行動開始
翌日、地図で確認したところ、少し離れたところにある帝国薬科大学が良いのではと
言うことになり、アルタイルで、その大学を目指す。道幅? 爆撃で至る所が壊れている
街並みに気をつかってる場合じゃ無いのでこの際無視だ。 操縦は機械好きの翔子が
担当しているが、器用に障害物を避けながら動かしている。翔子には、このアルタイルの
構造や機能を把握してもらい、筑波に行ったら修理の方もやらせてみようと思っている。
「あ、ここみたい」翔子がそう言って、キャンパスの正門を突き破るようにしながら
敷地内にアルタイルを侵入させ、停止した。
「そうだ、ベガ、通信機みたいな物は無いのか? これから2手に分かれての作戦だし、
相互に連絡が取れないと不安なんだが」
「通常の電波を使う通信機は、敵に探知、傍受される恐れがありますね。少しお待ちを」
そう言って、ベガは、ロッカーから小さなトランシーバーのような物を持ってきた。
「これは、衛星を経由して通信するレーザー送受信機です。屋内では無理ですが、外で
空の見える場所でなら通信できます。」
「よしじゃあ、それを一つ持って、早苗と菜穂、それから2人の警護としてセブン、
キャンパス内に入ってウィルスを無効化するための実験室みたいなのを探してくれ」
「「分かったわ」」「了解しました」
「俺たちは、筑波へ向かう。だいたい100キロちょいだが、高速が使えたら2時間
くらいで着くだろうと思う。 翔子、こいつは時速何キロくらい出そうだ?」
「まだ試してないから、推測だけど・・・多分、100キロくらい出せるんじゃない?
」
「高速がダメで下道で行ったとしても2時間くらいで行けるか・・とにかく出発しよう
向こうに着いたら連絡を入れる・・って、言っても、大学内に入ってたら受信出来ない
か・・・あ、そうだ!」
俺は、元の世界からこっちに来たときに肩から下げていたショルダーバッグを部屋から
持ってくると、中から目覚まし時計を取りだした。徹夜続きだった俺の必須アイテムだ
「これを渡しておく。毎正午に外に出て5分ほど受信確認してくれ。俺は腕時計がある
から、連絡するときは、毎正午の時間に連絡を入れる。そっちからは、いつでも連絡が
必要なときに連絡してくれ。極力、外にいるようにするのでな。今、9時半か。11時
から毎正午に連絡するようにする。じゃあ、頼んだ!」
俺たちは、五木姉妹とセブンを見送ると筑波に向かう。
「どうだ、翔子? 行けそうか?」
操縦席について目の前に表示されているナビゲーションマップを見ている翔子に
声をかける。
「うーん、中央自動車道っていう高速道路があるんでそれで行こうと思うんだけど
新宿辺りから先、首都高速が、っていうかその辺一帯が無くなっちゃってるみたい
なんだよね。だから、その手前で一般道を北上して大回りしながら常磐自動車道に
入って筑波かな」
「お前、なにげに凄いな。地図読めるんだな。で、この巨体でもそのルートを走行
可能なのか?」
「女は地図が読めないって一般常識が間違ってるからね。まあ、おじさんじゃ
男尊女卑の時代の遺物みたいなもんだろうから仕方ないけどさ。走行可能かは
行ってみなきゃわかんない。とにかく時間が勿体ないから出発するね」
「ふう・・こいつらの父親くらいに歳が離れてるからな・・それに時代が違うし
気にしてたら負けだ・・分かった、任せる。 何か問題が生じたら教えてくれ」
「分かったよ、おじさん じゃあ、しゅっぱーつ!」
筑波に着くまでは地上走行だからアルタイルで大学組と交信可能だ。俺は11時に
なった時点で無線機のマイクを掴んだ。
「こちらアルタイル、大学チーム聞こえるか?」
「こちら大学チーム菜穂よ。今、ベランダに出て通信中。ちゃんと聞こえるわ」
「そっちの様子はどうだ?」
「お姉ちゃんがバイオ研究室を見つけて今、色々試験装置なんかを調べてるところ。
お姉ちゃんが言うには、どれくらい時間がかかるか今は見当が付かないって。
「まあ、机上では完成していても実際に作るとなれば未知数だろうからなぁ
仕方ないな。今日中に俺たちが戻れなかった場合、そっちで食事や寝るところは
確保できそうか?」
「それなら学食の調理マシーンが生きてたから食事は大丈夫そう。あと、宿直室
があったんで、寝るところも確保できそうよ」
「分かった。 こっちも筑波について修理できるか確認してからそっちに戻れる
時間をまた連絡する。多分、次の定時連絡には筑波に着いていると思う。以上だ
通信終了」
「分かったわ。じゃあまたね」




