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城崎温泉

「ベガ、とりあえずあの海岸線に見える川沿いに少し内陸へ飛んでくれ」

「了解」


アルタイルは静かに海岸線から川に沿って内陸へ向かう。

やがて右手に温泉街らしき集落を見つけた。


「ああ、多分、ここら辺りだと思う、ベガ、あそこの空き地に着陸してくれないか」

「了解」


アルタイルは、河と鉄道の線路の間にあった廃墟後の更地に着陸した。


「ベガは、航法装置のチェックを 俺は、温泉がまだあるかこの付近を調べてくるよ」

「了解です。 温泉、あると良いですね」


俺はアルタイルから降りると川沿いに廃墟の跡を歩いて行った。

「まあ、俺の時代から何百年も経ってるわけだし? 温泉旅館なんて物を続けていた

なんて酔狂な奴はいなかっただろうしなぁ。せめて源泉が残ってればなんとかなるか」


ブツブツ独り言を吐きながら歩いていると足元がなんとなく暖かくなってきた気がして

俺は、注意深く辺りを探っていると、川面から湯気が出ている箇所を発見した。


「おっ、もしかしたら・・・」


俺は湯気の出ている場所へ駆け寄って見る。 川底から源泉が湧き出ている様子が

水面下に見えている。 そしてそのそばにパイプが刺さっているのも確認出来る。

そのパイプは川縁まで伸び、さらに河原の上を廃屋の方へと続いていた。

パイプをたどり、その廃屋の方へ行ってみると、そこは宿泊施設から独立した湯殿だった。

「なるほど。宿泊客専用の露天大浴場と言ったところか。」

俺はその湯殿の周りを一廻りして建物自体の傷み具合を見て回る。

「数寄屋造りっぽく作ってるが、中身は軽量鉄骨だな。これなら崩れることは無いだろ

う。 で、ここが入り口か」

格子戸風の引き戸に手をかけスライドさせてみると、思っていたよりもスムーズに戸が

開いた。 土間があり、下駄箱があり、上がり框がある。 俺は靴を脱いで上がると

男湯と大きく書かれた暖簾の奥の引き戸を開ける。檜の香りが鼻をくすぐった。

「へぇ まだ木の香りがするなんて凄いな。 ここは脱衣所だな。 壁にカゴを置く

棚があって、脱衣カゴもちゃんとある。 まあ、タオルとか浴衣や丹前なんてのは、

客室の方に置いてあったんだろうな」

俺は湯殿に続く引き戸を開け、湯殿に足を踏み入れてみる。大理石や岩石で作られた

洗い場と湯船。 当然、今はお湯は張られていない。お湯を張る前に掃除した方が

良いのだろうが水道が使えるか分からんな デッキブラシとかも探さないとだが、

それ以前に温泉を湯船に引きこむための装置があるはず。それを探さないとだな。

そんなことを考えながらふと洗い場の隅を見ると、こういう湯殿なら普通は檜造りの

洗い桶が積んであるだろう場所に黄色の山が出来ている。

「まさかあれって・・・」俺は黄色の山に向かって走り寄った。はたしてそれは・・

「おいおい、こんなところで、しかもこの時代でケロ○ンの洗い桶に出逢えるとは

なぁ・・ このメーカ何百年も作り続けてるって事だよな 俺の小学校時代に銭湯で

使ってたんだからなぁ いやビックリだわ まあ、それはそれとしてお湯を湯船に

入れるポンプ室と、掃除用具入れ探さんとな」


脱衣所の壁を調べていて掃除用具入れを見つけた。 さらに湯殿を出て外回りを

詳しく調べるとポンプ小屋を発見、中には、大型のポンプが設置され、上水道などの

元栓などと共に温泉の各種ベントが設置されていた。しかし、電気が来ていないのか

操作盤を弄っても何も動かなかった。

「まずは電源確保だな、アルタイルに戻って発電機を持ってこよう」


アルタイルに戻るとベガが昇降口で待っていた。

「温泉の方はいかがでしたか?」

「うん、使えそうな奴を見つけたが、とりあえず電源が必要なんだ。電圧100Vで30A

出力できる電源ユニットはあるかな?」

「そうですねぇ15A出力の物があるのでそれを並列に使って30A確保できると思います。

予備も含めて3台持って行きましょうか?」

「ああ、それが良いだろうな。 あと、湯船、洗い場を掃除したいのでセブンと

ナインも連れて行きたいが構わないか?」

「ナインはともかく戦闘型のセブンもですか?」

「うん、一応、周囲の危険度をチェックさせたいんだよ」

「嗚呼、それなら納得です。 用心に越したことはありませんから」

「航法装置の方はどうだ?」

「あの捕虜にやられました。菓子の袋を細かくちぎって装置の隙間から投入したのです

袋の内側はアルミコーティングされていたため基板のいくつかがショートし、誤作動

したのです」

「そっか・・・仕方ない、捕獲したときのように手枷、足枷をつけて倉庫に監禁してお

け」

「了解です」


その後俺は、セブンとナインに台車に乗せた発電機を湯殿のポンプ室にに運び込ませ

るとセブンに周辺の警戒とチェックを命じ、ナインには、掃除用具入れにあったデッキ

ブラシを持たせて、湯船と洗い場の清掃を命じた。俺自身は、ポンプ室の配電盤に、

発電機を接続し、電源を確保、制御盤を復旧させると、まずは上水道のバルブ操作を

行って全ての蛇口から水道水が出るようにしてから、ナインと一緒に清掃に回った。


それから1時間ほどかけて湯船と洗い場の掃除がほぼほぼ終了したところでセブンが

戻ってきた。

「セブン、周辺の状況は?」

「見回った限りでは、危険は無さそうです。 一応、周辺200mにセンサーを設置

してきました。」

「そうか一安心だな。じゃあ、とりあえず湯船にお湯を張るとするか」

俺は制御盤を調べてポンプのスイッチを入れた。

地響きと共にポンプが作動、川の源泉から温泉を汲み上げ湯船に流し込み始める。


「さ、お湯が溜まるまで時間がかかりそうだから、いったんアルタイルに戻ろう。

あいつらに温泉の使い方をレクチャーしなくちゃだしな」

「分かりましたマスター」


「あ、おかえり~おっちゃん。 温泉あったの?」

「ただいま翔子。 うん、今準備中だよ。温泉の使い方を教えるからみんなを食堂に

集合させてくれないかな?」

「分かった~~ すぐ、集めるねぇ」

******************

「さてみんな、待望の温泉は見つかった、今お湯を張って準備しているところだよ」

「「「やった~~~」」」

「で、みんな温泉は初めてだろ? 楽しみ方をこれから教えるんでおぼえてくれ。」

「「「は~~~い」」」


「まず、下着を含めた着替えとハンドタオル、バスタオルを用意してバックにでも

つめてくれ。 そして、現地に着いたら脱衣所というところで、脱衣カゴというカゴに

着ている物全てを脱いで入れる。」

「そうしたら、いよいよ湯殿に入る。持って行くのはハンドタオルのみな」

「洗い場に入ったら、備え付けの黄色い桶で湯船からお湯をすくい、身体にかけて

ざっと身体を洗った後、湯船に浸かる、このとき、お湯にタオルを入れてはいけない。

で、ゆっくり身体を温めたら、洗い場で髪や身体を洗って、再びお湯に浸かってのん

びりしたら、脱衣所でバスタオルで身体を拭き、服を着て終了だ。」

・・・・・・・・・

「そしたら、脱衣所から先は身体を隠す物は無いってこと?」

「素っ裸ってこと?」

「おっちゃんに裸を見せろってこと!」

「いやぁぁぁっぁぁぁ!」

お菓子や紙コップが俺の方へ飛んできた。

「ちょっちょっと落ち着け! まて! 心配するなちゃんと男湯と女湯に分かれてる

から」


お菓子やらリンゴの芯やらペットボトルをさらに投げようとしていた3人の手が止まる


「あ、男女別に入れるのね な~んだ」

「先に言ってよ、そう言うことは」


「湯殿に行けば分かると思ってからだ!」

「と、とにかく今言った準備をして昇降口に集合だ。ベガもカオスもああ、それと

あの捕虜もな」

「え?捕虜の子も連れて行くの?」

「一人、アルタイルに残すのは不安だからな。つれて行った方が安心する。」

「なるほど、一理あるわね。」

「セブン、ナインも付いてきてくれ。 2人とも温泉に入って構わないからな」

「了解しました」

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