来なくなった。


「竜輝くんが、受験のために頑張ってたから。私も頑張ろうと思って。少し勇気を出して、来週から登校します」


 うみかは怖くても、前に向こうと思った。


「その前に、竜輝くんにお線香をあげたくて」


「それで、来てくれたのね。ありがとう。竜輝も、喜ぶわ」


「それだったら、嬉しいです。竜輝くんは、きっと私のことはただの世話のかかるクラスメイトって思ってます。そうだったとしても、私は彼に救われて……」


 うみかは、ばあちゃんにあることも話した。それはうみかが、まだ自分の気持ちを竜輝には伝えていなかったことだ。

 なぜなら、今は受験があるので二人とも合格してから伝えようと思ったのだ。


「私、竜輝くんとは三年間クラスが同じで。そのたびに、困ったことがあればすぐに助けてくれました」


 ばあちゃんは少し何かを思い出すかのように考えこんでいた。


「あっ!うみかちゃんって、二年生のバレンタインの日に、竜輝くんにチョコは渡したことがあるかしら? 」


 うみかは、顔を真っ赤にした。


「あら、ごめんなさいね。あなたの話しを聞いていて、おばあちゃん思い出したの」


「えっ? 」 


「竜輝が、バレンタインの日にチョコを持って帰ってきたって聞いたのよ」


 ばあちゃんは、笑顔でそう言った。


「弟の陽架琉が、竜輝のカバンを漁ってね。チョコが入った包を握りしめったの。それを見て、いつも陽架琉に甘い竜輝が怒ったのよ。私、それを聞いて驚いたわ」


4


 純とすみれが仕事が平日に休みになって、リフレッシュとして保育所に陽架琉を預けた。

 そして、じいちゃんの家に行っていたこと。その日は、じいちゃんは仕事でいなくてばあちゃんだけが家にいた。


『母さん、この間バレンタインだったでしょ』


 純は、家に着いてからの初めての話題にバレンタインを選んだ。


『そうね』

 

『竜輝、青春してるかも』

 

 純は、にっこりして言った。


『あら』


『竜輝、チョコのお菓子を持って帰ったんです』


 すみれが、そう言った。そして、竜輝の話を続けた。


『陽架琉が、カバンの中を漁ってて。竜輝がそれを見つけたんです』


『それで、いつもは陽架琉にそんなに怒らないのに、怒ったんですよ』


『えっ? 』


『ひーくん!これは、俺の()()()()()()!とったら、ダメだ! 』


 陽架琉は、いつもの様子の違う竜輝に怒られて大声で激しく泣いた。


『陽架琉は、泣いちゃってね。それを見て、竜輝は陽架琉に怒りすぎたって謝ってたの』


 ばあちゃんは、その様子が目に浮かんだ。


『竜輝は、陽架琉が大好きだから。あげれるものはあげてるんだけど。あのお菓子だけは、珍しく怒って取り上げててね』


 純が、優しい表情で言った。


『竜輝が大切なお菓子って、自分の部屋に持っていく途中の顔が見えたんだけどね。少し赤くなってて、恥ずかしそうにしてたんです』


『そうそう、それで青春してるなって思ったんだよ。本命とか義理とか関係なく、竜輝のことを想って作った子がいるって、家族以外にいるのは良いなって』


『それと、竜輝がその子にもらったモノを大切だって言ってる気持ちが良いと思ったんです』


 純とすみれは、それぞれ優しい顔をして言った。

 


『そうね。竜輝とその子が今後どうなるか分からないけど。私も、同じ気持ち。一人息子の純を私とお父さん以外で想ってくれる人が出来て嬉しいわ』


 ばあちゃんは、すみれの方を見て言った。


『ありがとうございます』


 すみれは、顔を赤くして礼を言った。


5


 ばあちゃんは、その時のことを思い出しながらうみかに伝えた。


「私が作ったおかしを大切って、言ってくれたんですね。良かった」


 うみかは、笑顔でそう言ってまた涙を流した。


「竜輝は、恥ずかしがって自分の気持ちをなかやか言わないから。でも、少し表情に出るからね。あなたから、バレンタインの日にお菓子をもらえて嬉しかったんじゃないかな」


「あっ」


 うみかは、その日のことを思い出した。竜輝に勇気を出して、手作りのおかしを渡した。


「あ、ありがとう」 


 竜輝は、いつもよりも表情が柔らかくて顔を少し赤くして、お菓子を受け取ってくれた。

 でも、すぐに顔を背けられてしまった。


『お口にあったら、食べてね』


 うみかは、なんとかそれだけを伝えた。


『うん。大切に食べるよ』



 確かに、竜輝の声は嬉しそうで()()()と自分に言ってくれていた。


『波多野さん。こないだもらったお菓子、大切に食べたよ』


『お口に、合ったかな? 』


『うん。美味しかったよ。ありがとう』


 なんで、今まで忘れてしまってたのか分からない。


 竜輝が、大切に自分が作ったお菓子を食べて美味しかったと、喜んでくれた表情や声をこの時に全部思い出した。


 もしかしたら、うみかの心はまだ竜輝が当たり前のように生きてると信じたくて、思い出となった彼を認めたくなくて蓋をしたのかもしれない。


「竜輝のことを、好きでいてくれてありがとうね」


「はい! 」


 うみかは、出来るだけ明るく返事をした。大切なことを思い出せたり、竜輝の家族にそう言われて嬉しかったから。

 そして、竜輝との大切な思い出に蓋をしなくても良いと気づけたから。


 ばあちゃんは、一口飲み物を飲んだ。


「うみかちゃん、少し残酷かもしれないのだけど」


 ばあちゃんは、一度下を向いた。


「はい」


「竜輝のことをいつまでも想ってくれていいし、時が経てば別の人が好きになるかもしれない。そして、苦しむかもしれない。それでもね、自分を責めずにゆっくりと、その気持ちと向き合っていくのよ」


 ばあちゃんは、じいちゃんが亡き幼馴染の女性への想いを知っていた。

 だから、じいちゃんに似た境遇のうみかに伝えたのだ。


「はい」


 うみかは、ばあちゃんの目を見て返事をした。

 

6


 うみかの様子が落ち着いてから、二人は居間に向こうことにした。部屋を出る前にばあちゃんが、言った。


「来客がいるけど。気にしなくていいからね。うみかちゃんが、お参りしてる間は別の部屋にいてもらうから」


「あの、来客ってどんな方ですか? 」


「そうね。竜輝とよく一緒にいる少し年上の男の子たちだよ。今は、陽架琉の兄代わりとして面倒をよく見に来てくれてるの」


「あっ、その人たちなら私、知ってるかもしれません」


「そうなの? 」


「はい。竜輝くんが下校の後に年上の男性二人と会っているのをみたことがあって。少し、私も話したことがあります」


「そうなのね。その二人がいても大丈夫かな。難しいなら、さっき言ったように別の部屋にいてもらうよ? 」


 ばあちゃんは、うみかの気持ちに寄り添った。竜輝の死で、心を落ち込んだ彼女の気持ちが心配だったからだ。


「いてもらって、大丈夫です」


 うみかは、まっすぐとばあちゃんの目を見て言った。


「分かった。じゃあ、行こうか」


「はい」


 二人は、部屋を出て居間に向かった。


「みんな、竜輝にお参りに来てくれた子がいるから入るわよ」


 ばあちゃんの声掛けに、だらんとしていたじいちゃんたちが姿勢を正したり、通りやすいように物を避けたりした。


「おう」


 じいちゃんが、そう返事をしたのを合図に二人は部屋に入った。


「あの、おじゃましてます。私は、波多野うみかです。この度は……」


「波多野さん、その先は言わなくて良い。竜輝のために来てくれてありがとう。気が済むまでいてくれて良いからな」


 じいちゃんは、優しくうみかに言った。


「はい」


 うみかは、ばあちゃんに少し促してもらいながら仏壇にお参りをした。

 どれくらい時間が経ったのか、分からない。うみかは、時折涙を流しながら目を閉じて竜輝のことを想った。


「ありがとうございます」


「良いんだ。竜輝のために来てくれて、ワシは嬉しいよ。お菓子も供えてくれたんだね。竜輝は、喜んでくれてるよ」


 うみかは、お供えとしてまた手作りをしたお菓子を持ってきていたのだ。

 

「そう言ってくれださりありがとうございます」


「そう言えば手作りのお菓子は、前にも竜輝がもらってたな」


 じいちゃんは、バレンタインの日のことをばあちゃんに聞いていて、それを思い出した。


「はい。私が渡しました」


 じいちゃんは、その言葉に全てを察した。


「ありがとう」


 うみかは、恥ずかしさもあって頷くしかできなかった。



「あの、竜輝くんのとは別のお菓子を作って持ってきたので、みなさんで召し上がってください」


「良いの? 」


 ばあちゃんの問に、うみかは頷いた。


「ありがとう。じゃあ、みんなでお菓子をただきましょう」


 うみかが、みんなで食べれるように持ってきたのはチョコチップクッキーだった。

 竜輝のは、バレンタインの日よりもバージョンアップしたお菓子だ。


 うみかが来たときに、居間の隅にせがれとたけしと陽架琉は移動をしていた。

 せがれは、陽架琉を抱っこしている。そして、陽架琉はその中で気持ち良さそうに寝ていた。

 たけしは、陽架琉の寝顔に癒されていたのだ。


「おかし〜? 」


「あっ、お菓子の匂いにつられて、陽架琉が起きた」


 せがれとたけしは、小さく笑う。


「陽架琉くん、お菓子食べる? 」


 うみかが、陽架琉に気がついて聞いた。寝ぼけとお菓子があるなら、陽架琉は人見知りをしなかった。


「うん〜 」


 陽架琉の目は、とても輝いていた。


「陽架琉、少しまだ寝ぼけてる感じだから。このまま抱っこして行こう」


「そうだね。転んだら、危ないからね」


 三人は、みんながいる居間の真ん中に移動して、座った。


「波多野さん、今日は来てくれてありがとう。改めて、僕は秋原たけしです」


 たけしは、優しくそう言った。


「俺は、とりあえず宮本でよろしく」


 せがれは、少し迷ってそう言った。


「はい。分かりました」


 うみかは、その様子に少し戸惑いながら返事をした。


「陽架琉くん。波多野さんに、お名前と「おかし、ありがとう」って言えるかな? 」


 お菓子を前にした陽架琉は、覚醒をしていた。


「ひーくん! 」


「陽架琉。おかし、ありがとうは? 」


 せがれも、陽架琉に言葉を促すように言った。


「おかし、あーと! 」


 陽架琉は、おかしを目の前にしているので、さっきよりも目は輝いている。


「陽架琉くん、どうぞ食べてね」 


 うみかの言葉に、陽架琉は喜んだ。


「陽架琉、暴れるな。おかし、取ってやるから」


 陽架琉は、せがれに抱っこをされたまま「おかし! 」と少し暴れる。


「陽架琉くん。おかし、あ〜ん」


 たけしが、先におかしを手にとって陽架琉の口に持っていく。


「あ〜ん! 」


「たけし、俺がしたかったのに! 」


「その体制だと、とりにくいと思いまして」


「おい、二人とも喧嘩するな」


 せがれとたけしが言い合いをして、じいちゃんがそれを止める。


「おかし、おいし〜! 」


 陽架琉は、おかしが美味しいとニコニコになった。


「うみかちゃん。クッキーを作って持ってきてくれてありがとうね」


 うみかは少しカオスな状況に戸惑う。そこに横に座っていたばあちゃんが助け舟を出す。

 

「喜んでくれて、嬉しいです」


「竜輝のことだから、本当はあの時も陽架琉と一緒にお菓子を食べたかったと思うの。でも、自分宛てのお菓子はとても大切だったから。一人で食べることにしたのね。今日は、みんなで食べれるから、喜んでるわ」


「……そうですか? 」


「あら」 


 ばあちゃんは、急いでティッシュをうみかに渡した。


「すみません。悲しくて泣いたわけじゃなくて。そうだったら、嬉しいなって」


 じいちゃんとせがれとたけしは、うみかの涙に少しの間気がつかないフリをした。


7


 うみかが家に帰ると言うので、せがれとたけしが玄関先まで見送ることになった。


「波多野さん。お菓子、ありがとう。美味しかったよ」


「僕、波多野さんのお菓子が美味しくて何個も食べちゃいました。竜輝くんも()()()()()()()()()をしてると思いますよ」


「それなら、よかったです」


 彼女は、少し驚いてから照れたように笑った。


「宮本さんと秋原さんのお口にあったら、よかったです」


「俺もこの味は好みなのと、陽架琉が美味しいって喜んでたな」


 陽架琉はお菓子を食べて満足して、じいちゃんに抱っこをしてもらってまた寝ている。

 

「お二人は、竜輝くんに似てますね」


「「えっ? 」」


「すみません。失礼でしたか? 」


「ううん。そうじゃない」


「僕たちのどんなところが、竜輝くんに似てましたか? 」


「はい。一度だけ、学校の廊下に手帳が落ちてたのを拾って。その時にたまたま開いてるページに陽架琉くんの写真が貼ってるのをみてしまって」


「竜輝、確かに手帳に写真を貼ってたな」


「はい」


「少しして、竜輝くんが走ってきました。手帳を渡すと、安心してました。それで、私が竜輝くんに「弟くんの写真ですか? 」って聞きました」


『そう。陽架琉っていうんだ!かわいいだろ〜! 』


「そう言っていた竜輝くんの嬉しそうに笑ってる顔がお二人に似ていると思いまして」


「そっか」


「あの…… 」


 うみかは、戸惑った。それはせがれたちが、下を向いたから。


「波多野さん。俺たちは、そう言ってくれてすごく嬉しいんだ。なぁ、たけし! 」


「はい。とても嬉しいです。ありがとうございます」


 三人は少し話をした。その後、うみかは家を出ていった。


8


 時は、せがれの家にたけしが泊まりに来た日に戻る。


 二人は、せがれの部屋椅子や座椅子に別れて座っていた。


「波多野うみかさん、あの日よりも前にも会ったことがあるよな」


「はい。竜輝くんが下校した時に待ち合わせ場所で会いました。彼女が下校の時に僕たちの前を通る時に、たまたませっちゃんと視線があってしまって」 


「俺が悪いって聞こえるぞ。確かに俺の目つきは、悪いけどさ」


「すみません。そう聞こえたら」


「たけし、お前な」


「話を戻すと」


 せがれは、わざとらしくため息を着いた。


「せっちゃんが、「ビビらした」って言ったのを竜輝くんが気づきました。それで、竜輝くんがせっちゃんは怖くない人だと、波多野さんに説明してました」


「そうだった。あっ、たけしはその時も俺を見て笑ってただろう」


「はい。それは、せっちゃんの落ち込ん出る顔がツボでしたから」


「たけし、そのクセ直せよ」


 たけしは、時々せがれの表情がツボで笑うことがある。


「できれば」


「もう、それでいいから」


 せがれは、半分諦めていた。


「波多野さん、毎年命日の少し後にじいちゃんの家にお線香をあげに来てますね」


「それで、毎年竜輝たち用と陽架琉用にお菓子を手作りをして持ってきてる」

 

「でも、あの時より前を向いてる表情をしてましたね」


「あぁ。俺は、それを見て安心した」

 

「はい」


 二人は、机の上に置いてる竜輝の写真を見ていた。自分たち以外にも、竜輝を想う人がいて良かったと想った。


9


 たけしは、せがれの勉強机とセットの椅子に、せがれは座椅子に座って、お互いを見ている位置にいた。

 

「せっちゃん、本当はパートナー予定の人がいるんじゃないですか? 」


「な、何いきなりそんなことを言うんだよ」


「動揺してますね」


 せがれは、下をみた。


「じっちゃんには、「俺も、今は恋愛よりも陽架琉とじっちゃんと学業と家業で充分だ」って言ってたけど。本当は違うんじゃないですか? 」


「たけし、流石だな。隠せなかったよ」


 せがれは、諦めたように笑った。


「何年、せっちゃんと心友をしてると思うんですか? 」

 

「そうだな。たけしの言う通り。今は、相棒って感じでいようと約束をしてる大学で同じ学部の女子がいるよ」


「そうなんですね。その方は、せっちゃんのどこまで知ってるんですか? 」


「話せる限りのことは、少しずつ伝えたよ。竜輝の事件も知ってるし、彼女の友達の家は、命は無事だけど被害を受けたって言ってたよ」


 たけしは、せがれの言葉に驚いた。まさか、自分たちと同じような境遇の人と出逢うとは思ってなかったから。


「たけしの気持ちも分かるよ。俺や彼女も、同じような傷を持っていて、舐めあいにならないかって心配をしてる。それに、互いがあの()の傷や支えていくモノを少しずつ話して分かち合ってきているよ」


「そうなんですね」


「あぁ、俺も彼女も今は学生で恋愛よりも他のことを優先していくって決めてるし、相棒として支えてる。だからと言って、たけしや陽架琉たちを(ないがし)ろにするってことはない」

 

 せがれなりに、色々と考えていた。そして、付き合ってることは言えないでいたのだ。


「やっぱり、せっちゃんはすごいよ」


 たけしの目は、言葉と違って暗かった。


「えっ? 」


「僕は、まだ前に進めない。もしかしたら、みんなは僕が前に進めてるように見えるかもだけど」 


 たけしは、前髪を掻きむしってから、手で表情を隠す。


「あの()の後、僕は家族と少しずつ仲良くなった。クドいかもしれないど、本当はそれが苦しくて。家族仲の良い竜輝くんたちがいなくなったのに、僕たちが生きてるのがおかしく思えて」


 せがれは、黙ってたけしの心の声を聞いた。


「じっちゃんが、あの()のことは人生の分岐点だって話をしてましたね」


 せがれは、その話を聞いた時のことを思い出していた。


「自分のせいで竜輝くんがいなくなったって思うなって。後悔をして償いのように思うなって。金輪際やめて欲しいって、そう言ったことがあるでしょ。あの時は、じっちゃんが僕のことを言ってると思って驚いた」


 せがれは、完全に思い出した。確かにあの時に誰かの驚いた小さな声がしていたことを。


「あの後、せっちゃんは落ち込むこともなくて、すぐにじっちゃんに当たり前かのように寄り添った。僕には、それが出来ないよ」  


 せかれは、薄々たけしの心の闇に気がついていた。

 でも、バレないように心の鍵をしている心友に、どう声をかければいいのか分からなかった。


10


 たけしの感情や表情が、普段周りに見せないようになってきた。


「僕は、やっぱりせっちゃんのように器用に出来ない。恋愛には興味ないにした。だって、竜輝くんが波多野さんが好きで告白をしようか迷ってるのを知っていたからね」


「えっ? 」


 せがれは、心友のからの言葉に驚いた。


「竜輝くんが、バレンタインの日に波多野さんにお菓子をもらったって連絡をしてくれた。それよりも前から、竜輝くんが僕に恋愛相談をしてくれてたんだ」


「知らなかった」


 せがれは、静かにショックを受けた。 


「恋愛については、せっちゃんよりも僕には言いやすいって言ってたよ」


「……そっか」


「竜輝くんは、受験が終わって二人とも合格すると思うから、その時に告白をしようかなって言ってました」


「えっ? 」


 たけしは竜輝の想いを知っていたから、うみかに「竜輝くんも波多野さんと同じ想いをしてると思いますよ」と伝えていたのだ。


 それは、お菓子の感想じゃなくて、恋愛についてのことをたけしなりに伝えたのだ。

 波多野うみかもその意図になんとなく気がついてたのか、彼女は照れいた。


 せがれは言葉の違和感には気づいたが、意図は分かっていなかった。


11


 たけしは、椅子をくるっと回転をさせた。せがれに背中を向けたのだ。


「たけしは、そのことを知っていたから。竜輝がもう出来ない恋愛をしたくないんだな」


「はい」


「たけしは、あの()からの日々をまだ償いのように思ってるのか? 」


「はい」


「違うだろう! 」


 せがれは、声を張り上げた。その声に、たけしは肩をビクつかせる。


「僕は、後悔をして苦しくて。落ち込みたくて。でも、僕なんかよりも陽架琉くんたちが言葉にまとめれないほどの感情を持っている。だから、僕には資格がないとも分かっても、償いをしたくて」


 たけしの声は、とても苦しそうだった。


「本当に、償いをしてると思ってるのか? 」


「僕だって、分かりませんよ! 」


 たけしは、大声を出した。彼からやっと本音が出てきた。


「僕は、竜輝くんやその家族が失って悲しくて。だって、自分のせいかもしれないって思って」


 たけしの呼吸は、少し乱れ始めた。


「その悲しみを忘れたくて、竜輝くんのためにも陽架琉くんの世話をして」


 たけしの呼吸は、どんどん荒くなる。まるで何かから逃れたいように走っているように。


「この醜い感情を、見えないモノにしたいんですよ」


 たけしは、自分の醜い黒い感情を何度も蓋をしても出てくるものを見えないモノにしたかった。


「たけし、深呼吸をしろ」


 せがれの冷たい声に、たけしはビクッとなりながら言われた通りのことをした。


12


 せがれは座椅子から立って、たけしの少し斜め後ろに座った。


「たけし。信じられないかもしれないけど。俺だって、心は醜いよ。俺だって、こんな感情を見えないモノにしたい」


 たけしは、背中をせがれに向けたまま机の上に伏せた。彼の服の袖や机の天板は、涙で濡れていた。


「俺は、あの()に、親父やたけしや田中たちがいてくれたから、踏ん張れたんだ。それに、じいちゃんとばあちゃんと陽架琉との日々は、つらくて、苦しいこともあった」


 家族を失って遺された人たちの隣にいるのは、当時高校生のせがれでも堪えることがあった。


「みんな、つらいのに平気なフリをして、当たり前な日常を進もうとしてんだ。本当は、立ち止まりたいし、おわりたいのにな」


 せがれは、自分の醜い感情をたけしに初めて見せる。


「本当は、俺がたけしを巻き込んだのに、陽架琉の兄代わりやじっちゃんたちに寄り添うのをやめて逃げようって、何度も思ったことがあるんだよ。そういうふうには、見えないだろ」


 せがれは、髪を掻きむしる。


「本当は、じっちゃんとばあちゃんと陽架琉とこうやってつらいことがあっても楽しく過ごせるのは、俺じゃないって思ってんだ。こんなのは、おかしいって」


 せがれとたけしは、似ている感情を持っていた。


「亡くなってしまった竜輝たちが、本来なら事件に巻き込まれずに過ごしていた未来を俺が過ごしていいのかって。難しいよな、感情って」


 せがれの瞳には、涙がたまっていた。


「この感情は、たけしにバレなかった。そうやって偽れるし、蓋が出来るんだよ」


 せがれは、深呼吸をして口を開いた。


「でも、つらくて苦しいことだけじゃなかったよ。陽架琉がどんどん成長をしていくのが楽しみになった。じっちゃんたちも、心から笑えるようになったし、助けを求めるようになった」


 あの()のせいで、みんなの人生の分岐点がつらく険しいものになった。

 でも、それだけじゃなくて良いことも確かにあったのだ。


「その良いことがあって、俺はなんとかなってるんだ。恋愛だって、恋人って言うよりたけしのように何かあっても協力して前に進む相棒で同士って感じだよ」


 せがれの相棒の彼女は、彼らと同じような境遇をもっている。お互いを理解をしあっていても、関係性は恋人未満。


 せがれは彼女のことは、たけしの女性版って思うぐらいだ。

 それを聞いた彼女は、少し怒ったがケラケラと笑い納得をしていた。



「たけし。陽架琉は、お前のことが大好きだぞ。たけしに甘えて、信用して、お前の書く小説が好きで。陽架琉の笑顔を数え切れないぐらい見てるだろう」


 たけしは、陽架琉が自分に笑顔を向けているところを思い出した。


「じっちゃんとばあちゃんは、たけしを頼りにしている。たけしがしてることは償いじゃない。たけし自身がじいちゃんたちのことを想ってしてるから支えてるんだ。じっちゃんたちもたけしを信じて頼りにして、陽架琉のことを任せてるんだよ」


「本当は、分かってますよ」


 たけしは、顔を上げた。


「自分の気持ちが、矛盾してることを」


 たけしは、また髪を掻きむしる。その隙間から見える目から涙が溢れて頬にスーと流れる。


「僕は、恨んで欲しいんですよ。僕が竜輝くんとのお泊りを断ったせいで陽架琉くんから兄を奪ったって」

 

 たけしは、まだ苦しさを残した声で言った。


「たけし、本当は分かってるだろ。陽架琉たちがたけしを恨むことはないって」


 せがれは、いつもの調子で言った。


「あっ…… 」 


 そして、彼はたけしが自分でも分からなくなってしまったモノに気がついた。


 それは、責められても誰かに『許し』を与えられたかったということだ。

 

 せがれ自身が思う自分への『許し』とは違う、たけしの歪んだ『許し』ことが長年心友をしてると分かってしまったのだ。


13


 たけしが、また椅子をくるっと回転させてせがれの方に向けた。


「はい。陽架琉くんが無邪気に僕に笑顔を向けてくれる。じっちゃんとばあちゃんが、僕を頼りにしてくれることは、ちゃんと分かります」


「だったら」


「僕は、本当は陽架琉くんの兄代わりをせっちゃんとする資格はないんですよ」

 

「なんで、まだそう言うんだよ。俺、たけしに兄代わりを強要してないだろ。自分の意思だったろう? 」


 せがれは立ち上がって、たけしを睨みつけて胸ぐらを掴んだ。


 たけしの中で、どういう話の流れになっても最後に行き着くところ変わらずに決まっているのだ。


「何度も言ってるでしょ。僕は、倉西家から竜輝くんを奪ったんですよ。僕が、両親が帰ってきたからって、竜輝くんとせっちゃんを家に泊めるのをやめなかったら。あの悲劇が……」


 言い終わる前に、せがれの拳がたけしの頬を殴った。


「ッ……。痛っ。何するんですか!! 」


「俺だって、たけしを殴りたくなかったよ」


 せがれの頬に涙が流れて、彼の拳は赤くなっていた。


「たけし。じっちゃんが言ってたじゃん。ばあちゃんと陽架琉以外を亡くしたじっちゃんが恨んで償うのは放火をした犯人だけで良いって」


「あっ……」


「あの()から苦しんでのは、じっちゃんたち()だろ。俺だって、後悔して苦しくて竜輝のために出来ないかって、必死に考えてんだよ」


 せがれは、少し荒くなった呼吸を整える。


「たけし。さっき、お前もじっちゃんの想いを口にしてただろ。ちゃんと分かってんだよ。たけし自身が、そう思いたくなくても、思ってしてまう気持ちがあるって。それを言われて実感して驚きがあったんだろ」


 たけしは、うつむいた。


「たけしもまだあの()から苦しんで、取り残されてんだ。陽架琉たちといることで前に進んだって思ったのに、本当はこれでいて良いのか不安で。自分が彼らにしてることの名前を、()()ってしてるだけだって」


「えっ? 」


「もう、償いって思わなくていいよ。また苦しくなったらさ、俺にぶつけろ。間違っても、じっちゃんに言うな」


「うん」


 たけしは、自分の言動によって竜輝が亡くなってしまったと思っている。

 それなのに、自分が()を生きて陽架琉たちにしてる言動が時々つらくなった。 

 彼らの苦しみや自分に向けられる笑顔に対しての自身への醜い感情を知ってしまったからだ。


 彼らから向けられる笑顔や喜びを素直に受け取ることが出来なくなってしまった。


 自分が罪を犯して、遺族にしてることが善意からじゃなくて償いというラベルを貼ってる方がだんだん楽になったのだ。


 たけしの感情はぐちゃぐちゃになり、爆発をしてしまった。

 それをせがれが向き合って、たけしの感情の暴走を受け止めたのだ。


「たけしは、違うって分かってもどうしてもコントロールが効かずに、自分が悪いって思ってしまうんだよな」


「はい」


「その時は、俺が何度も止めてやるからな」


 たけしは、頷いた。


「たけしは、本当は誰かに許されたかったんだよ。今思えばじっちゃんが、あと時に本当は許しの言葉を言ってたと思う。でも、たけしはそれに気が付かなっただけ」


「そうなのかな」


「たけしは、誰かに恨まれて責められて自分が悪いんだって実感してから。自分なりに償って、周りや自分を許したかったんだって思うよ」


 たけしは、せがれの言葉によってぐちゃぐちゃの心が少しずつマシになってくるのが分かった気がしてきた。


「俺が、さっき自分の感情を伝えただろ。俺だって、たけしほどじゃないけど。沈むんだよ」


 せがれは、たけしの方を見たあとに自分の拳を見た。


14

 

 二人は、深呼吸をして机に置いてあった飲み物を飲んだ。

 一息をついてから、たけしが話しだした。

 

「せっちゃん、ひどい言葉を言ってごめん」


「おう。俺も殴ってごめんな。痛かったよな」


「痛いです。傷のせいで、陽架琉くんに余計に会いにくくなったじゃないですか。どうしてくれるんですか? 」


「たけし、これでもかなり弱めにしたほうなんだけど。ケンカで殴るのは、数年ぶり」


 たけしの頬や口元は、せがれに殴られて痛々しい傷になっている。

 

「まさか、こんなにケガをされるとは思わなかったわ。力加減ができてないな」


「せっちゃん、そういうことじゃないですよ」


「たけし、ケガしてんだから大口を開くなよ。痛いだろ」


「誰のせいですか? 」


「元をたどれば、たけしだな」


「ケガの手当てをしてくれるなら、許します」

 

 たけしは、少しはぐらかすように言った。


「おう。じゃあ、自分で手当てしにくいからしてもらおうか。それで、チャラだ」


「分かりました。前にも、せっちゃんの手当てをしたことがあるので、任せてください」


 二人は、さっきと違っていつもの調子で言い合いをした。


「あっ、やべぇ。忘れるとこだった。たけし、悪い話しがあるだけど聞く? 」


 たけしが嫌な予感をして、あの怖い笑顔でせがれを見た。


「ごめんって。でも、たけしの編集者から「何が何でも締め切りまでに原稿が出来るように、たけしさんから陽架琉くんから離してください」って連絡をもらった」


「はぁ? 」


 たけしの声は、とても低かった。


 たけしに証拠を見せるように掲げたせがれのスマホには、確かにメッセージのやりとりのアプリにそう書かれていた。


「わざと、殴りましたか? 」


「いや、それはない。絶対にないから」


 せがれは、必死にそう言った。

 

「俺の家にいるなら人が多いからさ。それなら、たけしは脱走できないだろうなって思ってはいる」


「せっちゃん、殴ったのは暴行罪なので通報しますよ」


 たけしは、机に置いていたスマホを触った。


「冗談でも、するなよ。殴って大変申しわけありません」


「うん。良いよ」


15


 結局、たけしは一週間ぐらいせがれの家に缶詰め状態になった。

 その間に、せがれから殴られたところは完治して、傷跡は残らなかった。

 ついでに、せがれがたけしを殴ったのは利き腕じゃないほうだ。その傷もきれいに治った。


16


 せがれとたけしがお互いの醜い感情になったら、こうやってぶつけては互いを止める約束をした。


17


 たけしが、久しぶりにじいちゃんの家に行って、陽架琉に会って、()()()()()()心の充電をしてるのは、また別の話だ。

 竜輝が亡くなった15歳で、たけしの感情はぐちゃぐちゃになってしまった。


 今回、せがれとぶつかり合うことで15から先を少しずつ進んでいけるようになったのだ。

 たけしは、歪みのある気持ちに隠した純粋な気持ちと向き合って許していく。


 読んでいただき、ありがとうございます。

 

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