西暦2015年 国連緊急会議
ニューヨークにある国連本部の会議室はまさに沸騰寸前だった。
「全世界で情報を共有し、一刻も早く、『ノアの箱舟計画』を進めないと間に合わ
ないぞ!」
「そんなことは分かっている! 君の所の次世代エンジンの開発はどうなって
いるんだ!進捗状況が報告されていないぞ!」
「恒星間飛行に必要な冬眠カプセルの開発はどうなっている?」
「いや、それよりあの凶悪なウィルスに対抗できる治療薬の開発が先ではないか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
話し合いどころの騒ぎではなかった。各国の代表が皆勝手に怒鳴り合い会場は爆発
寸前と言ったところで、本物の爆発が建物を揺さぶった。
「な・・なんだ! なんの爆発だこれは!」
誰もがそう叫んだとき、会議場の外から激しい銃撃戦の音がしたかと思うと、会議場の
重い扉が開かれ、重武装した一段が会場になだれ込んできた。
「あ~~みなさん、そのままそのまま。 落ち着いて、席にお戻りくださ~~い。」
場違いなほどの陽気な声で武装集団の中で1人、背広を着た男が叫ぶ。
「抵抗は無駄ですよ~ この部屋は、完全に制圧されましたからねぇ」
「きき・・君は誰なんだね! こんな真似をしてタダですむと思っているのか!」
国連事務総長がその男を指さしながら叫ぶ。 その一瞬後に総長は額を打ち抜かれた。
静寂が支配する・・・
「だから、抵抗するなと言ったのにまったく・・ さて、自己紹介させていただこう。
私は世界統一国家ゼウス総代の周と申します。以後お見知りおきを」
「世界統一国家だと?! そんなこと出来るわけ無いじゃ無いか!」
「皆さんは、北の大国の悲劇をまだ覚えてらっしゃいますよねぇ? あれよりも
強力なウィルスを我々が保有していると言ったらいかがです?」
「なっ! まっ、まさか・・・」
「そういうことです。 抵抗するお国は、あの大国と同じ運命をたどるのですよ?」
「はっはったりだ! 我が国は断固として従わんぞ!」アメリカ代表が叫ぶ。
「まあ、良いですとも、いきなり世界統一すると言われても実感が無いでしょうしね
そうですなぁ・・向こう1年、地球上の様子を観察すると良い。では1年後にまた
お会いしましょう皆さん」
そう言って、周と名乗る男は部下を引き連れ会議場を後にした。