ウィルス放出!
「緊急事態 緊急事態 バイオハザード発生! レベル5 全隔壁を閉鎖」
「基地内を減圧開始」
「基地の自爆装置、作動を確認。あと15分で基地全体が自爆します。基地内に
いるものはすみやかに脱出せよ」
AIの淡々とした声が次々に恐ろしい事態を告げる。
「おいおいなんだよ ウィルス放出と同時に基地を爆破? ヤバいぞこりゃ しかも
15分って・・・」
「急ぎましょう! とにかくウィルスを無効化しないと」
「そ、そうだな。」
「座標によるとこっちです!」
セブンが指し示しながら廊下を走る。
「隔壁が閉まっている部分はどうする?」走るセブンの後ろから声をかける。
「手間ですが、私のプラズマレーザーで排除します」
「ねぇ、研究員というかゼウスの人達の様子がおかしくない?」
「そりゃ、あんな放送があったんだ動揺してるんだろ?」
「そういう感じに見えないなぁ なんかどうして自分はここにいるんだろう?
どうしたら良いんだろうって?顔してるように見えるんだけど」
「う~ん、確かにおかしいけど、今はとにかくウィルスの元へ急ごう。でもまあ
おいお前達、ここはもうすぐ爆破されてしまう、早く外へ逃げ出せ!!」
そこここで途方に暮れているように見えるゼウスの連中にそう怒鳴りつけながら
俺たちは先へと急いだ。
「どうやらこの隔壁の奥らしいです」
セブンが扉に両手を当てながら告げる。
「どうゆう状態か分からないので、注意してください」
「了解だ」
消火器っぽい噴霧器を構えてうなずく。
扉が爆破されると噴煙が収まるのも待たずに奥の部屋へと駆け込んだ。
その部屋には、さらに小さな区画がありその中で・・・
「ひどい・・・こりゃ酷いな・・・」
薄く煙るその小部屋の中で10人以上の白衣を着た人間が息絶えていた。
「幸い、ウィルスはこの小さな部屋の中で拡散しているだけでまだ、外部には
漏れていないようだな」
「でも、密閉された部屋の中にどうやって抗ウィルス薬をまけば良いのかな?」
「あのガラスを割って・・は、ダメだな・・この部屋の隔壁を破壊したから、
あっという間に拡散してしまうだろう・・・エアロックみたいな物は無いのかな
調べてみよう。セブンも探してくれ、この部屋の中に抗ウィルス薬を入れる方法を」
自爆時間も迫る中、必死に方法を考える。
エアロックは無かった。しかし、ウィルス貯蔵室に引きこまれている配管が何本か
見つかった。
「早苗! 噴霧器に入れた抗ウィルス薬以外に原液のままの物も持ってきていたよな
、出してくれ!」
「え?はい、これよ」
受け取った容器は口が大きめだった・・・
「これじゃダメか・・・う~ん・・そうだ! 噴霧器の口をあの配管を分岐部に
差し込んで噴射させれば中に届くんじゃ無いかな。幸い分岐にはバルブが付いている
から先を入れてからバルブを開けばこっちにウィルスが出てくる前に抗ウィルス剤を
送り込めるだろう どっちにしてももう時間が無い、やるしかない」
「自爆シーケンス作動中。自爆まで10分です」
AIの無機質な声が響く中、セブンの上に肩車をするように早苗が噴霧器を持って登り
噴霧器の先を分岐部に差し込み、サージカルテープをぐるぐる巻きにしてから、
バルブを開けつつ、噴霧器の引き金を絞り、抗ウィルス薬を配管の中に噴射させる。
「よし上手くいったようだ、部屋の中に霧状に散布されているぞ」
俺の言ったことを裏付けるようにバイオハザードのレベルが5から3へ落ち、さらに
下がっていく。しかしその早さは焦る気持ちと裏腹に遅々として進まない。
「自爆シーケンス作動中。自爆まで5分です」
AIがそう告げたと同時に
「バイオハザード解除 全隔壁を解放します。」
と、無害になったことを告げる。
「よし、脱出だ!!急ごう!!」
「とても5分じゃ脱出なんて無理よ!!」
「アルタイル! 今俺たちがいる座標にミサイルを撃ち込んで天井を破壊してくれ
それと同時にさっき言っていたドローンを降ろしてくれ。2分で頼む!」
「アルタイル了解」
「さぁ、天井が爆破されるぞ部屋の隅に移動しないと巻き込まれる、急げ」
言ったすぐに天井が崩れ落ちてきた。
それに続くように大型のドローンが下部にカーゴをつけて降りてくる。
「よし、あれに飛び乗るぞ、セブン、早苗を頼む」
セブンが早苗を抱えてカーゴに飛び乗る。続いて俺もなんとかカーゴによじ登る
「ベガ、ドローンを回収、収容してくれ。収容後、全速でこの空域から離脱だ」
「了解!」
アルタイルにドローンが収容されるとすぐに基地上空から離脱を開始する。
数秒遅れて、基地の至る所で爆発が起こった。 地上、地下を問わず次々と爆発
が起こり、ついに基地全体が陥没した。




