第1話:プロローグ
「あきは、どうして医者になりたいの?」
夢の中で彼は、あの頃とまったく同じ声でそう問いかけてきた。
見覚えのある場所だった。
滑り台のそばに植えられた桜の木が、風に揺れている。
私たちはもう大人で、背丈も、歩幅も、少しだけ変わったけれど――
夕暮れの光の中、昔よく遊んだ公園の近くを並んで歩いていた。
彼に会えたことが嬉しくて、懐かしくて、でも、どこか切なかった。
本当は、あのときもうまく答えられなかった。
「ん?」と笑ってごまかして、「行くよ!」と改札を駆け抜けた。
心の奥にあった“好き”も、“迷い”も、全部、飲み込んで。
──今、私の隣に彼はいない。
私は医師になったけれど、本当にそれが望んだ道だったのか、まだわからない。
気がつけば、夢の中でだけ会える彼に、
私は手紙を書いていた。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
この物語は、
感情を置き去りにして走り続けてきた人へ、
過去に引っかかりながらも、前に進もうとする人へ。
「自分の気持ちなんて、あとまわしでいい」
そうやって頑張ってきた誰かの心に、
そっと寄り添う物語であったなら幸いです。
読み終えたあと、少しでも――
自分の声に耳をすませてみようかな。
そんな気持ちになってもらえたら、とても嬉しいです。
一言でも、あなたの感じたことを届けてもらえたら、とても励みになります。
感想はこちらから(匿名OK・ログイン不要):
▶︎ https://forms.gle/euQEjbpPFV1AFXRh7
※スマホではタップできない場合があります。コピーしてブラウザに貼ってくださいね。
Instagramでも創作や日々の想いを発信しています。
DMで感想を送ってくださるのも大歓迎です。
▶︎ https://www.instagram.com/aki_tsumugikawa
あなたの言葉が、次の物語を紡ぐ力になります。
これからもよろしくお願いいたします。