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第1話 じいちゃんの幼馴染だった人

 じいちゃんの心友の「おさむ」とそのお隣に住む「みちこ」は、幼馴染(おさななじみ)でいつも一緒にいた。

 

 じいちゃんが中学の時に、幼なじみの二人はこの世を旅立った。

 

 おさむが、学校帰りに事故にあって亡くなった。あまりにも突然のことで、じいちゃんとみちこはとてつもなく悲しかった。つらかった。

 おさむは、いつも通りに普段通る道を歩いていた。そこに、加害者がかなりの量の酒を飲んで車を運転してやって来た。その事故が原因で、おさむの命が亡くなった。


 みちこは、クラスの委員長でみんなに優しいマドンナ的な存在。おさむもじいちゃんも、彼女のが好きだった。

 でもじいちゃんは、みちことおさむが両思いなのも知っていた。

 

 みちこには、きょうだいも多くて、両親と一緒に子育てを中学生なのにしていた。

 たくさんたくさん頑張っていたみちこの心の拠り所は、大好きなおさむと幼馴染のじいちゃんだった。

 

 でも、おさむが隣にいなくなって、みちこはプツリと糸が切れたのか、この世からいなくなった。

 

 じいちゃんは、みちこのことをすごく心配していた。

 みちこは、何度も自分からいなくなろうとしていたのをじいちゃんは止めていた。

 

『みちこちゃん()いなくなるな! 』

 

 じいちゃんは、そう何度も怒り悲しみながら必死に止めていても、みちこはいなくなった。

 

 みちこからじいちゃんに宛てた手紙には、こう書かれていた。

 

『おさむくんがいなくなってから、あなたも辛いはずなのに支えてくれてありがとう。

 でも、おさむくんに会いたくてたまらない気持ちが抑えられなくなりました。

 ごめんなさい。おさむくんにも、あっちで怒られると思います。

 あなたは、私をおさむくんの元にいかせないようにしてくれたのに、ごめんなさい。

 おさむくんと私が、あなたを置いていくことになって、ごめんなさい。

 あなたは、何も悪くありません。悪いのは私だけなので、どうか私を責めてください。

 こんな私でも、一緒にいてくれて嬉しかったです。ありがとうございます。

                   みちこ』

 

 みちこの死や手紙はじいちゃんにとって、とてつもなく悲しくてつらくてたまらなかった。


 だからじいちゃんだけは、「どんなことがあっても必死に生きてやろうと決めた」と、この話をする度に泣きながら言った。

 

「じいちゃんは、あの世に行ってな。しわくちゃのじいちゃんになるまで生きてやったわと、アイツらにいってくるんや」 

 

 じいちゃんは、得意げに言っていた。

 心友が生きられなかった時をじいちゃんは、一人歩んでいったから。

 

「じいちゃんはな。自分から、消えようとしてる人に死ぬなや生きろって直接的には言わない。自分の目の前から、ただいなくなってほしくないんだ」 


 じいちゃんは、写真立ての中で笑ってる人を懐かしむように見つめた。

 

「じいちゃんが、みちこに言った言葉はな。じいちゃんのわがままだったかもしれんな」 

 

 じいちゃんは、ポツリと涙を流した。

 

「でも、じいちゃんはな。おさむがいなくなってとてつもなく悲しかった。おさむの後を追って、自分からいなくなったみちこちゃんを生かせなかったと思うと、悔しくてとてつもなく悲しかったんだ」 

 

 じいちゃんは、ゴシゴシと服の袖で雑に涙を拭いた。

 

「じいちゃんは、二人がいなくなって寂しかったからな」

 

 じいちゃんは、窓の外に広がる空を見てポツリと言った。

 人はこの世からいなくなると星になったり、天国にいったりするから。

 じいちゃんのその言葉が二人に届くといいな。

読んでいただき、ありがとうございます。

幼馴染の死をきっかけに、当時中学生のじいちゃんは死に向き合うようになりました。

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