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ゼウス戦闘員

「うううっ・・・誰か無事な奴はいるか?」

ゼウスの指揮官、チレンコフは額から流れ落ちる血を袖口で拭いながら大破した

アトラスの残骸から這い出した。

「し、指揮官殿・・・」

機動要塞殲滅部隊に志願した年少のヘルサとアーシャの2人が壊れたパネルの下から

アーシャがヘルサを引っぱり出すようにして這いずって出てきた。

「おお、お前達、無事だったか!」

「わたしは、足をくじいただけですが、ヘルサは・・・重症です。」

「そうか・・・まあ、あれだけの爆発だったからな、我々が助かったのだって奇跡の

ようなものだ。 しかし、まだあいつらは健在だ。ここで奴らを皆殺しにするんだ。」

「わたしももちろん、そのつもりですが、ヘルサの手当も・・・・」

「足手まといは、いらない」

そう言うと、チレンコフは、腰のホルスターから拳銃を抜き、ヘルサの頭を打ち抜いた

「なっ! なんてことを・・・」

「いいか、我々の任務遂行に情けなど不要。 お前も従わなければ、容赦なく撃ち殺す

分かったな」


「翔子、カオスの様子はどうだ?」

自動修復ベッドまで行くと、ベッドの横で椅子に座って見守る翔子に声をかけた。

「まだ、目を覚まさないけど、うなされてもいないし、ただ、眠ってる感じ。待つしか

無いと思う」

「そうか・・・そうだ、五木姉妹はどうしてる?」

「墜落同然の着陸で実験装置やアンチウィルスのデータが破損してないか、調べるって

言ってさっきまで、奥の倉庫にいたはずだけど」

「そうか、お前はこのままカオスの側にいてやってくれ、そして、目が覚めたら、突入

して、爆発するまでの間に何か気がついたことがないか聞いてくれ」

「分かった。おっちゃんは?」

「この騒動で付近にいる敵がこっちに来る可能性もあるんで、修理が完了するまで周りを警戒する」

そう、返答したとき、どこかで銃声が聞こえた

「今のは?」翔子が不安な顔で尋ねる。

「銃声っぽかったな、だけど、対人センサーに反応は無いみたいだから、この近くじゃ

無いと思うけど、翔子はここを動かないようにな 俺とTYPE7で調べてくるから」

「うん、分かった、気を付けてね」

俺は、翔子の頭をなでるとTYPE7に声をかけ一緒に表に出て周囲を見回す。

「どこから聞こえた? 」

「5時の方向、あのがれきの辺りからです」

「よし、注意しながら左右に分かれて近づいて調べてみよう」

「了解です。こちらをお持ちください」

そう言ってグロック拳銃を渡された。 ちなみにTYPE7は使い慣れたMP5サブマシンガン

を構えている。

俺は、グロックのスライドを動かし初弾を薬室に送ると地面に銃口を向け、ゆっくりと

目的のがれきに右側から近づいていく。 同じように左側からTYPE7が近づいていく。

と、その時、がれきの影から女の子を羽交い締めにした軍人らしき男が女の子の頭に

拳銃を突き付けた状態で出てきて叫んだ。

「それ以上近づいたら、この女を撃ち殺すぞ! そこに止まって銃を捨てろ!!」

俺は、軍人らしき奴はゼウスの奴だと見当が付いたが、女の子がどこにいたのか疑問に

思いながらも、目の前の状況では、とにもかくにもその子の命優先だと判断し、TYPE7

に銃を置くよう指示しながら自らも銃を地面置いて両手を上げ、その男に話しかけた。

「ほら、銃は置いた、お前も銃をその子の頭から下ろせ!」

俺がそう叫んだときだった、アルタイルで試薬などのチェックをしていた五木姉妹が

「おっちゃ~~ん なんか銃声っぽいのが聞こえたけど大丈夫なの~?」と、出てきて

しまった。 俺は、姉妹に「危ないからアルタイルに戻れ!!!」と、叫んだ。


「こいつぁ良い、今見える敵全員を倒せば、あの変ちくりんな円盤は使い物にならん

だろう、アーシャ、撃ちまくるぞ!!」

チレンコフに羽交い締めされたようにしていたアーシャはその声で背中に隠していた

アサルトライフルを構えるとフルオートで発射した。 同時にチレンコフも拳銃を

撃つ。アーシャの弾丸は、その小柄な体格のせいでライフルがぶれまくり、外れたが

こちらの対応を遅らせるのには十分だった。

「TYPE7、銃を拾ってあいつらを攻撃しろ!!」そう言いながら俺も地面に置いた拳銃を

拾い上げて男に向かって発砲。しかし、弾は外れた。その間に男は拳銃で五木姉妹を

狙い、その1発が、早苗の足に命中、姉妹でアルタイルに走っていた早苗が倒れ、それを

奈穂が必死に担いで逃げようとする。

「やめろぉぉぉ!!」そう叫びながら俺は、姉妹と男の拳銃の軸線上に走りながら男に

向かって何発も銃弾を送り込む。TYPE7は、サブマシンガンで男を蜂の巣にしたが女の

子に発砲するのを一瞬躊躇ってしまった。その一瞬の間に女の子はマガジンを交換し、

地面に伏せると俺たちに向かって再びライフルを撃ちまくり始めた。

俺は早苗を抱えて逃げる奈穂の背中に向かって必死に走りながら、後ろに向かって背中

越しに銃を撃つが当たるはずもなく、逆に背中と足に複数の銃弾を受けて地面に転がっ

てしまった。 その姿を確認したTYPE7は、今度は躊躇すること無く、地面に伏せる女

に向かってサブマシンガンを発射、鎮圧した。

「TYPE7、その女を拘束しろ!!」そう命令するのが精一杯で俺は地面に転がったまま

気を失ってしまった。

1時間後。


「いててて・・ 俺は戦闘には向いてないのになぁ」

そうぼやきながら、俺は治療ベッドから降りて捕まえた敵の女戦闘員の元へ向かった。

手錠で後ろ手に拘束された女戦闘員は、俺の姿を見るやいなや「くっ!殺せ!」と

叫んだ。

「本当にそんな台詞吐く奴っているんだ」俺は呆れながら女の顔を覗き込む。


「なによ!どうせ殺すんでしょ?!」

「あのなぁ、お前達の考えは知らないけど、俺たちは身を守るために仕方なく殺す事も

あるけど、無意味な殺しなんかしないよ」

「綺麗事言ってんじゃ無いわよ! 諸悪の根源は貴方たちなんだから!」

「そう、教育されたのかい?  ま、今の世界の姿をよく見て考えて見ることだ。じゃ、

しばらくは、この倉庫で大人しくしててくれよ、こっちは君らのおかげで修理に忙しい

んでね」

「せいぜい頑張りな! 残りの機動要塞もぶっ壊してやるから!後一機だけだし!」

女戦闘員は下品に中指を押っ立てて睨み付けた。


部屋から出ようとした俺はその言葉に振り向き、女に駆け寄った


「今なんって言った? もう一機? それはどこにあるんだ!」

「なに?知らなかったの? 自分の国の兵器なのに」

「5機有るって聞いてたんだ、で、君らが北海道の1機と東京の1機を破壊し、今さっき

2機を同時に破壊してしまった。」

「ざまあみろだね。日本の機動兵器さえ壊滅させれば世界征服は達成させやすいからね」

「ふん、誇らしげだな。で? 他にも機動要塞があるんだって? それはどこに!!」


「そんなこと教える義理は無いわ! 自分で探せば?!」


「ああ、そうするよ。 まだ1機有るって事が分かっただけでも朗報さ!」

俺は、ドアを乱暴に閉めながら部屋を立ち去り、その足でカオスの治療ベッドに

向かった。

「ど、どうしたの?そんなに慌てて」

カオスの様子を見ていた翔子が焦ったように椅子から立ち上がる。

そんな姿を見て俺は「ああ、大丈夫、座っていてくれ。カオスの様子はどうだ?

話は出来そうか?」と、翔子に訪ねる。

「さっき、意識が戻ったところだけど、まだ話すのは無理なんじゃ無いかなぁ・・

カオスちゃん カオスちゃん おっちゃんが来たんだけど・・・」

翔子がカオスの肩を少し揺すって話しかけると、カオスはうっすら目を開けて俺の方を

見て。

「すみません・・・独断専行した挙げ句2機とも破壊してしまって・・・・」

「いや、それはもう済んだことだから気にするな。 お前が助かっただけでも良かった

と思ってるんだから。 それよりも聞きたいことがあるんだが大丈夫か?」

俺がそう言うとカオスは、治療ベッドから上半身を起こしながら

「大丈夫です。 聞きたい事って?」と、聞いてきたので俺は、今さっき捕らえた

女戦闘員から聞いた話を告げながらアトラスに突入したときに敵が何か言っていな

かったかを訪ねた。

「・・・・・・・・・・・・そうですねぇ・・・自爆シーケンスを発動するという

言葉と、後は沖縄だが、他の部隊が上手くやってくれるだろうと言ってましたね」

「沖縄か・・・・沖縄のどこかは言ってなかったか?」

「ええっと・・・水族館という単語は拾いました」

「そうか! ありがとう! ゆっくり休んで体調を整えろ! 翔子頼んだ!」

俺は2人にそう言うとアルタイルの修理をしているベガの所へ向かった。


「ああ、大丈夫なの? 撃たれたんでしょ?」

飛行機能の回復修理をしながらベガが尋ねてきた。


「ああ、俺も早苗も軽傷で済んだよ。で、修理の進捗状況は?」


「やっぱり2日はかかりそうね」

「そうか・・・まあ、仕方ないな。 ところで日本政府が開発したこの機動要塞だけど

5機と聞いていたが6機有るみたいだぞ?」

「え?」

ベガは修理の手を止めて振り返った。

「それ、確かな情報なの?」

「ああ、捕虜の女戦闘員と、カオスからの情報をまとめるとな」

「それで6機目はどこにあるの?」

「沖縄のどこかの水族館らしいところまでは分かった」

「沖縄かぁ・・じゃあ、信号も微弱になって今まで察知できなかったのも分かるわ。

それにもしかしたら、沖縄のその6機目はアメリカの海兵隊との共同建造だったかも」

「なるほど・・・100年後にも嘉手納基地があるとすればそれもあるかな・・・」

「沖縄には大きな水族館が2つあるわ。美ら海水族館とDMMかりゆし水族館よ」

「そのどちらかに最後の機動要塞が隠されてるというわけだな。しかし・・修理して

沖縄に向かったとしても3日はかかるよなぁ、その間にゼウスにまた乗っ取られる可能性

も考えないとな。さて、どうしたもんか・・・」

「ねぇ、リチャードさんに相談してみたら?」

いつのまにか翔子が脇に立っていた。

「リチャード? ああ、あの米空軍の男か! そうか!あいつは、アメリカ軍だったな

じゃあ、嘉手納基地にも話が通じるかもしれない、あいつに渡した通信機で、連絡が

取れれば良いんだが・・ベガ、奴に渡した通信機の使用可能周波数で、通信要請の

メッセージをくり返し送信してほしい。」

「分かりました」


俺はベガに連絡を頼むと五木姉妹の元へと向かう。

「どうだ、早苗の様子は」

早苗が寝ているベッドの脇でうたた寝をしていた菜穂に声をかける。

「あ、おっちゃん。 うん、お姉ちゃんの足は大丈夫そうだよ。弾は抜けたって言う

から、ここの治療システムですぐに良くなるって」

「そうか、良かった。 少し話せるかな、お姉ちゃんと」

「多分大丈夫、ねぇねぇお姉ちゃん、おっちゃんが見舞いに来てくれたよ」

「ああ、ありがとう。ちょっと痛いけどもう大丈夫。貴方の方こそ撃たれたんでしょう?

大丈夫なの?」

「ああ、俺の方もなんとかな。 それより、例のワクチンだけど使えそうか?」

「臨床試験を始めたばかりだからまだ結果は出てないんだけど、使えそうな気はしてる」

「2ヶ月くらいかかるんだっけか 結果が出るのは」

「うん。」

「沖縄にもう一機、機動要塞があるという情報が入って、そこへ向かう予定なんだ。

そこで無事に機動要塞を確保できたら、沖縄で臨床試験の結果を待ちつつ作戦会議

をしたいと思ってる。某国のどこに細菌兵器が貯蔵されているのか、それをどうやって

無力化するかを考えないと行けないしな」

「細菌兵器は多分、密閉カプセルに入っているんだと思う。だからその密閉カプセルごと

耐爆ケースに確保してその中で破壊した後、ワクチンを散布すれば良いと思うわ」

「言うほど簡単じゃ無さそうだな・・・・まあ、2ヶ月あるしその間に準備するしか

ないな。ま、今は、ゆっくり休んでいてくれ、菜穂も疲れてるだろ?休んでおけよ」


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