野菜を育てるのだ
「ナイン、ちょっと探索に付き合ってくれないか?」
俺は、アルタイルのコントロールルームを覗いて、ナインに声をかけた。
「それで、どこに向かいますか?マスター」
おなじみになったおんぼろワゴン車のハンドルを握りながらナインがたずねる。
驚いたことに先日、アンドロイド達を連れてノスタルジックスペースに行った際に
運転を覚えてしまったようで、今日のドライバーはナインである。
「うん、農園に行って何か植物の種とか苗が残っていないか確認したい」
「分かりました。農園ですね。偵察ドローンから得た座標をアルタイルの
データベースからインプット・・では行きます」
こりゃ、俺が運転するより数段正確に、そして素早く目的地に行けそうだ・・
そう思っている間に、目的地の農園に到着。
「到着しましたマスター。 探索を開始しますか?」
「とりあえず園内を見て回ろう。主に倉庫や品種改良研究施設かな」
「分かりました。お供します。」
「結構大きな農園だな・・・・」
俺たちは、まず、倉庫へ向かった。
「ナイン、植物の種とか苗がないかこの建物の中、調べるぞ」
「種? 苗? どのようなものでしょうか?」
「そっか・・・良し、一緒に探すとしよう」
俺はナインと一緒に倉庫の棚を一通り見て回った。
その結果、キュウリ、ナス、トマト、サヤエンドウ、ダイコン、ハクサイ
そしてホウレンソウの種。
ニンニク、ジャガイモの球根。
そしてタマネギとアスパラガスの苗を見つけた。
「ナイン、こういうのが種や苗だ」
「これがそうなのですか これをどうするのです?」
「土に植えるのさ。 時期もあるので全部ってわけでは無いけどな」
「土に植える?」
「そう、そうするとな、一定期間を経てこの袋の写真の様な野菜が実るんだ。
俺たち人間の食べ物さ。新鮮なね」
「食べ物になるのですか、それは素晴らしいですね。」
「うん、ナインにも世話を手伝ってほしいんだ。頼むな」
「了解しました。あの子達のためですね?」
「うん、まあそうかな。俺も新鮮野菜が食べたいってのもあるんだけどね ははは。
よし、欲しいものは手に入れた。拠点に帰ろうナイン」
「了解です。マスター」
拠点にしている大学に戻るとアルタイルの横に置かれているパラソルとテーブル
セットでベガとカオス、翔子が寛いでいた。
「戻ったぞ。お前達は暇そうだな」
「おかえり~ 両機動要塞のメンテは終わったし、データ解析はコンピュータ
任せだから、すること無いのよ」
翔子がコーラの缶を口に傾けながらそう答えた。
「そっか、忙しいのは、五木姉妹か。 それじゃあ、君たちにはちょっと
手伝ってほしいことがあるんだけどな」
「なになに? 何すれば良いの?」翔子が暇すぎたようで食いついてきた。
「実はな、農作業を手伝ってほしいんだ」
「農作業?」
「うん、このちょっと行った先にこの大学の薬草園みたいなところがあってな、
そこを利用して食べ物を作ろうと思ってるんだ」
食べ物と聞いて翔子のテンションはさらに上がった。
「早く行こ行こ、おじさん!」
「ああ、ちょっと待て翔子。ナイン、アルタイルの日用品倉庫からシャベルを
持ってきてくれ、って言っても分からないか。じょうろも必要だし俺が行くわ」
こういう部分は、ちょっともどかしいな、まあ、ナイン達なら一度教えれば、
すぐに覚えてくれるだろうけどな。 ああ、肥料・・・多分、薬草園にもある
だろう。無かったらあとで、ノスタルジックスペースに行って調達しよう。
そう考えながら、俺はシャベルとじょうろを持ってみんなの前に戻った。
「よし、じゃあ、行くとしよう、ほんの10分くらい歩くだけだ」
薬草園に着いてみるとこれは俺が想像していたよりも畑にしやすい場所だった。
綺麗に整地された薬草畑や温室が広範囲に広がっていたのだ。
「さぁみんな、この少し盛り上がった部分にこの種をパラパラと蒔いてその上に
土を被せてくれ。こっちの盛り上がった方には、この種、あっちにはこの種を
蒔いてくれないか」
そう言って、翔子とベガとカオスにそれぞれキュウリ、トマト、ハクサイの
種を渡した。
「オッケー」
「ナインは、ここら辺をシャベルで掘り返して、そこにこのジャガイモと、
ニンニクの苗を置いて、その上に土をかけてくれ」
「分かりました」
そうやって、みんなが種と苗を仕込んでいる間に俺は、そこら辺を歩き回り、
お目当ての肥料保管庫を発見した。
「よし、こいつを今植えた種と苗の上に蒔いてと・・・じょうろで水をやれば
終わりだ」
「もうおしまい? もっとなんかやりたいなぁ」
「いやいや、これから今蒔いた種から芽が出たら支柱作ったりするからその時に
また手伝ってもらうよ」
「そっか、すぐに出来るわけじゃ無いのね 分かったわ」
こうして、野菜畑作りは完了した。新鮮なサラダが食べられるのを楽しみに
しよう。




