帝国薬科大学1
機動要塞を降りた早苗達はまず、キャンパス内のマップを確認してみた。
「この研究棟辺りに実験室とかありそうね」
「じゃあ、まずそっちに行ってみようよお姉ちゃん」
2人はセブンを連れて研究棟に向かった。
1階の入り口に入り館内案内図を確認。
「このバイオ研究室とゲノム解析室辺りがよさそうねぇ。使える機材があるか
見てみましょう」
「あ、そうしたらお姉ちゃん、私は、食事できる場所と休憩できる場所探して
来るわ。 研究なんて1日じゃ終わらないでしょう?
「確かにそうね。でも、あまり遠くに行っちゃダメよ」
「分かってるって」
早苗は妹の菜穂を見送るとバイオ研究室へまず向かった。
「さっすが帝国大、最新の機材が揃ってるわね。私に使いこなせるかなぁ・・
次はゲノム解析室ね」
早苗は、1ブロック先にあるゲノム解析室へ向かったが、中を覗いて溜息をついた
「部屋のほとんどが解析用のコンピュータだわ、それも最新の並列型量子コンピュータ
かぁ これは大学生の私が個人で扱える物じゃ無いわ・・まいったなぁ」
そのころ妹の菜穂はキャンパスの中央に設けられたコミュニティーセンターに来ていた。
「わぁぁ学食に喫茶ルーム、サロンに宿直室まであるわ 素敵じゃないの 綺麗だし」
菜穂は早速、学食のフードサーバを操作しようとしたが・・
「そっか・・ここの学生証が無いとダメなのかぁ 困ったなぁ どっかに落ちてない
かしら、学生証。そんな都合の良いことなんてないわよねぇ・・・」そんな事言いながら
学食の中を歩き回っている内にメンテナンスと書かれたロッカーの中に動作確認用
マスターキーと書かれたカードキーを見つけた。
「やった! 多分、このカードキーでサーバー動かせるわきっと。」
菜穂はウキウキした顔でさっき試そうとしたフードサーバーを動かすことに無事成功、
しかし・・・
「そうよね・・この時代のフードサーバーだものね・・・」
目の前にはサーバーから排出されたカップスープのような物が湯気をたてている。
それを一口飲んで菜穂は・・・
「今までは、これが当たり前の食事だと思ってたけど・・おじさんの作ってくれた
パスタとかカレーって言う物を食べちゃったら、味気ないなぁやっぱり」
そんな具合に菜穂は、食事、飲み物、そして寝られる場所を確認すると姉のいる
研究棟へ戻っていったのだった。
バイオ研究室で姉を見つけると
「お姉ちゃん、どんな感じ?」
「ああ、菜穂、お帰りなさい。20歳の私には難しそうって事が分かったわ。前途多難
だわ」
「大丈夫よお姉ちゃんなら。私と違って才色兼備なんだから。」
「そんなお世辞なんか良いわよ。そっちはどうだったの?」
「うん・・ 食事もデザートも調達出来るんだけど・・出来るんだけどさぁ、
あたし達の時代の食事とデザートだったわ」
「ああ、あんたが言いたいこと分かる気がするわ。おじさんの作ってくれた料理という
物と比較しちゃったのね」
「そうなのよねぇ・・・ああ、でも綺麗な泊まれるところも見つけたよ!」
「あはははは、菜穂ちゃんおじさんの料理が恋しくなったのね。でも食事と寝る
ところを確保できたのは良かったわ。この仕事何日もかかりそうだからさぁ」
「あ、いけない。11時になるわ。おじさんと連絡しないと。ちょっとベランダに出て
無線機点けてみるね」
「あ、お願いするわ」
ベランダに出て無線機のスイッチを点けて待っていると
「こちらアルタイル、大学チーム聞こえるか?」
「こちら大学チーム菜穂よ。今、ベランダに出て通信中。ちゃんと聞こえるわ」
「そっちの様子はどうだ?」
「お姉ちゃんがバイオ研究室を見つけて今、色々試験装置なんかを調べてるところ。
お姉ちゃんが言うには、どれくらい時間がかかるか今は見当が付かないって。」
そんな会話で最初の定時連絡を終え、菜穂は、姉の元に戻った。
「ちゃんと繋がった?菜穂。」
「ええ、ちゃんと繋がったわよ。少し休まない?お姉ちゃん」
「そうねぇ ところでセブンさん、異常はないかしら?」
「はい、この建物周辺に不審者の動きはありません。」
「そっか、ならひと安心ね。」
「菜穂ちゃん、そこのコンピュータのスイッチ入れてくれる?」
「どれ? ああ、これ? はい、入れたよ」
「セブンさん、アルタイルのサーバーから持ってきた、草場さんという方の論文を
今、菜穂がスイッチを入れたコンピュータに読み込ませてくれますか?内容を全部、
読まないとどういう風に作れば良いか計画も立たないしね」
「分かりました。データをこのコンピュータに転送します。」
「ありがとう。じゃあ、私は論文を熟読するから、菜穂とセブンさんは休んでいて
良いわよ」
「分かった、セブンさん、屋上に上がってみようよ。眺め良さそうじゃ無い?」
「そうですね。上空警戒も出来ますし、ご一緒します」
「真面目さんだねぇセブンさん あ、12時になったら教えてくれる?定時連絡の
時間なの」
「分かりました。」
「じゃあ、屋上いこ! こっちこっちよ セブンさん」
高校生らしい明るさで階段を駆け上っていく菜穂
それを護衛するようにセブンも登っていく。
「うわぁ良い眺め! 天気も良くて最高ねぇ」
「周囲10kmに敵影もありません」
「もう、セブンさんったらぁ」
しばし2人で周りの景色を眺めているとセブンが
「菜穂、12時を回りましたが、無線機の電源入れましたか?」
「そうなの? 屋上に出てすぐにスイッチは入れてるけど、連絡来ないね」
「異常事態でしょうか?」
「そんな事無いと思うけどなぁ。こっちから呼びかけてみるね」
「お~い、おじさ~ん。聞こえてる~~?」
しばしの間が空いた後に
「ほいほ~い、聞こえてるぞぉ 感度良好~」
と、間抜けな声が無線機から流れてくる。
「毎正午の連絡が無いからこっちから連絡してみたんだけど、どうなってるの?」
「すまんすまん、つくば市には着いて、修理できそうな倉庫を見つけたんだけど
入り口が開かなくてさぁ 今、色々模索中なんだよ」
「そっか、とりあえず目的地には到着したんだね? こっちは、お姉ちゃんが
研究を始められる環境が一応、整ったみたいだしお昼にしようかと思ってる。
んじゃあ、頑張って~」




